令和元年9月定例会一般質問 / 質問内容

3.南紀白浜空港について

続いて南紀白浜空港についての質問です。今年8月、建設委員会と会派の視察でと二度、南紀白浜空港、岡田社長を訪ねました。

白浜町を訪れる観光客は年間約340万人、南紀白浜空港の利用客は年間約16万人の規模となっています。これは関西空港の利用者の二日に相当するお客さんだそうで、この県営の地方空港を民間事業者が本年度から運営を引き受けてくれています。

また同空港によると、白浜町の年間所得は約243万円、全国1741市町村の中で1535位となっていると聞いています。観光地のイメージと比較して所得が低いように感じます。

その理由として、観光客の多くは日帰りであることや夏場の海水浴客に集中していることから、お金を使うしくみができていないことが考えられます。観光客に滞在してもらうこと、お金を使ってもらうことが大きな課題で、拠点空港として課題に挑戦してくれていることを心強く感じました。

南紀白浜空港によると、和歌山県全体の観光客で見ても約85パーセントが日帰りになっているようです。そこで観光やビジネスで人を呼び込むことは、地域間競争なので、人に来てもらえるしくみを創る必要があります。白浜町ではワーケーションオフィスを設置して首都圏から企業を呼び込み、空港の利用促進につなげているところです。

ただ今後、更に利用客を増やすには制約があり、それら解決していく必要があります。まず制約条件は、滑走路が2000メートルであることです。大型機の発着ができないことから、外国からの便を誘致することが困難になっています。外国からのお客さんに来てもらうためには、航空会社は採算性を図りますから、少ない搭乗では運行は難しくなります。最大で160人の搭乗者に留まることから、どうしても利用は難しくなります。

ですから大規模な人数を呼び込むことよりも、毎年、少しずつ利用者を増やすこと。そのためには白浜町だけではなく和歌山県全体の観光とビジネス客を増加させることが必要です。

南紀白浜空港を拠点として広域で考えると、串本町の民間ロケット射場の観光や、和歌山県が誘致しようとしている統合型リゾートの交通手段として連携を図ることが、県全体に波及効果を与えることになります。

南紀白浜空港について

串本町の民間ロケット射場に観光客が来られる際に、旧南紀白浜空港を駐車スペースとして活用し、空港とJRを接続するなど拠点として活用できます。

また和歌山市に統合型リゾートが誘致できれば、関西空港と南紀白浜をヘリコプターなどで結ぶことや、プライベートジェット機を受け入れることなどにより、拠点空港となります。南紀白浜空港は南紀だけの拠点ではなく、和歌山県全体の観光振興やビジネスの拠点になり得るので、今後とも更に和歌山県や市町村と連携を図り、利用方法を考えるべきです。

質問1:空港型地方創生について

南紀白浜空港は、全国の地方空港のあり方を提言するため空港型地方創生のモデルケースになることを目指しています。県の地方空港として、白浜町だけではなく熊野古道や民間ロケット射場や統合型リゾートと連携するなど、これからの和歌山県の観光の重要な拠点施設として位置付けられていると思います。

空港型地方創生の拠点としての南紀白浜空港の役割について、県土整備部長の考えをお聞かせ下さい。

答弁者:県土整備部長

空港型地方創生の拠点としての南紀白浜空港の役割についてご質問をいただきました。

南紀白浜空港は、昭和43年の開港以来、本県唯一の空の玄関口といたしまして、首都圏から多くの観光客やビジネス客にご利用いただいており、昨年度の利用者数は、16万1570人と過去最高を記録したところでございます。本年度も利用者数は好調に推移しております。

また、本年4月から空港を運営しております株式会社南紀白浜エアポートでは、空港を核として紀南地域全体に全国から人を呼び込む「空港型地方創生」を掲げ、空港と大阪・京都・東京や紀南地域を結ぶバス路線を新設するなど、空港周辺だけではなく紀南地域全体の地域活性化に取り組んでいるところでございます。

南紀白浜空港は、紀南地域の地域活性化の拠点でございまして、さらには現在誘致を進めております統合型リゾートを含む、和歌山県全体の観光振興の拠点の一つとして、県内全域の活性化に重要な役割を果たすものと考えてございます。

県といたしましても、株式会社南紀白浜エアポートや県内自治体、企業等と協働いたしまして、国際線も含めた定期便の充実に加えチャーター便やビジネスジェットの誘致など、南紀白浜空港を活かした交流人口の増加による地方創生に取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

