平成30年2月定例会一般質問 / 質問内容

2.薬物乱用防止について

続いて薬物乱用防止に関する質問です。

和歌山県は薬物乱用防止のため全国に先駆けて抑止のための条例を制定するなど積極的に取り組んでいます。また公立学校での講演や「わかやまNO!DRUGフェスティバル」を始めとする啓発活動を実施していることを頼もしく感じています。

質問1:薬物事犯の検挙状況について

そこで質問です。和歌山県では薬物事犯の検挙が多いと聞きます。薬物事犯の平成29年の検挙人員など示して実際はどうなのかお示し下さい。警察本部長にお尋ねいたします。

答弁者:警察本部長

平成29年中の薬物事犯は184人を検挙、その内訳は覚醒剤事犯が130人、大麻事犯が48人、麻薬等事犯が6人であり、前年比では+19人で、特に大麻事犯が+29人と大幅に増加しております。

検挙被疑者の府県別では、県内居住者が約60%、大阪府を初めとする県外居住者等が約40%です。

薬物事犯は窃盗・詐欺等の財産犯罪とは違い、被害申告のない犯罪で、県内における薬物乱用者等の実態は不透明な部分もありますが、今後も県警の大きな課題の一つとして、薬物事犯の根絶に向け、供給元の壊滅と末端乱用者の検挙に向けた強力な取締りを推進して参ります。

質問2:条例による規制の効果や県民を守るための方策について

答弁を伺うと、大阪など他府県の検挙者の率が40パーセントもあるということは、薬物使用者だけではなくその源流にまで捜査をしていると推測できるものです。薬物犯罪撲滅に向けて一層捜査を進めてくれることをお願いいたします。

さて特に若い人たちに向けては薬物乱用防止の啓発と共に危険ドラッグ被害の根絶に向けた取り組みを実施しています。「和歌山県薬物の濫用防止に関する条例」による規制の効果や、県民を薬物乱用や危険ドラッグから守るための方策について知事からお答え下さい。

答弁者:知事

悲惨な事故や事件につながる危険ドラッグの乱用は、県民の健康と安全を著しく阻害する恐れがあることから、県では危険ドラッグによる被害の根絶を目指し、平成24年12月に、「和歌山県薬物の濫用防止に関する条例」を制定し、全国に先駆け、他法令で禁止ができない商品を迅速な規制ができる知事監視製品制度を設けたところであります。

具体的には、インターネット販売サイトなどに対する徹底した監視を行いまして、お香などと称して身体に使用されるおそれがある商品を知事監視製品に指定し、県民への販売を規制しているところであります。

こういった先駆的な規制により、県内にあった販売店舗をすべて閉店に追い込んだこと、平成27年度以降、県内の医療機関から危険ドラッグによる健康被害事例の報告がないこと、一部のインターネット販売サイトが和歌山県民への販売を敬遠していることなど、大きな効果があったものと考えております。

しかしながら、依然として、次々と新たな危険ドラッグの販売がインターネット上で出てくるわけでございますので、これを確認すると直ちに監視製品に指定して、今後も徹底的に規制を行っていく所存であります。

また、薬物乱用防止については、薬物乱用防止指導員を約400名依頼しておりまして、地域に根ざした啓発活動を実施するとともに、薬物乱用の低年齢化が懸念されることから、若いうちに薬物の危険性に対する理解を深めることができるように、小・中学校・高等学校で、予防教育に積極的に取り組んでいるところあります。

ところで和歌山市内に一般社団法人和歌山ダルクという薬物依存症の方の回復施設があり、社会復帰を目指すためのプログラムを実践しています。和歌山ダルクの特長は、母子で入寮できる回復施設であることで、これは全国で和歌山ダルクだけが有するものです。

和歌山ダルクで活動している池谷大輔さんは、1月に県内の公立中学校で開催された薬物乱用防止の講演をしてくれた方です。自らの経験や接した人の事例を交え講演してくれたので、生徒への好影響を与えたと思います。聞いていた僕も感動しましたから。

同じく和歌山ダルクの島田ゆかさんは、先の2月に開催した若い人たちに薬物乱用防止を呼び掛けたライブ「ダメゼッタイライブ」でパネラーを務めてくれた方です。和歌山ダルクの活動の紹介や回復訓練の様子を語ってくれました。

そんな池谷さんは、月曜日から金曜日まで、薬物から回復するためのプログラムを、施設入居者の方々が早期に社会復帰できるよう講義をしています。僕もその講義に参加しましたが、傷を癒すと言うよりも心の中を浄化していくような感覚がありました。そこで入居者の一人の方に話を聞きました。

「先日、こんなことがありました。道を歩いていたところ、後ろから来た自転車に接触されて転倒してしまいました。怪我はなかったので、私は自転車の人に対して『大丈夫ですよ』と伝えました。以前の私だったらこんな事故に遭遇した場合、相手に対して文句を言う、汚い言葉で『どうしてくれるんだ』など、金銭的補償をもらうような話をしていたと思います。

今回、心穏やかに相手に対して『大丈夫だから』と自然に言ったことを、自分でも驚いています。このプログラムを受講していることから、その結果、内心の変化があると思います。これは社会復帰につながるものだと感謝しています」と話してくれました。

続けてこの方は「刑務所に入っていましたが、受刑者の半数が薬物で刑務所に入っています。それほど多いのですが、問題は再犯率の高さにあります。二度、三度と繰り返すことが問題で、幸い私は若間ダルクに出会い受講していますが、多くの人は大丈夫だろうとか不安に感じています」という話を聞かせてくれました。

このように和歌山ダルクでは薬物依存症の人のための回復施設を所有しており、社会復帰のためのプログラムを実践しています。

質問3:和歌山ダルクとの連携について

和歌山県は薬物乱用防止の啓発活動と予防に努めていますし、和歌山ダルクは回復支援を行っています。この予防と回復の両方が大事な取り組みだと思いますから、和歌山ダルクとのこれまでの連携と来年度からの連携についてお聞かせ下さい。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:福祉保健部長

一般社団法人和歌山ダルクとのこれまでの連携としましては、県が設置している薬物相談窓口において、相談者が抱える悩みを丁寧に聴いた上で、個々の状況に応じた治療や支援に関する情報を提供しており、特に、入寮による回復支援を希望する方については、和歌山ダルクに繋いでいるところです。

また、和歌山県精神福祉保健センターでは、和歌山ダルクと個々の薬物依存症者の生活環境の変化などの情報を共有するとともに、状況に応じた回復支援方法について、緊密に意見交換を行っております。

これからの連携につきましては、薬物事犯者は、他の犯罪に比べ再犯率が高く、社会復帰に向けた回復支援が大変重要であることから、県としましては、和歌山ダルクと回復支援に向けた課題の共有や対応策の検討を一層進めるとともに、他の民間支援団体や関係機関と緊密に連携できる体制を早期に構築してまいります。

回復訓練のため是非とも和歌山ダルクとの連携を図って欲しいと思います。また女子刑務所には和歌山県立医科大学からも講義に行っていますが、和歌山ダルクも講師を務めることができるので、活動の一環として検討して欲しいと思います。