平成30年12月定例会一般質問 / 質問内容

3.宇宙教育について

続いて、宇宙教育について質問いたします。

和歌山県の宇宙に関しての取り組みは、教育委員会が以前から実施していますが、早くから「宇宙」というものを受け入れるための土壌を醸成してきたその慧眼に敬意を示したいと思います。

そのきっかけは、平成23年3月に和歌山県教育委員会が教育現場で宇宙教育を推進する教師集団「JAXAスペース・ティーチャーズ和歌山」を設置し、教職員など9人に「スペース・ティーチャーズ和歌山」を委嘱して活動を行っていることがその証明となります。

これは当時、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と県教育委員会が協力して設置したもので、JAXAが全国で初めて都道府県と連携して取り組んだ素晴らしい事例です。

このようにこれまで和歌山県は、全国のどの都市よりも宇宙に関する教育や講演会を実施してきました。

これまでの主な経緯として、平成22年7月に、米国アラバマ州ハンツビルで実施された、「ボーイング2010年度・教師のためのスペース・キャンプ・プログラム」に日本代表として和歌山県から参加しています。世界12ヵ国102名の教師が参加したものですが、日本からただ一人の候補者が和歌山県から選出されました。

これはJAXA宇宙教育センターとの連携による「宇宙を切り口とした総合的教育システムの構築による地域再生」、即ち「宇宙の可能性は無限で、宇宙教育は理数の分野に限らない」と云う概念に基づいて、英語教育を専門とする指導主事の推薦が認められ、見事に日本代表に選ばれたものです。

そして同年10月8日から10日までの三日間、JAXA筑波宇宙センターの宇宙飛行士訓練施設を使用し、和歌山県の教員を対象として「JAXA・教師のためのスペース・プログラム、これはJAXA宇宙教育センターと和歌山大学観光学部が共同で企画、開発したものが開催されました。

研修には和歌山県内の教師8人が参加し、将来、全国の教師、並びに、海外の教師、これは教育を切り口とする外交ツールとしても活用できるものを習得してきました。

私もこの時、つくば市にあるJAXAを訪問し、現地で研修の様子を見てきました。

さて和歌山県と宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協定によって、理数系教科だけではなく、環境教育や外国語教育などの学習活動の充実を図り、児童・生徒の学習への興味・関心・意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして、子どもたちに広く科学への関心を持たせることを目的として実施していると思います。

具体的には、中学生を対象としたスペース体験プログラムへの派遣や、「教師のためのスペース・プログラム」への派遣、JAXA筑波宇宙センター職員と連携した授業実践も実施してきたことによって、宇宙教育プログラムの活用が図られていると思います。

こうした本県での宇宙教育についてお聞きする前に関連して、今議会で債務負担行為を予定している「わかやま版PFI制度」の趣旨について、まずお尋ねいたします。

質問1:わかやま版PFI融資制度について

企業の初期投資を軽減するために「わかやま版PFI制度」を創設し、今回の提案となっていますが、今一度、この制度についてお聞かせ下さい。商工観光労働部長の答弁をお願いします。

答弁者:商工観光労働部長

PFI法に基づくPFIは、民間のノウハウを活用し、行政が運営する公共施設等の建設、維持管理等をより効率的に行うものであります。

一方、議員ご質問の「わかやま版PFI」につきましては、和歌山県独自の制度として、高級ホテルや今回の小型ロケット発射場など大規模な民間投資を積極的に呼び込むための支援策として、県が企業の初期投資の負担を軽減するもので、現在、2種類の制度があります。

一つは、県内に投資をしようとする企業に代わって、県が土地を調査・取得・造成し、企業に賃貸する制度で、もう一つは、企業自身が土地の調査・取得・造成を行う場合、その費用に対して、県が無利子で長期に融資を行う制度であります。

質問2:スペースティーチャーの活動について

今日の12時20分頃、JAXA関係者から久しぶりに電話をいただきました。あまりに突然なことなので「今日、この後、午後一時から一般質問をするのですが、知っていたのですか」聞いたほどです。

