平成30年6月定例会一般質問 / 質問内容

1.和歌山市における鉄道のあり方について

先日、和歌山市内の自治会の防災研修会を終えた後、一人の方から「どうしても叶えて欲しいお願いがあります」と話がありました。

「私は他府県から和歌山市に帰ってくると、いつも悲しくなっています。それは和歌山で駅を降りると、真っ暗で人通りがないからです。「一体、和歌山市はどうなってしまったのだろう」、「この先、和歌山市はどうなっていくのだろう」と思ってしまいます。

和歌山の駅とはJR和歌山駅も南海和歌山市駅の両駅のことで、どちらも夜間は同じような状態にあると思います。

知事や和歌山市長の取り組みによって中心市街地の再開発によって活性化してきていますが、この現実はどうでしょうか。他県から来た人に話し聞いてみると現実が分かると思います。何とか和歌山市に賑わいを取り戻して下さい」という話でした。

そこで賑わいを取り戻すための施策として、貴志川線と加太線の接続、それに伴うJR和歌山駅と南海和歌山市駅を結ぶことについて質問いたします。

平成25年12月議会のこの問題への当時の企画部長の答弁は次のようなものでした。

各社の電車が輻輳することによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、それからJRと南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要となるなど、相当の経費を要し各社とも採算が見込めないなど、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くあるとしながらも、「貴志川線の和歌山市駅への乗り入れ、加太線の和歌山駅への乗り入れは、利便性の向上や需要の掘り起こしなどの効果があると考えますので、和歌山市と連携しながら、鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えいます」というものでした。

それ以前の平成22年の一般質問に対しても当時の企画部長は「各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております」という答弁でした。

質問1:鉄道事業者や和歌山市との勉強会について

鉄道事業者と和歌山市との間で勉強会の機会を設定して鉄道のあり方を検討していると思いますが、協議の現状はどうなっていますか。企画部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:企画部長【総合交通政策課】

鉄道の相互乗り入れにつきましては、平成26年度に鉄道事業者3者と和歌山市、県の5者で勉強会を立ち上げ、実現に向けた課題事項の洗い出しなど、継続的に意見交換を行ってきたところです。

平成29年度も、3回の勉強会を開催し、例えば貴志川線が和歌山市駅まで乗り入れるとしたら和歌山駅でどのような改修が必要となるか、どのようなダイヤを組むことができるか等について意見交換を行っております。

その中で、貴志川線をそのまま延伸させるとすれば、地下通路の補修が必要となることや、貴志川線が和歌山線側に乗り入れるとすれば、ラッシュ時にダイヤ調整が困難となるなどの新たな課題が明らかになっており、鉄道事業者によると、多岐にわたる課題を解決するため莫大な投資が必要になるとのことです。

このように、鉄道事業者の収益性が問題となり、容易に進展するものではありませんが、県としましては、どのような乗り入れ方法があり、どうすれば課題を克服できるのか、引き続き、鉄道事業者や和歌山市とともに検討を重ねてまいります。

JR和歌山市駅周辺ではマンション建設など、南海和歌山市駅にはホテルや市民図書館などが建設される予定です。居住人口、交流人口が増加することが見込まれるため、鉄道の利便性を向上や移動時間の短縮などは鉄道事業者と共に考えるべき課題です。

地方都市と大都市の間の鉄道の移動時間が短縮すれば、逆ストロー効果があるという考え方もあります。

また大阪市内は難波と大阪を結ぶ「なにわ筋線」の計画がありますし、御堂筋線は天王寺と箕面市をつなぐことになっています。

鉄道によって街がつながることは人の交流は当然のこと、ビジネス機会が増すこと、住宅の価値が高まること、人口増加に結びつくなど、地域の価値が高まります。

質問2:鉄道の利便性向上について

和歌山市内では東京医療福祉大学が開学し、続けて3大学構想がありますし、JR和歌山駅周辺でのマンション計画、南海和歌山市駅周辺のホテル計画があります、そこに、なにわ筋線や御堂筋線の延伸計画です。鉄道の利便性向上を働きかける絶好のチャンス到来だと捉えて、阪和線や南海本線の利便性向上について、企画部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:企画部長【総合交通政策課】

