平成30年2月定例会一般質問 / 質問内容

4.スケートボードについて

続いてスケートボードについての質問です。東京2020オリンピックで正式種目となり、全国的に注目が集まっている競技がスケートボードです。

スケートボード。以下スケボーと言いますが、日本に入ってきたのは約50年前のことで、流行したのが約40年前。現在は親子で楽しめるスポーツになっていて、第二世代のスケーターがこの競技の主役となっています。

昔スケボーをやっていた親が子どもと共にスケボーに復帰し、週末は親子でパークに行き練習する。子どもが大会に出れば家族で応援に出掛けようになっているそうです。

練習場のある地域においては、この親世代が一役買っています。公園や広場に子どもを呼び戻すため地域にスケートパークを計画します。ナイター設備があれば、夜まで人は絶えずに集まります。そのパークには子どもを中心として親も集まり始めます。そうして昔の「広場」の賑わいが蘇っているようです。

日本スケートボード協会によると、全国で公営と民営合わせて練習可能な場所は500か所で、15年前は全国に約30ヵ所だったことを考えるとスポーツとして認められてきています。

しかし和歌山県のスケートパークスポット一覧では7か所のスポットが紹介されているだけで、公的な施設は田辺市の扇ヶ浜公園にあるスケートパークだけという、余りにも環境が脆弱な状況にあります。

また和歌山市内でもスケボーを楽しんでいる人はたくさんいるようで、和歌山県スケートボード協会によると「市内だけで300人から400人ぐらいはいる」ということです。

スケボーは東京2020オリンピック競技に採用されたように、今ではスポーツとしてすっかり定着しています。スケボーをやっている若い人が練習場所を探すことに苦労している姿に接すると、和歌山県は若い人達のスケボー練習場整備への思いを理解して欲しいと思います。練習環境が整わないから競技を止める。そんな和歌山県であってはならないと思います。

和歌山県スケートボード協会の役員の一人が、「東京2020オリンピックの競技となった今、和歌山県がスケボーへの理解を示してくれ、練習環境を整えて欲しい」と話してくれましたが、東京2020オリンピック開催までの機会を逃すと、この先長く和歌山県にスケボー文化を定着させることが難しいと危機感を持っています。

和歌山県スケードボード協会によると「スケートボードで培ったバランス感覚や身体能力を生かして活躍している各種スポーツのトッププロが数多くいます。例えば平昌五輪で銀メダルを取り私達を感動させてくれたスノーボードの平野歩夢選手を含め、スノーボードのトッププロや、磯ノ浦に代表するサーフィンのトッププロの中には、スケートボード出身だったり、オフのトレーニングにスケートボードを使っている人たちもいます。

また、和歌山県からは中学生でスケートボードのプロになった子供達や、世界レベルで活躍している子、オリンピック候補の子どもも出てきています。そういった身近なプロの方との交流の場や、後に続く次世代の子供達の活動の場として、スケートボードをするスケートパークは大変重要な効果をもたらします」というように、すそ野の広いスポーツであることを示しています。

さてスケボーというとバンクが必要だと思っていましたが、パーク競技と共に階段や歩道などをそのまま利用するスタイルのストリート競技があり、ストリート競技であれば既存の公園の一部を利用すれば練習場になり得ます。

理想はストリート競技場の横にバンクを設置し、両種目の練習ができる施設なのですが、まずはスケボーの練習場の確保と整備をすることが先決だと思います。

「若者文化に理解のない和歌山県」と印象付けられると、益々和歌山県に若い人が来てくれなくなるばかりか、若い人が流出することも考えられます。仕事と娯楽、余暇の楽しみ、行き場所などを備えておくことが街の機能だと思います。

ところで片男波公園に噴水広場があります。相当の予算を使って建設した施設ですが、現在、噴水は止められ、人が集まらない施設になっています。ここで若い人たちはスケボーの練習をしているのですが、彼らに聞くと「スケボーの人以外にここを訪れる人はいません」という状態です。公園を維持しているだけでは公園と言えず、人に来てもらって楽しめる、憩える機能を持たせることが公園の機能です。

片男波公園でスケボーの練習をしている若い人が沢山いるのですから、使われていない噴水広場をスケボー練習場として活用を図ることで競技者、見学者、家族連れ、そして県外からも若い人が訪れる場所になると思います。

スケボー競技者に聞いたところ「片男波公園の魅力は自然の中てスケボーを楽しめるところにあります。海で泳ぐ、スケボーをする、夕日を眺める。こんな場所は片男波だけです。自然の中にスケボー練習場があれば、県外からも人はやって来ます」と答えてくれました。

片男波に行くとスケボー練習場があり、自然の中でスケボーが楽しめる。そんな話が交わされていると思うだけで楽しくなります。

練習場のある府県では、スケボー好きの親子や友人たちが楽しんでいる光景が普通にあります。そんな公園に人が集まりますから当該地域にとっても賑わいと治安維持につながるメリットがあります。