電話をくれたのは本当に偶然でしたが、「和歌山県の宇宙教育のその後はどうなっているのでしょうかと話していたところです」と伝えてくれて、「これを機会にまた進めていきたいですね」と話してくれました。

民間ロケット射場の誘致に努めていますか、和歌山県では宇宙教育を実施してきて宇宙に関する土壌を作ってきたことを知ってもらうことで、誘致が有利に進むかも知れません。

さて、和歌山県ではスペースティーチャーを筆頭とする宇宙教育が実践されていることから学習した子ども達の宇宙への関心が高いと思いますが、それは和歌山県の教育として誇るべきことです。民間ロケット事業者にも和歌山県では宇宙教育を実践していることから、民間ロケット射場への関心が高いことを説明することで誘致に有利に運ぶかも知れません。

全国に先駆けて発足し活動を行っているスペースティーチャーの活動について教育長の説明をお願いいたします。

答弁者:教育長

JAXAが主催する研修事業「教師のためのスペース・プログラム」は、平成22年度に行われたもので、当時受講した教員がスペースティーチャーとして現在も活動を続けております。

スペースティーチャーの活動につきましては、宇宙及び科学に関する教育活動等を目的に設立された公益財団法人「日本宇宙少年団」の和歌山分団において、講師として、ロケットの制御に関するプログラミング、水ロケットの製作・打ち上げ、国際宇宙ステーションでの公用語である英語などを指導しております。

また、勤務する学校においては、人工衛星の太陽電池パネルの展開方法であるミウラ折りなど、JAXAの資料を活用して指導したり、惑星について学ぶカードゲームやビニル袋を使ったロケット等の教材を自ら開発し、教科や科学部の指導に生かしております。開発した教材はJAXAにも提供され、その一つは優れた教材であると認められて、NASAのジョンソン宇宙センターで開かれた教員研修会で日本の代表として発表しております。

スペースティーチャーは、本県の宇宙に関する教育を推進する役割を果たしてきてございます。

質問3:宇宙教育の成果と今後の取組について

宇宙教育は、理数系教科のみならず、環境教育や外国語教育等、学習活動の充実を図り、児童・生徒の学習への興味・関心・意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして、子どもたちに広く科学への関心をもたせられると教育委員会では考えていますが、宇宙教育の成果と今後の取り組みについて教育長からお答え下さい。

答弁者:教育長

県教育委員会では、JAXAとの連携協定に基づき、JAXAの職員が中学校や高等学校に出向いて、宇宙に関する講義を行ってもらったり、高校生がJAXA種子島宇宙センターを見学したりするなどの機会を提供しております。

また、県教育委員会が実施している講演会「高校生のための和歌山未来塾」において、JAXAをはじめ、宇宙に関する研究機関等の研究者にも講師を務めていただいております。

宇宙に関連した取組の一つとして、「缶サット甲子園」がございます。この競技会は、高校生が自分たちで作った模擬人工衛星を打ち上げ、気象状況の観測等、自ら設定したミッションを遂行させる技術力や創造力を競うものです。本県の高校生は、これまで毎年のように上位入賞を果たすなど、優秀な成績を収めており、高度な知識と技術を有する生徒が育っております。今年度は、スペースティーチャーである教員が指導する県立高校生が全国大会で優勝し、来年6月にヨーロッパで開催される世界大会に招かれております。

今後も引き続き、宇宙をはじめ、科学への興味・関心を高める取組を進めてまいります。

【意見】

全て答弁をいただきました。今回は統合型リゾートにおいては県民の皆さんの理解を求めることを。外交史料展では郷土の偉人の功績を知り、誇りを持てるように意識を高めることを。そして宇宙教育での機会を通じて科学技術などの知識を得て、宇宙への関心を高めることが大切であることを共通のテーマとしました。

県政に関心を持ってもらうこと、意識を高めてもらうことが大切であり、そのことを仁坂県政四期目で目指してくれることを期待して一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。