3.避難所等でのペットとの共生について
次の質問に移ります。
和歌山県では、災害に備えた対策を講じているところですが、今年は避難所での新型コロナウイルス感染症対策が必要となるなど、避難所運営について新たな対応が検討されているところですが、今回は、ペットを飼っている方の災害発生時の避難について取り上げます。
ペットの飼い主にとってペットは家族の一員であり、人によって事情は違うと思いますが、「そのまま家に残して避難することは考えられない」という意見があります。
ペットの「同行避難」について、他県で過去に発生した避難所起きた問題があったことの指摘がありました。令和2年7月、福岡県久留米市などが集中豪雨に見舞われた時のことです。
久留米市は「142か所の全指定避難所にペット飼育場を設けている」ことと、電話で「全避難所でペットを受け入れている」と確認できたので、2匹の猫と共に避難した方がいました。しかし避難所に到着すると「猫は外に置くよう」に指示されたということです。
ここで行き違いになった原因が「同行避難」と「同伴避難」の表現方法です。
和歌山県の「ペットの災害対策」については「同行避難」の表現があり、ペットと一緒に避難できるイメージがあります。市町の中には「災害時にペットと一緒に避難できるように」だとか「避難所でペットと一緒に生活する場合」の表現で「同行避難」の表現がないところがあり、「どちらなのか」判断できないようです。
表現にこだわる必要性の指摘ではなく、多くの人が理解できる表現にしておかなければ、ペットを飼っている人も、ペットが嫌いな人もいるので、災害発生時に避難所に行ったところ双方が誤解してトラブルに発展することも考えられます。
最近、新たな動きがありました。先の台風第10号に備えて熊本県荒尾市は避難所を開設しましたが、そこでペットの同伴避難を受け入れたようです。同市では「ペット同伴を認めたのは指定避難所23カ所のうち、小中学校11校と旧小学校の計12カ所。各教室を避難所にしていたため、体育館でペットと飼い主を受け入れた」ようで、その理由について、通常はペットを同伴できず避難をあきらめてきた市民の声が表面化したと聞いています。このようなペットと共生するか避難所のあり方も検討すべき社会になっているように思います。
続いて避難所への「同行避難」の場合の問題点です。避難所にはペットスペースが設けられると思いますが、そのスペースが十分確保できているかどうかです。2019年度日本ペットフード協会の資料によると「犬の飼育世帯数は12.55パーセント」で「平均飼育頭数は1.23頭」で、「猫の飼育世帯数は9.69パーセント」「平均飼育と頭数は1.77頭」となっています。これだけ飼育している家庭があるので、各避難所には全ての頭数とは言いませんが、受け入れられるスペースを確保する必要があります。
避難所によっては避難者数と比較してペットスペースが極端に少ないところがあり、「果たして「同行避難」の全てのペットを収容できるのか」と思います。
そこで質問です。避難所は市町村が運営主体であり、それぞれの避難所では「同行避難」と「同伴避難」との言葉の意味の違いがよく分からないまま、混同して使われている現状があちらこちらで見受けられます。
万が一、発災時に備えて、あらかじめペットの飼い主がしておくべきことについてお尋ねします。
飼い主が「同行避難」を想定している中で、避難所にペットがいられる十分な広さが確保されていない箇所もあるように思います。一方で「ペットは家族」「一緒に避難所等の安全な場所に同行避難した。それができないなら避難しない」という人もいます。こうした大切なペットを守りたいと願う飼い主が、災害時にトラブルを避け、安全に同行避難ができるよう、災害に備えてあらかじめ心掛けておくことや、しておくべき備えが大切になると思います。
これらのことにして、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
ペットを飼っている方にとって、ペットは家族の一員であることから、災害発生時にペットを同行し、安全に避難したいというお気持ちはよく分かります。
災害時にペットとともに避難をする際、飼い主が同室で世話をできる場合、飼い主が世話をすることができますが同室はできない場合、飼い主以外の第三者がペットを一元的に管理する場合がありますが、これは個々の避難所の受入環境によって異なるものであり、予め飼い主が理解していないと、議員御指摘のように避難時の混乱につながります。
従って、ペットとともに円滑に避難することができるよう、こうしたことも含め、避難所におけるペットの受入環境について、市町村において事前に住民に広報誌等で周知徹底を図り、飼い主は、あらかじめ指定された避難所の受入れ環境を確認しておく必要があります。
次に、災害に備えて、あらかじめペットの飼い主がしておくべきことについてでございますが、まず、飼い主は、避難所等においてできる限り他の避難者に迷惑をかけることがないよう、平時からペットのしつけや健康管理を行っておく必要があります。
加えて、飼い主は、避難所における受入れ環境やペットの状況等から、総合的に考えて、ペットを避難所で管理する方法のほかに、車の中で管理する、被災していない地域の知人に預けるなど、最も適切な選択肢を事前に想定しておくことも大事なことです。
県としましては、災害時にペットを適切に飼養できるよう引き続き動物愛護フェスティバル等あらゆる機会を通じてこれらのことを啓発してまいります。
災害発生時は人命最優先の支援活動を行いますから、ペットのことはその次と考えるのは無理もないことだと思います。しかしペットのことを無視して防災を考えて良いのでしょうか。近年に発生した東日本材震災、熊本地震、西日本豪雨、そしてわが県で発生した紀伊半島大水害においても、被災動物のことが話題になりました。
この質問項目を知った人から「ペットがいるから避難しない」「ペットと一緒でなければ避難所に行かない」と意見をいただきました。
取り残された人を救助するためにどれだけの労力を費やす必要があるのか。被災動物を探す、救助するために費やす費用と労力。そして被災時の心のケアに、その人にとってペットの存在がどれだけ必要となるのかなどを考えると、ペットも避難できる避難所のあり方を考えて欲しいところです。
環境省や内閣府がペットの同行避難を推奨しているのは、過去の巨大災害からの教訓を基にしていると思います。
これらの考え方を基にして専門家の支援をいただき避難所のあり方を考えるために、獣医師会などと「災害時における動物救護活動に関する協定」を締結して支援体制を整えることも方法ではないかと思います。関西の各府県においても、府県の獣医師会と協定を締結しているところがあると思います。
負傷動物の応急措置や治療、被災動物の保護収容、被災動物の飼育者の支援などのために専門家の支援を受けられるよう、和歌山県獣医師会と協定を締結するなど、連携を図ることが今後の課題だと思います。環境生活部長の考えをお聞かせ下さい。
災害時には、負傷した被災者のペットの飼養や、飼い主とはぐれたペットの収容、怪我をしたペットの治療、飼養が困難となったペットの一時保護や新たな飼い主探しなど、専門的な知識や技術を必要とする様々な課題が発生します。
現在、獣医師会において、災害時のこうした課題に対して、具体的にどういう役割を果たせるか検討されており、県としましては、獣医師会の意向も踏まえ、できるだけ早期に協定を締結できるよう協議を進めてまいります。
避難所でのペットとの共生に関しての課題はまだまだあると思います。例えば避難所でのペットがいられるスペース確保の問題は、物理的な面がありますから直ちに解決できるものではありませんが、検討すべきものだと思います。是非、避難所でのペットとの共生について引き続き考えてくれることをお願いします。