質問2:機材大型化への対応について

今年10月27日から大型機材の定期就航が決定しています。飛行機の座席数が増加し、今まで以上に白浜にお越しいただける方が増えることになります。このことは首都県からの企業進出が更に進展ことが期待できますし、羽田から白浜へのビジネス需要の安定化に資することになり喜ばしいことです。機材の大型化の難しさは承知していますから、この決定に至るまでの関係者のご努力に敬意を表するばかりです。

この事業者の持つスピード感と県の信頼が交わって南紀白浜空港は空港型地方創生を実現するための力を備えようとしているところだと思います。

半面、白浜から羽田行きの需要を創る必要性が生じたということです。今後、南紀白浜空港は和歌山県にお客さんを迎える拠点空港になるべき存在ですから、県としても事業者と共に白浜から羽田行きの需要を生み出す取り組みを強化して欲しいと思います。

今回決定した機材大型化の効果を最大限に生かすための取り組みについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:県土整備部長

機材の大型化に関する対応についてのご質問をいただきました。

先ほども申し上げましたとおり、昨年度に引き続き、本年度につきましても利用者数は好調でございまして、昨年度を上回るペースで推移してきており、羽田行きの最終便を中心に座席の確保が困難な状況が頻発いたしました。

このような状況を受けまして、日本航空株式会社に対し、機材の大型化・増便の要望を行ってまいりましたところ、本年10月27日(日)より6便中4便について大型機材「ボーイング737−800型機」の定期就航が決定いたしました。

機材の大型化に伴い座席数も増加することから、首都圏からの誘客や県内での積極的な空港利用に向けたPRなど更なる利用促進を図っていく必要があるものと考えており、県の関係部局により構成される「南紀白浜空港利用促進プロジェクトチーム」を新たに設置しまして、利用 促進に向けて取り組んでいるところでございます。

特に和歌山から首都圏への需要を増やしていくことは、非常に重要であると考えておりまして、紀南地域の自治体や企業の方々に南紀白浜空港を今以上に利用していただく必要があるというふうに考えております。

このため、南紀白浜空港を積極的に利用、応援していただくことを目的とした「南紀白浜空港サポーターズクラブ」これは仮称ではございますけれども、この設立に向けた準備を進めており、さらには、機材の大型化を記念したキャンペーンをはじめとする各種施策の実施も予定しているところでございます。

今後も南紀白浜空港をさらに多くの方々にご利用いただけるよう株式会社南紀白浜エアポート及び県内自治体、企業等と協力して、航空ネットワークの拡充や空港の利便性向上に向けた様々な取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

質問3:災害に強い空港を目指すことについて

空港型地方創生のモデルケースを考えるならば、日本全国、いつ震災などの災害が発生するかも知れないことを考えておくことも大事です。

率先的に災害時に即時対応できる空港としての防災設備体制の完備、そして、特に災害時に於いても水資源の供給が断たれることの無いシステムを構築しておく。つまり広域防災拠点の機能を持たせた「命を守るやさしい南紀白浜空港」であって欲しいと思います。

癒し、蘇りの地にある空港ですから、神の道、熊野古道に相通じる、癒される空港のイメージも必要だと思います。

広域防災拠点となり得る、災害に強い空港を目指すことについて、県土整備部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:県土整備部長

災害に強い空港を目指すことについてご質問をいただきました。

南紀白浜空港は、本県で災害が発生した際、航空機による救助活動や傷病者の搬送の拠点となる広域防災拠点として位置づけられております。そのため災害発生時には、広域搬送拠点臨時医療施設、いわゆるSCUが設置され、さらには航空機の駐機・給油等の拠点となるため、速やかにその機能を果たせるように備えておく必要があるというふうに認識しております。

このためハード面では、空港施設の耐震対策といたしまして、滑走路の下にあります地下道トンネルの耐震工事を平成29年度より実施しており、令和2年度の完成を目指しているところでございます。

この他にも地下排水トンネルや進入灯の橋梁の耐震対策などを順次実施する予定としております。

ソフト面では、本年4月より南紀白浜空港を運営しております株式会社南紀白浜エアポートにおきまして、地域の産業・経済への影響を及ばさないよう大規模災害発生後の事業継続計画、いわゆるBCPでございますけれども、これを策定し、被災後3時間での回転翼機の就航、1週間後の定期便の就航を可能とするなどの方針を盛り込んだ行動指針を定め、それに沿った形での訓練を行い、災害に強い空港を目指すべく取組を行っているところでございます。

今後とも、株式会社南紀白浜空港エアポートをはじめ、様々な関係機関と連携を図りながら、災害に強い空港を目指してまいりたいというふうに考えております。