平成29年12月定例会一般質問 / 質問内容

こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。最後まで、よろしくお願いいたします。

1.空き家対策について

最初の質問は空き家対策についてです。

全国的に空き家が問題になっていますが、和歌山県でも空き家が増加しているようです。平成25年の住宅・土地統計調査による和歌山県の空き家率は18.07パーセントで、全国で3位となっています。1位が山梨県、2位の長野県になど続く全国3位の高い空き家率になっています。

また和歌山県の空き家の戸数は約86,000戸で、現在も増加傾向にあるようです。

空き家が問題になるのは、それが増加することによる当該住宅地の価値が低下することや、倒壊などによる安全性の問題の他、衛生上、景観上の問題や、火災発生の誘発、不審者や動物侵入の恐れ、周辺住民とのトラブルが発生すること、建物が老朽化すると売買、賃貸の可能性が低くなるなど、多くの懸念があるからです。

空き家の問題を大きな視点で捉えると、「都市のスポンジ化」という現象が発生していくことになるようです。都市の人口が減ることで、空き家がランダムに発生し、街中がスポンジのようにスカスカになってしまうことです。

この「都市のスポンジ化」への対策としてコンパクトシティを目指すことは理想ですが、実際に人を行政が思うように通り動かすのは難しいことです。

この問題に関して首都大学東京の饗庭伸(あいば しん)教授は、「都市は拡大するときは30年くらいでバーンと大きくなってしまいますが、小さくなるときは50年、100年といった時間がかかります。そしてその時に、確実にスポンジが出てきてしまう。50年後に都市が小さくなるからといって、50年間何もしないというのは人々の生活を支えることにはなりません。だから、スポンジの穴をどう使うかといった議論が必要なのです」と話しています。

この問題に対応するため和歌山県内の市町村では空き家法に基づき、特定空き家に対し、順次、助言、指導、勧告、命令手続きを実施することにしていますし、所有者を確知できない場合にはこの手順によらないで略式代執行の実施を可能にしています。またマイホーム借上げ制度の普及促進に取り組んでいると思います。

和歌山県の空き家対策は、「中古住宅の流通」、「空き家の適正管理」、「管理不十分な空き家の除去と修繕」の三本柱の対策を実行中だと思います。

質問1:空き家法施行後の空き家対策の状況と今後の取組方針について

和歌山県と市町村が実施してきた空き家法施行後の空き家対策の状況と、今後の取り組み方針について、知事にお尋ねいたします。

答弁者:知事

適切に管理されていない空き家は、防災や衛生、或いは景観上、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼすとともに、土地の流動化を図り、地域の活性化を進めるうえでも、大きな阻害要因となり得ることから、空き家対策は喫緊の課題であると思います。

このため和歌山県では、大きく分けると空き家の流通促進と不必要な空き家の除去ということだと思いますが、後者については全国に先駆けて平成24年から「建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例」、時々、私は冗談っぽく廃墟片付け条例と言っておりますが、この条例を作り先鞭をつけておりました。

ただ、国も追いついて参りまして、平成27年に空き家法が施行されたわけでございます。この空き家法では、空き家対策の主体は市町村とされているわけでありますが、県も一体となって取り組む必要があると考えて、昨年度の新政策に「空き家対策の促進」を掲げ、県・市町村・学識経験者等で組織する「和歌山県空家等対策推進協議会」を設立いたしました。何でつくったかと言いますと、住民と直接接しているのが市町村でございまして、市町村の方々が住民との間で「あの担当者だけは厳しい」とか、「よその町は緩いのになぜ、うちの町だけきついこと言うのか」とか、こういうようなことを言われ始めると市町村長さんも、或いは、担当の職員も立つ瀬がございませんから、共通で合理的な判断基準を策定いたしまして、どの市町村であってもこの基準をもって対処しようというような環境を作ろうとしたわけでございます。

