平成30年12月定例会一般質問 / 質問内容

2.外交史料展について

続いて外交史料展について質問いたします。

今年、外務省外交史料館で開催された外交史料展は、会期を延長するなど好評のうちに閉会しました。最初は「明治150年記念展示図書・親書にみる明治の日本外交」が開催され、続いて「明治150年記念展示条約書に見る明治の日本外交」が開催されました。どちらの記念展示も会期を延長したほど好評だったようです。

この外交史料展を来年度は和歌山県で開催する方向で企画を進めてくれていることから、明治維新150年記念の翌年に、和歌山県がその精神を受け継いで開催してくれることになり、この心意気に、どうしても期待が高まります。

展示物の中でも明治21年11月30日に調印の「日墨修好通商条約」批准書の実物は貴重な資料として多くの来場者が鑑賞していたようです。

この批准書は、陸奥宗光駐米公使とロメロ駐米メキシコ公使との間で調印されたもので、日本の法律に従うことを条件に、メキシコ人の内地雑居を認めた総合対等の条約であり、欧米諸国との条約改正を目指すわが国とにとって重要な先例になったものです。

批准書の表紙は赤色、メキシコらしい鷲のマークが批准書の表紙に飾られています。この鷲は銀製で重厚な歴史の重みを感じさせてくれるものです。この歴史的重みを感じられるのは、陸奥駐米公使とロメロ駐米メキシコ公使が交わした本物だけが宿している批准書だからこそです。

和歌山県から外交史料館を見学に行った若い皆さんに対して、同史料館富塚『日本外交文書』編纂室長は、和歌山県庁の方が来訪され、県議会で「日本の明治外交」展を和歌山県で開催したいという申し出をいただきまして、来年の秋の10月から11月にかけて陸奥宗光外務大臣を中心とした「日本の明治外交」展を和歌山県で開催することをすすめています。ぜひ、楽しみにして下さい」と説明してくれたようです。

郷土の偉人が関わった歴史的偉業の批准書を間近で見た和歌山県の皆さんは「こんな大切なものを見られるなんて凄い体験をしてきました」、「和歌山県で開催されることが楽しみです」など感激をしたことの報告を受けました。

特に今年は日墨修好通商条約締結130周年の記念の年であり、来年度の和歌山県開催の外交史料展において、この批准書を展示することは歴史の重みを感じられて意味のあることです。とにかく本物の史料を提示することに和歌山県開催の意味があり、価値あることです。

外交史料館にはこの「日墨修好通商条約」批准書を始め陸奥宗光元外務大臣に関わる史料があることから、和歌山県での開催においてはこの批准書や日英通商航海条約調印書及び批准書など、陸奥宗光元外務大臣が関わって成立したすべての史料もお借りして展示すべきだと思います。とにかく本物に触れる機会、本物を見ることに価値があり、歴史を感じることができるのです。レプリカでは歴史の出来事を想像し、感動を味わうことは絶対にできません。

また以前、和歌山市立博物館で開催した陸奥宗光展の資料や民間の方から資料をお借りするなど、和歌山県らしさと故郷に誇りを持てるような史料展に仕上げて欲しいと願っています。

そこで質問です。

質問1:現在計画している外交史料展の開催概要について

来年10月で開催を計画している外交史料展の概要についてお示し下さい。開催期間、規模、展示物の点数などについても言及して下さい。なお展示史料は本物である必要があります。和歌山県開催の時は本物の史料を展示したいので貸し出しを切望したところ、外交史料館からは「必要な史料を示してくれたら前向きにお応えできるよう検討します」と話をいただいていますから、よろしくお願いいたします。

また開会式に合わせて専門家にお越しいただき、明治のわが国の外交について講演してもらうことも希望したいと思います。一級品の展示物と共に専門家の話を聞くことで県民の皆さんの歴史観が深まると思うからです。

開会後の講演会についても検討して欲しいと希望しますが如何でしょうか。企画部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:企画部長

外交史料展につきましては、陸奥宗光に関する史料を中心に展示を行うために、来年秋頃の開催に向け検討を重ねているところです。

開催期間、規模、展示点数につきましては、史料を所管・保有している外務省の外交史料館と調整中でありますが、議員御提案のように、ほんものの唯一無二の貴重な史料に触れることができるように、引き続き協議を進めてまいります。

また、多くの方々に陸奥の功績を理解していただけるように外交史料展に併せて、講演会等の関連行事を開催することについても検討してまいります。

質問2:外交史料展を教育に生かすことについて

少し観点を変えます。先ごろの産経新聞の「港町365」にフェルメール展についての記事がありました。東京の美術館で開催中のフェルメール展は多くの人が来場して人気を博しています。ご存知の通りフェルメールには贋作、偽物が多くあり、それは作品数が少ないことにも起因していると思いますが、本物の作品を見たいと思う人が多いことを嬉しく思います。偽物を並べても見に来る人はいないと思いますから、本物の作品展を期待して鑑賞する人がいることは、データ改ざんや検査不正などのまがいものか横行する時代にあって、本物を求めている人が多いことに安心したとも書かれています。