JR阪和線や南海本線の利便性向上につきましては、鉄道事業者に対して常に働きかけを実施しているところです。

その結果、JR西日本においては、これまでもICカード利用可能駅の拡大や駅のバリアフリー化整備などが図られています。さらには、本年3月のダイヤ改正で、阪和線の早朝及び深夜時間帯に特急くろしお号が増発されたところです。

また、南海電鉄におきましては、和歌山市駅の改札口を2階から1階に移設し、難波方面やJR和歌山駅への列車に乗車しやすくするなど、利便性向上に取り組んでおりますし、市駅前の再開発も行われているところです。

一方、通勤・通学時間帯の阪和線の時間短縮につきましては、平成29年9月議会でも答弁させていただきましたとおり、根本的な解決には、阪和線の複々線化による路線容量の拡大が必要であり、新たな用地購入等莫大な経費が掛かることから実現は極めて困難であると考えているところです。

県としましては、今後も引き続き鉄道の利便性向上を、各鉄道事業者に働きかけてまいります。

和歌山駅前ではマンション計画があり、今年開学した大学に続いて3つの大学構想があります。こうした和歌山市中心市街地活性化の取り組みによって、居住人口、交流人口は増えると思います。現時点では和歌山市の人口が増加、現状維持、減少なのか分かりませんが、少なくとも人口を増やすための取り組み、都市の再生を目指していますから、和歌山県としても和歌山市や鉄道事業者と、それを前提として利便性向上策を考えるべきです。公共鉄道は都市計画に合わせて欲しいと思いますし、鉄道はまちづくりにおいてとても重要だと思います。

特に和歌山市がこう着状態にあれば仕方ないとしても、今はまちが動き出そうとしています。この機会を捉えにければ機会は訪れません。

再質問:

和歌山市中心市街地の人口増加のための対策に呼応した鉄道のあり方について、再度、企画部長にお尋ねいたします。

答弁者:企画部長【総合交通政策課】

再質問いただきましたように、今、県が進めている色んな取組によって和歌山市内の交流人口が増えていくものと考えています。それに伴いまして、鉄道の利用者の需要がどの程度増えていくかということも、鉄道事業者とよく相談しながら利便性向上を図れるものは図っていきたいと思っております。ただ、先ほどの阪和線の通勤時間短縮につきましては、いろいろな働きかけをしていきますが、そもそも鉄道の容量が大阪側で満杯になっており、複々線化をやらないと解決しない部分がある、そういったことをどうやって解決していくかが大きな課題だと考えております。

今年5月に開催されたシンポジウム「未来を創る交通インフラ」では「紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現」をテーマで議論が交わされました。

和歌山県と徳島県を道路と鉄道で結ぶ構想に関しては、両県も加入している「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」で実現を目指しているところです。

特に第二国土軸の早期計画実現を目指している和歌山県と徳島県がこのルートを求めていることを強く感じました。

東北や北陸、北海道など東京を中心とする新幹線整備計画は、実現しているものや着工中のものがありますが、昭和48年に「新幹線基本計画」に位置づけられた四国新幹線計画は進展していません。

シンポジウムで紹介しくれた試算では、四国新幹線が開通すれば和歌山県と徳島県の県内総生産はプラス50パーセントになるようです。即ち、県民所得もプラス50パーセントになるということです。但し、これはパネラーの意見ですが。もし実現しなければ「衰退への道を歩むことになる」と説明があったように、新幹線の経済効果は大きなものがあります。

またリニア新幹線は2027年に東京と名古屋間を結びますから、これらの地域の市場は増大することになり、新幹線のない地域の市場は縮小することになります。ですから四国新幹線は和歌山県として何としても実現させたい構想です。

高速道路や新幹線が開通すると人の交流が起き、当該地域を活性化させます。東京や大阪とつなげると都市部との移動時間の短縮が図れ、逆ストロー効果が発生すると言われています。移動時間が短縮されると都会よりも地価の安価な地域に住居を構え、新幹線などを利用して通勤する人が増加するからです。四国新幹線は大分県と大阪府を結ぶだけではなく、路線のとり方にもよりますが和歌山県も通ることになるのです。

