2.外交史料と近代日本のあゆみ展について
続いても故郷への愛着と誇りを持つための質問です。先ほど、「外交史料展 外交史料と近代日本のあゆみ」展の概要が発表されました。この明治外交の重要な史料を展示する会が開催されることを喜びたいと思います。和歌山県で明治外交史料の本物を展示するという企画が、ついに実現するので、一人でも多く方に鑑賞してくれることを期待しています。
特に県内の中学生、高校生に鑑賞してもらいたいこと、そのためにフロアレクチャーの実施も令和元年6月議会で答弁いただいたように実現することになりました。
内容はフロアレクチャー1として、冨塚一彦外務省外交史料館外交公文書編纂官を講師として実施するもの。フロアレクチャー2として県立文書館と県立近代美術館職員さんが実施するものがあります。
中高生の皆さんには、このフロアレクチャーの実施日に鑑賞してもらうことを期待しています。ただ、フロアレクチャーの開催日は土曜、日曜なので、来てもらえる取り組みが必要だと思います。県内の中学生、高校生の鑑賞について、教育長からお答え下さい。
陸奥宗光外務大臣の功績に触れることができる外交史料展を見学することや、史料等について専門家から直接フロアレクチャーを受けることは、ふるさとの偉人、先人を通じて近現代の歴史を学ぶ貴重な機会であります。
このような観点からも、中学生、高校生に対して積極的に参加するようにすすめてまいります。
僕も外交史料館で冨塚さんからフロアレクを受けましたが、丁寧に平易な表現で分かりやすく説明してくれました。史料の背景にあるものが理解できるので、多くの学生に受けてもらいたいと思います。
さて、この展示会鑑賞を絶好の機会と捉えて、来年度の修学旅行先として、今回、鑑賞した中学校に外務省を訪ねてもらうことを提案します。本物の史料を鑑賞した後に、外務省を訪ねて 外務省の職員さんから説明を受けることは大きな刺激になり、将来わが国を担う人材を和歌山県として育成することにつながると思うからです。
和歌山県の学校が修学旅行で外務省を訪れた時、和歌山県出身の職員さんが仕事の都合がつけば対応してくれることになっていますから、是非とも行って欲しいと思います。
当県から外務省を訪問した中学生の感想の中には「職員の話を聞いている中で,国と国の関係には人と人の関係が深く大きく関わっているんだなと感じた」だとか「知らない所で,日本や世界の平和のために頑張ってくれる人がいるんだなと思った。普段あまり表に出ない人の働きの大きさに驚いた」などの感想があります。修学旅行の成果だと感じられる感想です。
そこで、この展覧会から来年度につながる取り組みについてお聞かせください。教育長の答弁をお願いいたします。
修学旅行として、外務省訪問についてですが、中学生が外務省の陸奥宗光の銅像を見たり、設置のいわれを聞いたりすることは、郷土に誇りを持つ上で、貴重な学習の場となります。
修学旅行における外務省訪問も含め、今後も、様々な機会、活動を通じて、先人の功績に学ぶ機会を設けてまいります。
今年、和歌山県から修学旅行で外務省を訪れた校数は、諸般の事情もあったのですが、前年よりも少なかったと思います。ただ新しくかつらぎ町の中学校が訪問してくれていますから、広がりは見せていると思います。来年度も市町村教育委員会と連携を図り、外務省を訪問して欲しいと思います。
外交史料館からは冨塚さんがフロアレクチャーに来てくれますし、シンポジウムには外交史料館館長も来てくれることになりました。実施内容、講師とも素晴らしいと思いますから、よくこの企画を実現してくれましたと思います。外務省の当県に向けてのお力添えに、感謝する次第です。
この史料展は巡回や持ち回りではなくて、強い意思を持って外務省外交史料館と折衝したことから実現できたことが素晴らしいことです。強い意思、働きかけがなければ実現できていなかった企画だと思っています。
明治の外交史を中高生に学ぶ機会になるよう教育長に答弁いただきましたが、次代を担う子ども達がこの展示会から学んで欲しいことを、知事の言葉で伝えて下さい。私も子ども達に案内する時、知事の言葉を伝えたいと思います。
「自身の故郷である和歌山には誇るべきことがたくさんある」ということを知れば、ふるさとへの愛着や誇りとともに、このふるさとに育った自己に対して肯定的な気持ちを持つことにつながり、子供達がたくましく育っていく第一歩となると私は思います。
そのために郷土教育をきちんとしなければいけない。
数十年前に私も学校で教育を受けたが全く何も教えてくれなかった。そんな教育は二度と繰り返してはならないと言うことで、そのために郷土教育をきちんとやって下さいと「わかやまなんでも帳」という中学生くらいならきちんと理解出来る教科書を作って、郷土教育を進めてきた次第です。
今回開催する外交史料展は、まさにその郷土の大先輩である陸奥宗光が活躍した、日本外交史の中でもとても重要な時期の史料に触れられる機会なのでよく勉強して欲しいと思います。
陸奥宗光は、明治政府がかかえるたぶん最大の課題であった治外法権の撤廃や関税自主権の確立を実現し、外務大臣として日清戦争を我が国の利益を守るために成功裏に遂行し、その後起きた三国干渉については、彼我の戦力や国力を考えて、「これは今やれない」ということで受け入れた。そのような論理的にも素晴らしい外交をした人だと思います。
数々の難局に立ち向かった陸奥の外交での活躍を知ってもらって、それらの業績を讃え、外務省内に唯一銅像が建立されていることの意味を受け止めて、そのような人物が自身と同じ和歌山出身であるということを実際の史料の中で子供達に体感して欲しいと思っています。
その他にも外交史料展でありますので、日米修好通商条約など陸奥が直接関わっていない史料もたくさん展示されていますので、日本がどのように国際舞台に乗り出したのか、どんな外交を展開していたのか、史料を通じて、先人達の歩みに思いを馳せながら、今の世界情勢にも目を向けて、未来を切り拓く礎にしてほしいと考えています。
私も外交史館を訪問した時「昨日、和歌山県の職員さんが来てくれて打ち合わせをおこないましたよ」などの話を聞いています。和歌山県で展示したいものを、熱心に選んでくれていたことも聞いています。
外務省外交史料館との折衝は、県職員さんがとても頑張ってくれたことに感謝したいと思います。また民間の陸奥宗光伯を尊敬する皆さんが、外務省及び外交史料館に働きかけていたことが土台になっていたことも併せて紹介したいと思います。多くの方の熱心な取り組みがあって実現したことを嬉しく、皆さんの企画力と実行力を当県の誇りに思います。