平成30年12月定例会一般質問 / 質問内容

1.統合型リゾートについて

こんにちは。議長のお許しをいただいたので通告に従い一般質問を行います。最初に統合型リゾート、所謂、IRについて質問いたします。

県では企画部IR推進室を設置、またIR誘致推進プロジェクトチームを設置して、誘致活動を加速化させていると認識しています。

私も先般、IRについて、マカオ在住でホテルの一部門を任されている方と意見交換をする機会を得ました。

「和歌山県はご存じですか」と話を切り出したところ、この方は「最近はマカオで和歌山県は有名になっています。日本でIR整備法ができたので、第一弾として三か所でIRができることは知られています。私達はその候補地として、和歌山県は有力な県だと認識しています。

大阪府が最有力だと思いますが、和歌山県は北海道と長崎県と共に有力地であると認識されているので、関心のある人はたくさん和歌山県を訪問しています。現地を訪れた人たちの評判はとても良い印象になっています。

私も和歌山県は良い県だと思っています。温暖な観光地であり、温泉もあります。そこに加えて食材が良いのでIRを建設すれば、世界中から和歌山県にお客さんが来ることは間違いないですよ」と話してくれました。

続けて治安や所得について質問したところ「マカオは日本よりも治安は良いです。私は東京のホテル、その次はシンガポールのIRでもいました。3年前にヘッドハンティングがありマカオに来たのですが、当初は単身でしたが日本よりも治安が良いことが分かり、現在は家族もマカオに呼んで一緒に住んでいます。

治安の良さは世界でもトップレベルではないでしょうか。夜間も含めて治安はとても良いので安心して暮らせるのがマカオです。しかもカジノができてから治安が格段に良くなりました。カジノができる約20年前までは治安が悪いので、今ほど観光客は来てくれませんでした。

カジノが出来てからは治安が保たれています。もしこのまちの治安が悪ければお客さんは来てくれません。お客さんは安心して楽しめる環境を求めていますから、まちの治安、安全確保がカジノの立地のための絶対条件です。それが実現しなければカジノはできませんし、仮にできたとしてもお客さんは来てくれません。このことからもマカオの治安は世界レベルであることが分かってもらえると思います。

そして所得ですが、驚くほど良いのです。私の場合、東京でいた時よりも所得は2倍になっています。所得が良ければ優秀な人材が集まりますから、レベル、サービスなどが良くなっていきます。そしてサービスが良ければお客さんが集まるという循環になっています。やはり働く条件として所得は大事だと思います。

参考までに私のホテルでは平均所得は約800万円です。私が東京でいた時のホテルの平均所得は約400万円ぐらいですから2倍の差があります。だからマカオに人材が集まってくるのです。

ホテルをマネジメントできる人材、腕の良いシェフ、ホテルの現場で働ける有能な人などが集まっています」と話してくれました。

治安が良くて所得が高い。しかも若い人達が働く場所ができるなど、良い一面を確認することができました。

そして「和歌山県で是非IRを実現して下さい。もし和歌山県で実現できるようなら私も行きますよ」と笑顔で伝えてくれました。

実際のIRはショッピング、美味しい食事も楽しめ、ショーなどエンターテイメント性もあるリゾートです。世界のスーパーブランドがホテル内にあり、有名なブランドストリートよりも多くのブランド店が並び、ホテル内だけで全て完結できるような環境になっています。

どちらかというとショッピング、レストラン、エンターテイメント施設の中の一部にカジノがある。そんな配置と感覚があります。

ただIRはどちらかというと、まだ負の印象も拭いきれない状況です。まちの治安悪化、ギャンブル依存症、青少年への悪影響、そして経済効果が限られているなど一部からの意見があります。

しかし世界でカジノは受け入れられている娯楽であり、実際は設置される前と比較して治安が良くなっていることや所得が高いことから、世界中から人材が集まる、地元の人が地元を離れることなく故郷で働けるなどの効果があります。

実際を知った上で対応し、実現を目指して欲しいと思います。

質問1:候補地認定までのプロセスについて

候補地三か所が認定を受けるまでのプロセスと決定時期、候補地が決定してから開設する時期についてお示し下さい。企画部長の答弁をお願いします。

答弁者:企画部長

候補地認定までのプロセスについてですが、まず、来年の夏を目処に、国土交通大臣が特定複合観光施設区域、いわゆるIRの整備のための「基本方針」を示す予定となっています。

県では、この「基本方針」に即して、「IR整備の意義及び目標」や「有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策」のほか、「民間事業者の募集及び選定に関する事項」などを記載した「実施方針」を策定することになります。

その後、IR事業者の公募・選定を行い、選定されたIR事業者とともに「区域整備計画」を作成し、和歌山市の同意を得た後、県議会の議決を得た上で国土交通大臣に区域認定を申請し、申請を行った自治体の中から3カ所を上限として区域が認定される、という流れになっています。

区域認定の申請やその認定の時期については、国の基本方針が示された後に明確になるため、現在のところは未定となっております。また、候補地が決定してから開業までの時期についても現在のところ明らかになっていませんが、国は2020年代の半ばに日本で初めてのIRが開業するとの見通しを示しているところでございます。

質問2:誘致推進に向けた取組について

和歌山県では知事が先頭に立ち強力に誘致を推進していますが、県としてどのような取り組みをしているのでしょうか。またIR誘致推進プロジェクトチームでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。

そしてIR誘致のためには、更なる県民の皆さんの理解と誘致機運の醸成が必要だと思いますが如何でしょうか。知事にお尋ねいたします。

答弁者:知事

県では、本年4月のIR整備法案の国会への上程を受け、5月に「和歌山県IR基本構想」を公表し、それを基に、民間事業者の投資意欲を具体的な形で提案頂くために、「投資意向調査」を、これは「RFI」と言いますが、実施したところです。その結果、海外事業者7社、国内事業者26社から提案を頂きました。