つなげることが相乗効果をもたらしてくれますから経済規模も拡大する。新幹線、道路をつなげることが和歌山県と徳島県だけではなく関西全体の経済効果に影響を与えることになります。

質問3:紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現に向けた取り組みについて

この紀淡海峡ルートと四国新幹線の早期実現に向けての知事の考えをお聞かせ下さい。

答弁者:知事

紀淡海峡ルートの実現は、4つくらい日本及び関西、和歌山に効果があると思っております。第1に四全総の語る第二国土軸として、国家のリダンダンシーを確保するものであるということであります。第2に西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながり関空の機能強化に資するものである。第4に関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成につながるもので、効果は非常に大きいものというふうに考えられるわけでございます。

ただし、四全総の後、和歌山県もその実現に努力をし、かなりの県費を使って予備調査をいたしましたけれども、国を動かすことが出来ず、挫折をしておりました。国もその後、対応レベルを下げてしまったということであります。しかし、関空の存在というのがその当時は無くて、関空の存在が大きくなってまいりましたから、これを新しいテコとして考えれば、先ほど申し上げましたように、もう一度この素晴らしいプロジェクトが生き返るのではないかと私は考えました。これが実現すれば、本県は、一挙に国土の中心軸の中に踊り出るわけであります。そこで、2013年になりますけども、関係府県の知事に、働きかけをいたしまして、賛同を貰いまして、「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」、これは、府県の集まりでございますが、立ち上げまして、言い出しっぺでございますし、真ん中にいるものですから、座長を務めておりますが、紀淡海峡ルートや四国新幹線の実現に向けた活動を行うべく、シンポジウムを行ったり、国への提案活動を行ったり、積極的にやってまいりました。

平成29年3月には、北陸新幹線の敦賀・大阪間のルートが決定されまして、現在整備中の新幹線の中でルートの決まっていない区間は無くなりました。また、国においても新幹線の整備手法に関する調査費が予算化されました。これは、名前はまだ付けられないけれども、名前を特定出来ないけれども、四国新幹線をはじめとする基本計画路線を、次の整備計画とするように、一種の構想を持って作られたものだと理解しておりまして、それをテコに働きかけを強めていく必要があると思っております。

一方、新幹線が走る時に、実は大鳴門橋というのが淡路島と四国の間ですが、もう今、道路で使っていますが、新幹線仕様になっておるんです。紀淡海峡を渡ってくる時に、もちろん新幹線も渡ってくるわけですが、道路も渡ってくるわけで、その道路が、京奈和に繋がるということになりますと、京奈和自動車道で、第二国土軸になるし、また、関西大環状道路を構成することにもなる。その関西大環状道路の一つである新名神高速道路とか京奈和が随分出来てきましたので、残るミッシングリンクである紀淡連絡道路の早期実現があれば、これ全部一編に出来てしまうわけでございます。

そういうようなことを踏まえて、これをもっと運動を高めて行こうということで、去る5月18日に「関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会」が主催いたしまして、和歌山市内でシンポジウムを開催いたしましたところ、議員をはじめ350名の方々にご参加いただいて、関心の高さを実感したところです。

紀淡海峡ルート、四国新幹線は、和歌山県のみならず関西の発展、日本の将来の発展の「要」となる重要なプロジェクトであるとともに、これが出来ますと、東京一極集中からの脱却にもなるし、双極型国土構造の構築とか、地方回廊の整備とか、或いは国土強靱化とか全部に役に立つ不可欠なプロジェクトだと私は思うわけでございます。そういうことで、是非とも実現しなければいけないと思っております。

5月31日には、これはいつものことなんですけども、自ら国土交通省を訪問して、これについての要望活動を行ったところでございますが、引き続き、味方もどんどん増やそうということで、シンポジウムなど情報発信による機運醸成とか、或いは、関係団体への働きかけとか、国への要望とか積極的に取組を進めてまいりたいと思っております。