平成30年6月定例会一般質問 / 質問内容

1.心の教育について

先日、和歌山県内の自殺死亡率が全国で4番目の高さであることが発表されました。平成28年の和歌山県人口10万人当たりの自殺死亡率は21.7人で、全国の16.8人よりも高く2年連続で増加しています。

更に問題なのは若者の自殺者が多くなっていることです。「子ども・若者(39歳まで)」は平成24年の30人から平成28年は58人に増加していることが問題です。

若年層と言っても対象を絞らなければ対策が難しいため、今回は小中学生に対する心の教育について質問したいと思います。

和歌山県では平成22年度に、絵本「カーくんと森のなかまたち」を教材として県内小学校に配布して、心の教育のための授業として活用したことがあります。この絵本は、子どもの自殺やいじめの防止活動に取り組んでいる東京都多摩市の絵本画家、夢ら丘実果さん達が東京都を始めとする各地の授業で行っているもので、この教材を継続活用しながら心の授業をしている東京都や香川県などでは成果をあげていると聞いています。

和歌山県内の若者の自殺者が高くなっている報道を受けて、「以前、自殺予防対策としての心の教育の一環として、県教育委員会は各小学校に「カーくんと森のなかまたち」の絵本を配布したと思いますが、現在も活用されているのですか」など、多くの方から心の教育について問い合わせがありました。

県民の方々の記憶にあるように、絵本「カーくんと森の仲間たち」は、地域自殺対策緊急強化基金で購入し、県内の全小中学校に配布しています。

平成22年、県内の小学校に東京から絵本作家の方に講師に来てもらって授業をしたことがあり、僕もその授業を観させてもらいました。その時、生徒や先生から感想を聞いた記憶や学校のブログなどでも、「絵本を活用した和歌山県の心の教育」の評価が高かったことも記憶しています。その後、平成23年1月に開催された全国都道府県教育委員会連合会総会において、和漢山県が資料配布をして「絵本「カーくんと森のなかまたち」を活用した心の健康のための教育について」と題して発表を行っているように全国に紹介できるほど先進的な取り組みをしていました。

平成22年1月18日にNHKで放送されたニュースでは「県として命を大事にしたいという教育の対策を取らなければいけない。前例のない取り組みだったけれど、これを契機として実施していきたい」と教育委員会が話していました。

また当時の「県民の友」や各種媒体でも取り上げられるなど、先進的な取り組みだったと思います。

質問1:小中学校の心の教育の取り組みについて

小中学生の心の教育の取り組みとしてこれらの絵本を活用していると思いますがが、更に継続した取り組みにすることが必要だと思います。教育長の答弁をお願いいたします。

答弁者:教育長【児童生徒支援室】

絵本などの読み物教材を活用して、子供に生命を大切にする心を培うことは、自殺の予防にもつながるものであり、大変重要であると考えてございます。

小・中学校では、道徳の授業において、本県独自の道徳教科書「心のとびら」、「希望へのかけはし」などを活用し、「命を大切にする心」や「思いやりの気持ち」、「規範意識」などを育む教育に取り組んでございます。さらに、いじめを取り上げた教材をもとに、自己や他者の心を深く考え、正しい行動をとろうとする態度を培っており、こうしたことは、自殺の予防にもつながるものと考えております。

また、議員ご紹介の絵本「カーくんと森のなかまたち」など、子供の自己肯定感を高める読み物教材は、自分の生き方や命を大切にする心を育む上で効果的であると考えてございます。今後とも、図書館や教室にこのような教材を充実し、読書活動を推進するとともに、様々な教育活動を通じて、自己も他者も大切にする心の教育を進めてまいります。

絵本作家に来てもらって授業をすることは、ある意味、ホンモノ、本人に会えることですから、当時と同じように心の教育として大きな効果が期待できると思います。

質問2:外部講師による心の教育授業について

外部講師による心の教育の授業は効果的だと思いますから、この授業の実施を考えて欲しいと思います。教育長の答弁をお願いいたします。

答弁者:教育長【児童生徒支援室】

外部講師の方を招いた授業につきましては、これまでも、各学校において実施されており、社会で活躍されている方などの体験を聞くことで、子供たちには、これからのよりよい生き方を考える機会となってございます。

中でも、命に関わる様々な体験をされた方からのお話は、直接子供たちの心に強く響き、かけがえのない命の尊さを実感させる上で有意義であり、自己や他者を大切にする心を育む教育の充実につながるものと考えてございます。

今後も、引き続き外部講師の方々の協力を得て、子供が命の大切さについて考えを深める取組を、各市町村教育委員会とともに進めてまいります。