外交史料展には本物を展示して感動を味わいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

さて、この外交史料展には県内の中学生、高校生にも修学のために訪れられる企画に、そして学校教育の一環にして欲しいと思います。和歌山県において外交史料に触れられる機会は、今回を逃すと次の機会はなかなかないと思うからです。

県内の中学生と高校生を外交史料展に学校教育の一環として見てもらい、先人たちが命がけでこの国を護ってきた歴史を学ぶことは、学生の将来に大きな影響を与えると確信しています。

教育の一環として県内の中学生、高校生に外交史料展を修学する機会にして欲しいと思います。教育長、ぜひ、県内の中高生に本物の近現代史にふれるチャンスを活かすように熱望します。

また講演会を開催する場合、県内全高校生、もしくは中学生の特別授業として位置づけを行い、その後に開催場所で展示物を見てもらっては如何でしょうか。

教育長の答弁をお願いいたします。

答弁者:教育長

県教育委員会では、子供たちが、和歌山ゆかりの先人や豊かな自然、伝統と文化などについて学び、ふるさとに対する愛着と誇りを育むよう取り組んでいるところです。また、各学校では、様々な教育活動において、実体験や実物に触れることによる教育的効果を重視し、博物館や美術館をはじめとする県内の各施設の活用を図っております。

こうした中、明治の外交史に燦然と輝く陸奥宗光の業績に触れる機会となる外交史料展の見学や、日本の外交史等について専門家から直接話を聞くことは、ふるさと教育とともに、歴史への興味・関心を高め、深い学びにつながる有意義なものと考えております。

本県で外交史料展及び講演会が開催される際には、市町村教育委員会とともに活用できるようすすめてまいります。

質問3:日墨修好条約締結130年記念シンポジウムについて

12月8日に開催された「日墨修好条約締結130年記念シンポジウム」では、佐藤正久 外務副大臣から「陸奥宗光 外務大臣が結んだ平等条約の想いと、これからの私たちの歩み」と題した講演がありました。

続いてのパネルディスカッションのテーマは「明治150年−新国家への夜明け−」と題して討論がなされました。

パネリストは郷士坂本家十代目の坂本匡弘氏。外務省の中野大輔中南米局中米カリブ課課長。県内の小中学校に出掛けて陸奥宗光伯の出前授業を実施している福田光男元和歌山市立雄湊小学校校長が参加してくれました。司会は県庁職員さんが務めてくれました。

坂本さんからは、龍馬は身分制度をなくさないことには日本は良くならないと幼い頃から感じていたので、平等な国を創るための行動へとつながって行ったことを伝えてくれました。そして弟子の陸奥宗光はその精神を引き継いで明治国家の基礎を築いていったように思うと話してくれました。

その精神とは人のため、国のために尽くす「自忘他益」の精神であり、他人のために尽くすことこそ価値のあることだという考えです。

自分の利益を忘れてでも他人の利益を優先させ、人、国のために平等な社会を築こうとした龍馬の精神が陸奥に宿り、後に不平等条約改正へとつながっていくのです。この師弟の思いが明治時代の基礎を築いていったように感じました。

シンポジウムの翌日には、坂本匡弘さん、外務省職員さんと共に岡公園に行き、陸奥宗光伯銅像と和歌山城などを案内してきました。現地を訪れることで、和歌山県の歴史と偉人の功績を強く認識してもらったと思います。

このシンポジウムには 企画部長も出席してくれていましたから、このシンポジウムの感想と、来年開催の外交史料展に向けての意気込みをお聞かせ願いたいと思います。

答弁者:企画部長

議員御質問の「陸奥宗光外務大臣の功績を教育に活かす実行委員会」主催のシンポジウムの感想についてでございますが、まず陸奥宗光伯の功績を顕彰しようという取り組みが、民間主導で行われている、こういったことはまず大きな意義があると思います。シンポジウムの内容についてもですね、佐藤外務副大臣が陸奥伯の「最悪に備えて最善を尽くす」という外交方針は現在の外交にも通ずるものだということを、自らのイラク派遣の体験談などを踏まえながら、かなり説得力もあってお話をされて、感銘深いものであったというふうに思っております。その基調講演、パネルディスカッションにつきましてですね、多くの方、出席された多くの方が熱心に聞いておられる姿を拝見しまして、改めて、陸奥宗光と彼が生きた時代への関心の高さを実感いたしました。

このような郷土の歴史や偉人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながり、継続的で多様な取り組みが重要と考えております。

県におきましても、平成24年度に陸奥の外務大臣就任120年を記念して、東京と和歌山の2箇所でシンポジウムを開催し、昨年9月にも没後120年を記念してシンポジウムを開催いたしました。さらに、来る12月15日、この土曜日でございますが、陸奥を中心に明治150年を記念したシンポジウムを開催いたしますので、県民の皆様とともに、歴史の歩みを振り返り、来年の外交史料展に繋げていきたい、そういうふうに考えております。