平成29年12月定例会一般質問 / 質問内容

5.農業振興について

群馬県に四年生の大学である中央農業大学校があります。この大学は「農と食を融合した「新たなアグリビジネス」を創造し開拓することを目指して平成23年に設立され、既に多くの卒業生を輩出、「農と食」の分野で新たな価値を生み出し、ビジネスとして展開できる若者を育成しています。

ここで学ぶコースは、ファーム農業経営学科、農業ビジネスコース、農業ICTコース、ガーデニングコーディネーターコース、食農調理師学科[6次産業化]があり、卒業生は地元での就農や農業ビジネス、食品関係の会社に就職しています。

また平成30年4月からは四年制農業大学校が開校可能となるので、よりレベルアップした知識と技術を取得することができることになります。中央農業大学校は既に四年生に対応することにしていて、アグリ産業の創出と実学、実践教育機会を提供する教育体制を整えています。

ここでの教育は、まず基礎から応用を踏まえた技能と資格の取得を図り、続いて企業、各種団体での問題解決能力とコミュニケーション能力の養成を図ることにしています。最終的には、農と食を融合した新たなアグリ産業創造し開拓できる職業人になることを目指したカリキュラムを作っています。

質問1:就農に向けた取組や就農希望者への支援制度について

「和歌山県で就農しよう」を訴えて、四年生の農業大学校の卒業生を和歌山県に来て定住し、就農してもらう取り組みをしては如何でしょうか。若い人が和歌山県に移住してくれ、就農してくれるなら人口と農業の後継者づくりの両方の効果があります。

そのために就農を希望する人のために、和歌山県でインターンシップを受け入れることの提携を図るなど、全国の農業大学校と交流機会をつくることも考えて欲しいと思います。

和歌山県における就農に向けた取り組みや、就農希望者への支援制度について、農林水産部長の見解をお聞かせ下さい。

答弁者:農林水産部長

就農希望者への就農支援制度についてでございますけれども、農業者の高齢化や減少が進む中、担い手の育成・確保は重要な課題であると認識しております。

このため、県内はもとより東京、大阪、名古屋といった都市部での就農相談会の開催や移住定住相談会での就農相談ブースの設置などにより、県外の方々に広く情報提供するとともに、就農に向けた助言を行っております。

また、農林大学校や就農支援センターでの技術習得研修の実施に加え、本県独自に各地域に設置した農地活用協議会による農地取得のあっせん等を行っております。

さらに、研修中や就農初期の収入を補うため、助成金や各種融資制度などにより支援を行っているところであります。

本県の農林大学校では、就農をはじめ、農業法人や農業関係企業への就農を円滑に行うため、県内各地域の先進的な農業法人や企業等でのインターンシップを取り入れております。

議員お話しの県外農業大学校からのインターンシップの受入については、本県への就農や移住を希望する学生の意向があれば対応してまいりたいと考えております。

質問2:四年制農業大学校からのインターンシップの受け入れや提携について

四年生の農業大学校のインターンシップ受け入れや、提携について考えて欲しいと思います。農林水産部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:農林水産部長

本県では、本年4月に農林大学校へアグリビジネス学科を新設し、生産から加工、販売まで幅広い知識を身につけ、経営感覚に優れた人材を育成しているところであります。

現在、コンビニエンスストアや地元食品加工事業者と連携した商品開発に取り組んでおり、今後はICTの先進技術についてもカリキュラムに取り入れるなど、農林大学校の魅力をより一層向上させ、地域で求められる人材を育成してまいりたいと考えております。

議員お話しのサテライト校の誘致につきましては、本県農業振興の観点から、需要があれば、今後研究してまいりたいと考えております。

質問3:四年生農業大学校のサテライト校の誘致について

和歌山県にも農業大学校がありますが、県外の四年生の農業大学校のサテライト校を誘致することで更にレベルの向上が図れると思います。四年生農業大学校のサテライト校の誘致をしては如何と思いますが、農林水産部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:農林水産部長

本県では、本年4月に農林大学校へアグリビジネス学科を新設し、生産から加工、販売まで幅広い知識を身につけ、経営感覚に優れた人材を育成しているところであります。

現在、コンビニエンスストアや地元食品加工事業者と連携した商品開発に取り組んでおり、今後はICTの先進技術についてもカリキュラムに取り入れるなど、農林大学校の魅力をより一層向上させ、地域で求められる人材を育成してまいりたいと考えております。