若者文化を理解して家族、友人、そして当該地域の人達のコミュニケーションの場としてスケボー練習場の整備を求めたいと思います。

先の3月1日、公立高校の卒業式があり、そこで知事の祝電を聞かせてもらいました。卒業生に向けて平昌オリンピック、男子エアリアル競技の田原直哉選手を称えて紹介していました。田原選手は体操でオリンピックを目指していましたが右肩を故障したため体操を残念、一転、未経験のエアリアルに挑み見オリンピック選手になった努力の経緯を紹介していました。この祝辞は卒業生や私たちに感動を与え、卒業生代表が「知事のご祝辞にあったように田原選手の努力を見習いたい」と答辞で述べたほど、若い皆さんに影響を与えました。

知事の発言が若い人たちのこれからの生き方に影響を与えたのです。田原選手のオリンピックまでの努力は、出場を果たしたことから私たちの知ることになりました。東京オリンピックを目指している選手は今、努力の真っ只中です。スケボーで2020の東京を目指している和歌山県内の選手がいます。もし出場を果たした場合、現在の努力の過程が全国に伝えられることになります。その時、和歌山県がスケボーに理解してくれた、練習場を整備してくれたと言ってもらえるようにして欲しいと思います。

質問1:スケートボードの練習場整備について

スケボーを楽しめる環境を整えることは若者文化の醸成、家族や友人との来場と交流の場の提供につながると考えます。スケボー愛好者の視点から適地と思われる片男波公園に練習場を整備することを提案しますが、知事の見解をお聞かせ下さい。

答弁者:知事

ご指摘のように、スケートボードは、東京オリンピックの正式種目になったことにより、ますます関心が高まっており、今後、楽しむ人も増えると思われます。スポーツということのみならず、新しい若者文化の振興にもなるというふうに確信をいたします。

そのような中、スケートボードを練習できる場所の確保は、県民のスポーツの振興とか賑わいの創出という観点から、非常に有意義であると考えております。実はそういうのがないので、いろんなとこでなさる訳なんで、県立美術館の前のタイルが割れたとかですね、そういうようなことも起こっていて、心置きなくみんなが楽しんで、それでみんなが集まるというところがあるといいな、というふうに思っている訳であります。

しかしながら、議員ご提案の片男波公園のあるところはですね、それは違うのではないかというふうに私は思います。あれは、和歌の浦は、昨年ですね「絶景の宝庫 和歌の浦」として、日本遺産に認定されるなどですね、あそこのストーリーは万葉の時代から続く日本を代表する景勝地だと。そういう雰囲気を味わってくれと、まあこういうことなんですから、そこでちょっと別の文化のですね、スケートボードがガンガンなされるというのはですね、そういう雰囲気で集まってこられた人との間でミスマッチがあったり、対立が起こったりすると思います。したがって、そんなとこにこだわらなくても、整備するならば、もうちょっと違うところをですね、みんなで簡単に考えたらいいんじゃないか。そんな考えた上で、ただそこでやるだけじゃなくて、みんなが集まって文化の集積地ができるような、そんなふうにするといいというふうに思っております。

また、スケートボード練習場の整備を検討するに当たっては、場所のみならずですね、施設の管理主体は誰が担うのかとか、利用料を含めた施設を維持するための費用をどう確保するかとかですね、施設を運営していくためのスキームづくりが必要ではないかというふうに思います。作るのよりもですね、むしろこういうことを愛好者の方々と一緒になってですね、考えていくことが大事なんじゃないかな。とはいえ、県庁といたしましては、こういう新しい風にはですね、積極的に関与していきたいなとそんなふうに思っております。

片男波公園の中にある噴水広場ですが、囲いで覆われていて誰も入れないようなっています。スケボーにはストリート競技がありますから、この柵を取り除くだけで練習場になり得るのです。

また今回一般質問するに際してスケボー愛好者の方からたくさんのメールをいただいています。例えば「スケボーなどのスポーツを通じて、青少年育成、地元住民とのコミュニケーション、まち興し、若者の誘因、観光事業などにつながる」という提言もいただきました。

言うまでもなくスケボーをしている人はスケボーだけをしている人ではなく、和歌山で仕事をしている、和歌山で学んでいる学生達です。仕事をしながらすスケボーを楽しんでいる若い人達が、和歌山県がスケボーなどの若者文化に理解がないから、出てくようなことになる。郷土愛をなくすなどになれば大変なことです。是非、スケボーの振興など若者文化、スポーツに理解のある和歌山県であって欲しいと思います。

今回の知事の答弁をお聞きして、スケボー練習場の整備に関してスケボー開校者との協議の機会を持ってくれると理解しています。是非、競技の窓口を開いていただきスケボー練習環境を整えてくれることを強く要望して一般質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。