令和3年2月定例会一般質問 / 質問内容

2.コロナ禍における事業者の支援について

さて次に移ります。

一般質問

コロナ禍において和歌山県内の事業所、観光業界、飲食業界など、その全てが大きな影響を受けています。物流やインターネットメディア、テレワーク機器のメーカーや、オンライン教育のメーカー、および医薬品、医療機器を製造するメーカーなど業種によっては業績が好調になっている企業があります。しかし和歌山県のような地方では好調な業種はほとんどありませんから、ほぼ不況に陥っているという方が間違いないと思います。コロナ禍で景気が悪くなっている業種は外出自粛の影響を受けたものがほとんどです。

言うまでもなく、バス、タクシー、鉄道、飲食店などは、感染者が多い都市が午後8時までの営業自粛を求めたことに連動した影響があり業績を落としています。

また製造業についても原料の調達が難しくなったことや、自動車や建築関係の需要が減少するなどの影響で、県内企業の多くは業績を落としています。

わが国では第二の緊急事態宣言が出されて以降、地方においても飲食店、観光、交通事業者など多くの事業者は「もう後がない」状態に陥っています。


中でも飲食店は個人経営のお店が多く、飲食店経営者は「望みがない」というところまで追い込まれていると聞きます。

しかも皆さんは「お客さんが来てくれないとモチベーションが下がります」、「どれだけお店が感染症対策を実施してもお客さんが来てくれない。飲食店が感染源であり、行かないことが望ましい」という意識をお客さんに持たれているので「もう、これ以上の対策がない」というところまできています。


これまでは「飲食店が地域を支えているしお客さんに元気を与えている」「和歌山県の将来のために必要な役割を果たしている」という思いがあったのですが、1月から2月にかけての状況から「もう自助や共助の取り組みだけではどうしようもない」という状況にあります。

和歌山大学経済学部の足立基浩教授は、携帯電話位置情報を基にしたデータに基づき「和歌山県の感染者が少ないのは、県民の意識が高い」という分析をしています。和歌山県や市町村からの呼びかけに呼応していると言えそうです。

この分析から推測すると、県民性として「自分の身は自分で護る意識」「周囲に迷惑をかけてはいけない意識」「環境への順応性が高い」などの特長があるかもしれません。

そして結論として「外食産業や観光産業の努力も限界を迎えつつあり、今後はこれまでのコロナ感染防止に加えて、特に零細な企業に対してはきめ細かい財政支援が必要だと思います。官民連携モデルでさらなる「和歌山モデル」の第二弾を期待したい」との指摘があります。


そんな状況下を察して、「第三波」を踏まえた対応策の追加対策として「飲食・宿泊・旅行業給付金」を支給する制度を作ってくれたことは有り難いことで、消えかけていた「希望」を灯してくれることになります。小さな「希望の灯」こそが望みを回復する原動力であり、社会が緊急事態から脱却していく状況下において、対応していく源になるものと確信しています。


そこに加えて、更に「希望」を感じさせてくれたのが全国知事会の「今後の新型コロナウイルス感染症対策についての緊急提言」です。

これは、これまで和歌山県飲食業組合や、県内約1,000店の飲食店から要望が出されている内容とその趣旨を一致しているものであり、仁坂知事を始めとする全国の知事会が、地元の飲食店などが置かれた状況を的確に把握したうえで、不公平感や県民の皆さんの自粛ムードを感じて提言してくれたものと思います。

この中には緊急事態宣言対象区域の飲食店とそれ以外の県との支援の差は酷く、県内飲食店からは、これ以前から同様の支援をお願いしたいと訴えていました。

全国知事会からは「一時支援金の対象地域も含めた支給対象の拡大や支給額の上限引上げ、売上げ要件の緩和等を図るほか、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給や要件緩和・企業規模に応じた支給額の引上げ。特に飲食業等自粛の影響が強く現れた業種には、速やかに実効性のある対策を講じる」ことを強く要望してくれています。

「飲食・宿泊・旅行業給付金」を決定した後に、速やかに更なる提言を行ったことは県内飲食店などにとって「希望」であり、知事の行動を頼もしく感じていることでしょう。


しかし、今後に大きな問題が見えています。それは令和2年の緊急事態宣言の時期に金融機関からの借り入れの問題です。多くのお店は最初の5年以内の返済猶予を条件に借り受けているので、早ければ令和4年から返済が始まります。多くのお店は、この資金を現在まで運転資金として活用しているので、返済が始まると今以上に経営が厳しくなります。

つまり返済しながら営業を継続するためには、コロナ以前のようにお客さんが戻るだけでは足りず、元の売り上げ以上になる必要があるのです。

今から2年後、3年後には本当に経営が苦しくなる時期が訪れると予測できますので、今を切り抜けながら、将来とも事業継続ができるように継続した支援が必要だと思います。

質問1:コロナ禍における事業者の支援について
一般質問

そこで質問です。厳しい環境にある飲食店への支援は将来への投資と考えて「飲食・宿泊・旅行業給付金」を支給し、これに続いて仁坂知事を始めとする全国知事会が「緊急提言」として、一時支援金の対象地域も含めた支給対象の拡大や、飲食業等自粛の影響が強く現れた業種には、速やかに実効性のある対策を講じる事を求めています。

そこで飲食店へのこれまでの支援の状況を示していただくと共に、引き続き厳しい環境が予想される飲食店の今後の支援のあり方について、商工観光労働部長に質問いたします。

答弁者:商工観光労働部長【商工振興課】

県では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた多くの事業者の方々を対象に、事業継続のための支援金や補助金、また3年間の無利子融資や国の持続化給付金や雇用調整助成金の申請サポート体制の整備など、包括的な支援策を実施してまいりました。

その中で、飲食店については、本年2月までに、事業継続支援金で約4,000件、事業継続推進補助金で約1,000件、家賃支援金で約1,700件、無利子融資で約800件の支援をしており、特に家賃支援金では申請者全体の約4割が飲食店です。

また、飲食店を応援するための国のGoToイート事業においては、県から事業者に対して、販売停止や利用自粛の要請を行うことなく、これまで事業が継続されてきたところです。

県では、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、徹底した感染防止対策と経済活動の両立に取り組み、地域経済と雇用、県民の命と暮らしを守り抜くため、県内事業者の資金繰りに十分対応するための融資枠1,200億円を確保し、経営改善に取り組む事業者への融資等を新設・拡充することとしています。また、新たな挑戦への支援としてデジタル化の導入のための専門家派遣やウイズコロナの中で、感染リスクへの接触を最小限にできるキャッシュレス決済や電子商取引の導入等の支援を行うこととしています。

県としては、様々な制度の周知を図り、飲食店をはじめ事業者の皆様に支援策を活用していただき、事業が継続・成長できるよう取り組んでまいります。

【要望】

県内の飲食店を取り巻く環境は厳しい中ですが、雇用を守ってくれています。小さなお店でもスタッフを守ってくれているのです。そしてアフターコロナにおいては、元の売り上げに戻ることはなく80パーセントぐらいを想定して経営できるしくみを創ろうとしているお店もあります。和歌山県の飲食を守るために雇用維持と継続するためのしくみを創ってくれているお店があることを知っていただき、今を乗り切り将来も継続できるよう支援をお願いして、一般質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。