こうしたところ、これまでに市町村は、この判断基準を活用してくださって、約1,300件の適切な管理を促し、これにより約400件の除却や修繕に至るなど、成果が生まれてきております。私も、県下の町並みを最近見ているとかなりそうであるなというふうに実感するところもございます。

県としては、新政策で掲げた空き家の状態に応じて、今、申し上げたような除却はもちろんでございますが、使えるものについては議員ご指摘のように修繕もしながら流通・適正管理をするということをやりたいと思っておりまして、そういうことを市町村もちゃんとできるように、相談体制の整備とか、或いは、マニュアルの作成とか、そういうことを、引き続き、市町村や関係団体と連携しながら、空き家対策を総合的に推進してく所存でございます。

質問2:市町村が取り壊した場合の費用負担について

空き家を市町村が取り壊した場合の費用負担はどうなっていますか。所有者が判明している場合と所有者が判明していない場合がありますから、それぞれお答え下さい。

また所有者が判明していない場合、市町村の負担が大きいと思いますが、これに対する支援はありますか。県土整備部長の答弁をお願いします。

答弁者:県土整備部長

市町村が空き家法に基づき自ら空き家の除却などの対策を講ずるには2つの手法がございます。一つ目は、所有者等に対し、必要な措置をとるよう助言・指導、勧告、命令を行っても、なお、必要な措置が履行されない場合の行政代執行となります。二つ目は、所有者等を確知できない場合の代執行で、いわゆる、略式代執行と呼ばれているものでございます。

その費用につきましては、いずれの場合も所有者等が全額を負担することが基本となってございますが、除却費に充当可能な所有者等の財産が存在しない場合などにおきましては、結果として市町村が負担せざるを得ないことがございます。

これらの取組に係る市町村への財政的な支援についてですが、略式代執行の経費の一部は、国の助成制度の対象となっており、本年8月に実施された橋本市による代執行おいても活用されてございます。

なお、財政的な支援ではありませんが、県では、市町村の行う空き家の現地確認に立ち会うほか、必要な手続き等について、情報提供や助言を行ってございます。

さらに、所有者等が不明・不存在の場合の対応を円滑に実施するため、現在、「和歌山県空家等対策推進協議会」において、所有者等の確知方法や代執行、財産管理人制度の活用等に係るマニュアルの整備に取り組んでいるところでございます。

質問3:取り壊し費用のあり方について

活用しない、売却が出来ないなどの理由で空き家になっている家屋を取り壊す場合、相続をした子どもなどの所有者が費用負担をすることは、空き家の規模によって違いますが、平穏な生活をしている人にとって相続した空き家の取り壊し費用を負担することは大きな負担になります。

空き家の取り壊しのために、一気に200万円などの費用が発生する場合、「空き家のまま置いておこう」と考えても責められないと思います。

そこで行政の空き家担当箇所が所有者と取り壊しの話をする場合、取り壊し費用の分割支払いを可能にするだとか、将来売却できた時に一括支払いをするので、それまで猶予するなどの方法も考えられると思います。

空き家を取り壊す意思があっても取り壊すことが出来ない相続人のために、支払方法などの提案も有りだと思いますが、如何でしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。

答弁者:県土整備部長

空き家法では、第一義的には、特定空家等の所有者は、自らの責任において必要な措置を講じる必要がございますが、一方で、市町村は所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、その所有者等に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとされてございます。

こう言うことで、市町村では、空き家の相続人等に対して必要な措置をとるよう助言・指導等をする際、自ら助成制度を設けている場合には、その活用を助言するほか、空き家の相続時の譲渡所得控除等の税制優遇措置や解体工事に係る金融機関の融資制度を情報提供するとともに必要に応じて関係団体等を紹介しているところでございます。

これらの制度を活用した売買、処分等の手法提案については、所有者等が自ら対策を講ずるための有益な手法の一つであると思料されますので、「和歌山県空家等対策推進協議会」においても、相談体制の充実など、その対策の実施を検討してまいります。

県といたしましても、今後とも、市町村や関係団体の皆様と連携しながら、空き家所有者自らが、その対策に取り組みやすい環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。