平成30年2月定例会一般質問 / 質問内容

3.水素社会実現に向けた取組について

続いて水素社会の実現に向けた取り組みについての質問です。

今年2月、「行政改革・基本計画等に関する特別委員会」で視察を行い水素活用に関する視察を行いました。

横浜市で実験を行っている「横浜市風力発電事業」は、平成27年から「地域連携・低炭素水素技術実証事業」として水素を作り出し、貯蔵必要に応じて供給する水素のサプライチェーンモデルの実証を行っています。

実験は、風力発電で発電された電力を水素製造安定化システムで水素を作り貯蔵し、貯蔵した水素を水素充填車で京浜臨海部の青果市場、冷蔵倉庫、物流倉庫などの提携している企業の工場などの燃料電池フォークリフトで使っています。

この水素サプライチェーンを全国で確立させるまでには、まだまだ長い時間を要すると思いますが、この場所で未来型の実証を行っていることを感じました。

和歌山県で実証事業を行いたいと思っても事業環境が整っていないので直ちに実行することはできませんが、できるだけ早くこの実証実験を終えて全国でこのしくみが使えるようになって欲しいと思います。モデルが完成すれば地方都市でも活用を図れると思います。

また関西広域連合においても首都圏と同じように水素エネルギー導入に積極的です。

質問1:水素エネルギーの導入に向けた県の取組について

そこで質問です。関西広域連合の「第三期関西広域計画」では「関西圏における水素エネルギーの利活用の実用化に向けた広域的な取り組みの検討を行う」とありますし、「関西創生戦略」では「広域的な取り組みの検討、企業支援、普及啓発を実施する」とあります。和歌山県としての取り組む必要があると思いますが、知事の答弁をお願いいたします。

答弁者:知事

水素は利用段階で二酸化炭素を排出しないという環境特性を持っておりまして、また、様々なエネルギー源により製造でき、貯蔵・運搬が可能であるなど、海外の化石燃料に依存した我が国のエネルギー供給構造の多様化に寄与することから、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から優れたエネルギーであるのは間違いないんだろうと考えています。

現在、燃料電池自動車、水素ステーション、エネファームなどの普及により、水素利用が少しずつ広がりを見せている状況にありますけれども、一方で、水素を日常の生活や産業活動で広く利活用していくためには、技術面やコスト面など、まだまだ多くの課題があるのだろうなあということも推測いたします。

議員御指摘のとおり、関西広域連合では、水素社会の実現に向け、これまで「燃料電池・水素関連」分野をテーマにしたフォーラムを実施するとともに、今年度は関西水素ポテンシャルマップの作成を予定しておりまして、水素エネルギーの利活用の拡大に向けた取組を進めております。

和歌山県も、国や事業者等の動向を注視し、耳を高くして世の中に遅れないようにしなければいけないと思いますし、水素社会の環境が整ってきた段階では、和歌山県の発展にとって足を引っ張るような遅れが出ないように行動して参りたいとそう思っております。

また芝公園近くのイワタニの水素ステーションの視察も行いました。ここでは一日20台から30台の「MIRAI」が水素の補給に来ているようで、その多くは官公庁の公用車だそうです。参考までに「MIRAI」の場合、一回当たりの供給量は5kgです。1kgの水素価格は1,100円のため一回当たりの費用は5,500円となります。走行距離は650kmだそうです。

水素自動車の普及は水素ステーションの増加が必要ですが、地方都市では水素ステーションが少なく、関西においては和歌山県と奈良県には水素ステーションが設置されていません。

水素エネルギーは、地方自治体とエネルギー関連企業が協力すれば普及させることはできると思います。関西広域連合は日本最大の自治体なので、本気で取り組むべき課題であることを今回の視察で更に認識しました。

水素ステーションを視察した時、「水素自動車を普及させるためには官公庁が率先する必要がある」との指摘がありました。しかし関西の府県で水素ステーションがないのは奈良県と和歌山県だけで、現状では和歌山県民は水素自動車に乗る選択肢はないことになります。

質問2:水素自動車の導入や水素ステーションの設置について

環境先進県を目指す和歌山県としては、未来のために水素ステーションの設置が必要だと思います。次世代自動車振興センターによると水素ステーション設置のための補助制度もあります。またトヨタ自動車や岩谷産業など11社が水素ステーションを整備する新会社を設立する計画があります。2022年3月末までに全国に80か所に設備するようですから、和歌山県でも設置の可能性はあると思います。

公用車に水素自動車を導入することや水素ステーションの設置について、知事の答弁をお願いいたします。

答弁者:知事

国は、2030年までに全国で水素を燃料とした燃料電池自動車を80万台程度まで普及させることを目標とし、その達成に向け、水素供給コストの削減や燃料電池自動車の量産化、低価格化等を進めることにしております。

県としては、こういう動きに協力して、県内の燃料電池自動車普及促進のために、公用車として導入することも実は考えたのでございますが、燃料供給地となる水素ステーションが県内にはなかったので、現時点では難しいとその時は思いました。

また、それなら水素ステーションを作ってしまったらいいじゃないかと、こういうことになるのですが、1つ作ると4億円から5億円程度かかると、驚くべき試算が出てまいりまして、しかも運用に年間4千万円から5千万円程度必要であると、補助制度を活用したとしてもその半分くらいは要ると、出さないかんと。こういうことでありまして、ちょっと無理かなというふうに思った次第であります。

一方、国では、現在、四大都市圏において重点的に水素ステーションの整備を進めておりますけども、昨年12月に示された「水素基本戦略」では、2020年代後半までに水素ステーションの自立化を目指すこととし、そのために水素ステーションの整備・運営コストの低減等を通じた自立的な水素販売ビジネスの展開が必須としているわけでございます。

こういう風に水素社会の到来だということで、時代の旗手だという感じで、わりあい県費を使って積極的にいろんなことをしておられる県の知事さんもあるんですが、どうもあんまりそういうことをやっているのは、ちょっと地方公共団体の役割とは違うかなという感じもありまして、県民の懐も過度に痛ませてはいかんと、しかし、これは時代の趨勢としては間違いないわけだから、いつも時代にぱっと出ていくかということをですね、国や業界の動向、技術開発、燃料電池自動車の普及とかコストですね、そういうものについていつも注意深く情報収集に努めておきまして、本県にとって最も適した水素ステーション整備のあり方とタイミングについてですね、深く研究してまいりたいと思っております。

和歌山県に未来がある。和歌山県に未来がない。どちらが和歌山県にとって良いのか考えると、未来のある和歌山県を選択すべきだと思います。