10月には、この民間事業者から頂いた提案内容も反映をさせた「和歌山県IR基本構想(改訂版)」を公表し、関係事業者に周知を行うとともに、「実施方針」の策定に向け意見交換を重ねているところです。

今後も国の動向を注視しつつ、最終的に国に提出する「区域整備計画」の作成に向けた準備をいち早く進め、国の認定を受けられるよう取組を進める所存です。

議員ご質問の「和歌山県IR誘致推進プロジェクトチーム」は、教育委員会や警察を含む20課で構成しておりまして、食材やサービス等の地元優先調達や他の観光施設との連携などIR誘致を契機に地域経済を発展させるための施策や、また、ギャンブル依存症対策や、反社会的勢力の排除、青少年への悪影響の除去などの対策、あるいは交通インフラの整備などといったIR誘致に係る諸課題の解決に向けた施策の立案等に取り組んでいるところです。

次に、議員ご指摘のとおり、IRの誘致を円滑に進めるためには県民の理解が必要であると考えております。

そのために、県ではこれまでもシンポジウムをはじめ、経済団体や企業での「出張!県政おはなし講座」の開催など様々な機会を捉えて、和歌山県が目指すIRとはどのようなものなのか、なぜ本県が誘致を目指すのか、また、地域にもたらされるメリットや課題への具体的対策等について積極的に発信してきたところです。

引き続き、本県へのIR誘致の機運醸成に向けて、こうした取組を積み重ねるとともに、地元経済界などと共同したIRビジネスセミナーの開催など、新たな取り組みも行っていく所存です。加えて、IRの誘致に反対あるいは心配をお持ちの方がいることを前提にして、より謙虚にかつ丁寧に説明を重ねていく所存です。

質問3:大阪府との近接性について

大阪府で日本万博開催が決定したことから、IRに関しても大阪府が有利になったと聞こえてきます。残る2か所を北海道や長崎県などと競う状況にもなっているようです。

ただ大阪府が有力地だとすると近接する和歌山県は不利になるのではないかと県民の方々が思っているようです。大阪府と近接している状況から、「和歌山県は候補地になり得ないのではないでしょうか」という問いも多くあります。

大阪府と和歌山県の両方が候補地になることの可能性について、知事からの答弁をお願いいたします。

答弁者:知事

IR整備法では、認定区域数の上限が3カ所とされたために、本県は他の誘致自治体と競争をしなければならないということになりました。

そういった状況の中で、一部の人の間では「関西では2つは認定されないだろう」というあまり意味の無い憶測があるようです。確かにそういった区域認定の決定の際に、地域バランスが法律にビルトインされているとこれは大変でして、かなり不利になるわけです。

そこで県ではいろいろ調べておりまして、大変ハラハラと法律の出来具合なども見ていました。法律には地域バランスのような話は全然書いておりませんし、また国会での議論もそういうものはありませんでした。

実は3カ所ということになったときの話が、このIR整備法に先立つIR基本法の際の国会審議のときに、そういう話が出たというのがあって、それがどうもひっかかってしまって、最終的にいろいろ議論の結果、3カ所ということになったというのもあるのです。したがって法律の際の議論あるいは附帯決議、そういうものにいろんなものが書いてあるとまずいなとか、そういう議論をされているとまずいなということがありましてハラハラしておりましたが、全然ありませんでした。それから法律の運用をするのは国交大臣はじめ政府の方ですから、国交大臣とは直接はそういう議論はしておりませんが、様々な政府関係者に対して、「地域バランスが前提となりませんよね」というようなことを申し上げ、「法の趣旨に沿った良い計画から選定されるということですよね」と確認したところ、関係者からは全員「その通りだ」という回答を頂いております。したがって我々はこのベストスリーの中に入ればいいので、別に大阪に勝つ負けるというのはあまり関係ないと考えております。

ただ、そういうこともあまり踏まえず、頭の中に新しい情報というか正しい情報を入れないで、すなわちちゃんと取材をしないで、今までの自分の思考回路だけで、「こうなるはずだ」という噂話をしたり、ミニコミ誌などで流したりする向きが多くて困ったものだと思っております。そういう事態を踏まえまして、民間事業者との面談の際には、「地域バランスを考慮して選定するとは法に規定されておらず、また、そのことを政府にも確認していますよ。

ですから安心して和歌山に申請してくれたって結構ですよ。」というようなことを言っており、民間事業者の理解が得られております。

実は、民間事業者の意見は、これはほとんど全ての人だと思いますけど、オペレーターになりそうな全ての人だと思いますが、「IRは近くに複数あったほうがビジネスとしては相乗効果があって良いんです」というようなことを全員が口を揃えたように言っていました。

日本のIR制度の手本とされているシンガポールでは、都市型の「マリーナ・ベイ・サンズ」とリゾート型の「リゾート・ワールド・セントーサ」という2つのIRが、大変狭い国ですから、大変近接したところに2つありまして、同時に開業して同時に相乗効果をあげております。

和歌山のIRは、大阪とはコンセプトが多分異なる、本県の観光資源を活かしたリゾート型のIRになると思うわけでして、シンガポールの事例と同様に、大阪と和歌山2つのIRは十分共存可能だと考えております。

実は大阪でも、近接地は不利だと考えて、どうやら和歌山IRを敵視する向きがあるような懸念があると感じられましたものですから、共存すればいいというようなことを、例えば知事さんとかあるいは政治家さんとか財界人に言って回っているところです。