議員お話しのサテライト校の誘致につきましては、本県農業振興の観点から、需要があれば、今後研究してまいりたいと考えております。

質問4:農福連携の取組に対する県の考え方について

続いて農福企業連携に関しての質問です。

人口減少や高齢化が進行する中で、福祉分野と農業分野が連携した「農福連携」の取組が各地で盛んになっており、政府が定めた「日本再興戦略2016」及び「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月閣議決定)では、農業分野での障害者の就労支援等の推進の観点から、農福連携の推進が盛り込まれるなど農福連携に対する関心が従来にも増して高まっています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、持続可能な調達基準に「障がい者が主体的に生産に携わった農産物等」が加えられるなど、農福連携の取り組みを後押しする動きがあります。

こうした農福連携の取り組みは、地域における障がい者や生活困窮者の就労訓練や雇用、高齢者の生きがいや介護予防の場となるだけでなく、高齢化や過疎化などの問題を抱える農業にとっても、働き手の確保や地域農業の維持、更には地域活性化にもつながり、より一層の推進が求められているところです。

「農」や企業の場合は自社の経営や社会貢献の面から、福祉の場合は施設の障がい者の健康増進や生きがい、障がい者の賃金向上の面から取り組まれているようです。

大阪府では「障がい者と作る街なか農業」を推進していて、既に多くの企業が障がい者を雇用して農業を推進している事例があります。

一つの事例として「社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会。支援センターつなぐの」ではJRの協力を得て、JR高架下に栽培ハウスを建設し障がい者が水耕栽培の仕事をしています。

水耕栽培は障がいの程度や年齢に関わりなく個人の適性に応じた作業がやりやすい仕事だそうです。

この「支援センターつなぐの」を始めとする農業と福祉の連携に取り組む企業は「ハートフルアグリサポートセンター」に参加しています。この「ハートフルアグリサポートセンター」は大阪府が、障がい者の雇用・就労による企業の農業への参入を促進するために設置しているもので、企業や障がい者事業所にとつてワンストップサービスを受けられる窓口として評判になっています。

和歌山県として農福連携、農福企業連携の取り組みを行って欲しいと思いますが、その考えはありますか。知事の答弁をお願いします。

答弁者:知事

農福連携については、農業への多様な担い手の参入を促すひとつの手法であるわけですが、農業の発展だけではなくて、障害者雇用の観点からも非常に重要なことと考えております。

私はそんなに医学的あるいは専門的な知識はありませんけれども、どう考えても大地とか生物とか、そういうものと接するような生活をすることによって、障害のある方とか、そういう方々がいきいきと生活できるんじゃないかなと思う次第でございます。

県では、農業への参入を希望するNPO法人や社会福祉法人に対して農地のあっせんを行うとともに、農業技術の習得や販売促進への支援などにより農福連携の取組を推進してきたところで、現在、A型事業所50か所のうち12か所が農業に参入しております。

今後も、これまでの取組に加え、企業の社会的貢献と結びつけた農福・企業連携の取組についても、関係団体と連携を図りながら推進してまいりたいと考えております。

質問5:農福連携の推進について

この取り組みを行っている方に「和歌山県での事業推進」について訪ねたところ、「大阪府のように、和歌山県が本気で農福推進をしようと考えているのかがポイントになります」と話してくれました。

企業は社会的使命から障がい者雇用を図りたいと思っていますし、障がい者の立場からも、自分達が水耕栽培などの仕事を通じて企業や社会のお役に立ちたいと思っています。マッチングが図れるしくみがあれば、和歌山県でも農福連携は可能だと思います。

大阪府が設置している「ハートフルアグリサポートセンター」のような農福連携のワンストップサービス窓口を設けることで本気度が分かると思いますし、推進していくことができると思います。農林水産部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:農林水産部長

農福連携を進めるうえで関係部局との連携が不可欠であり、相談窓口の一元化を図る観点から、議員お話しのワンストップ体制は重要であると考えております。

今後、一元的な体制のあり方も含めまして、関係部局と検討してまいりたいと考えております。