2017年8月関西広域連合議会定例会一般質問 / 質問内容

1.関西におけるエネルギー問題について

関西広域連合では、平成26年3月に「関西エネルギープラン」を策定し、関西における望ましいエネルギー社会の実現に向けエネルギーに関する取組の方向性と重点目標を示し、構成府県市等との連携と役割分担のもとに取り組みを行っていると聞いております。また、関西創生戦略や第3期広域計画において安価で安定した電力供給体制の確立や再生可能エネルギーの導入促進、水素社会の早期実現などを目指すこととしています。

関西には「燃える氷」と呼ばれるメタンハイドレート資源が日本海、太平洋側の双方に存在することから、その賦存調査、採掘技術の開発の研究が行われており、また再生可能エネルギーである海流発電については、その実証フィールドの整備などの検討を進めているところであると思います。

質問1:メタンハイドレートや海流発電の適地性と産業振興について

産業活動の中心となる地域への電力系統は安定と安全性確保のため、大阪を中心にした場合、北側と南側から送電する2系統が必要であると考えます。

特に南側からの送電系統については、和歌山県は平成29年3月に策定した「和歌山県長期総合計画」において、関西のエネルギー供給基地化を目指すべき方向としおり、現在ある系統を生かすこと、関西の産業基盤が集積する京阪神地域への電力供給の安定を図る意味からも、太平洋側のメタンハイドレートや海流発電の実証フィールドの整備を図ることが、関西のエネルギー構成を最適化及び安定的かつ安全な電力供給に資するとともに、関西のエネルギー産業の発展・振興を図るものになると考えますが、各構成府県市が取り組むメタンハイドレートの調査と採掘、海流発電の実証フィールド誘致の取り組みについて、関西広域連合としての考えやどのような取り組みを考えているのかお尋ねします。

答弁者:松井委員(大阪府知事)

メタンハイドレートの開発や、海流発電などの海洋再生可能エネルギーの活用は、エネルギー自給率の低い我が国にとっては、中長期的なエネルギー政策を推進する上で重要であり、また関連産業の振興にもつながるものであります。

メタンハイドレートについては、わが国において、ガス産出試験等を実施していると聞いていますが、和歌山県、また日本海に面する京都府、兵庫県、鳥取県において、表層型メタンハイドレートの賦存状況調査等、国等への詳細調査や資源開発の働きかけ、府県民への情報発信などの取り組みが進められております。

また海流発電については、国において、今般、実海域での大規模実証試験が、鹿児島県で開始されているところであり、和歌山県でも潮岬沖の黒潮を利用した海流発電の実現を目指した取り組みが展開をされております。

関西広域連合といたしましては、これまで国に対してメタンハイドレート資源の調査、採取技術の開発や、海流発電等の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドの整備などを着実に推進することを要望してきたところです。今後も、国の実証試験等の進展を注視しつつ、構成府県市の取り組みを踏まえ、国等への働きかけを行うなど必要な取り組みを進めてまいります。

国は今年4月11日に「水素社会の実現を目指す」ための関係閣僚会議を開催し、年内に水素ステーションの安全基準など具体的な規制緩和等を盛り込んだ基本戦略を策定し、燃料電池車や水素ステーションの整備などの普及を後押しすることにしています。首相が「日本は世界に先駆けて水素社会を実現する」と話していることから、関西広域連合として推進姿勢を示すことは、関西のエネルギー産業にとって重要なメッセージとなります。

平成28年10月31日、水素エネルギーの活用と水素社会を目指した取り組みについて、千代田化工建設株式会社において調査をしてきました。

水素は燃焼しても二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーですが、生産と運搬コストが高いことなどからエネルギーとしての利用は進んでいません。しかし、同社は、気体の水素をトルエンと反応させ、500分の1の体積の液体として圧縮し、常温・常圧で取り扱う技術を開発しており、7月27日付けの日本経済新聞に、ガス火力発電所の燃料に水素を混ぜて使用することで使用量が増加し、コストが下がる可能性があることから、同社をはじめとする企業が2020年から水素の輸入を開始し、ガス火力発電所に供給を始めるとの報道がありました。

今回のように火力発電所への水素供給や、国が目指している自動車用の水素ステーションの導入促進などの動きから、水素社会実現に向けた流れが一気に加速していくことも考えられます。日本か世界に先駆けて水素社会を目指すのであれば、関西はわが国の水素社会の最先端モデルを目指して欲しいと思います。

そのために水素エネルギーに関係する事業への支援などによる産業振興化を図ることが不可欠だと思います。

質問2:水素エネルギー導入による産業振興について

すでに関西広域連合は関西創生戦略において、関西圏における水素エネルギーの利活用の実用化に向け、広域的な取り組みの検討、企業支援、普及啓発を実施することとし、水素社会実現のため関西圏における水素関連産業への参入事業者数の目標を設定しておりますが、関西広域連合域内における水素エネルギーの活用を図るための実証試験の現状及び各構成府県市における取り組みや関西広域連合として、今後、水素エネルギー産業の一層の振興を図るためにどのような取り組みを行っていくのか。

担当委員のご所見をお尋ねいたします。

答弁者:松井委員(大阪府知事)

水素エネルギーとして本格的に利活用する水素社会の構築は、二酸化炭素排出量の削減はもとより、エネルギー源の多様化、さらには産業振興につながる意義深いものであります。

現在、国のロードマップ等を踏まえ、各地で水素に関する実証プロジェクトの動きが活発化しており、関西広域連合域内でも、神戸市において、海外の未利用エネルギーを利用して製造した液化水素の大規模供給システムの構築などを目指した実証が実施されています。

また大阪府内でも、関西国際空港における燃料電池フォークリフトの実用化に係る実証などが展開をされております。

関西広域連合では、平成27年度から、大学等の水素関連分野の研究成果を民間企業に紹介をし、実用化につなげる取り組みを実施することにより、企業の新規参入の促進を図っております。

また今年度から開祖関連プロジェクトの状況や水素利活用製品の導入可能性等のポテンシャルを把握し、水素発電の本格導入が想定される2020年代後半における広域的なサプライチェーンの構想を策定する予定です。

この成果を活用して水素関連分野の可能性や水素社会の構築につながる将来の絵姿を発信し、関係者で共有することで、構成府県市を始め域内の自治体、さらには民間企業において、水素関連の新たな連携やプロジェクトの創出など様々な取り組みが進展するように促してまいります。

質問3:メガソーラー発電に対する考えについて

再生可能エネルギーの一つメガソーラーに関する質問を行います。メガソーラーの建設に関しては、大規模な林地開発による環境保全の問題、台風や大雨などの災害発生時に地域の安全性が損なわれる恐れがあることなどの問題、そして固定価格買取制度による多くの家庭への負担の増大などの問題も表面化し始めています。

メガソーラー導入に当たり大規模な林地開発を行う場合の地域環境との調和、周辺の景観との調和、また固定価格買取制度の問題点の解消を図りつつ、再生可能エネルギーの推進を図ることが重要であると考えますが、関西広域連合としての考えをお伺いします。

答弁者:三日月委員(滋賀県知事)

平成24年7月に固定買取制度が創設されて以来、わが国の再生可能エネルギーの導入は着実に進んでおり、中でも太陽光発電を中心に導入が拡大しています。

一方で、太陽光発電設備の急激な増加に伴いまして景観や自然環境、防災上の懸念等をめぐり、地域とのトラブルが生じているケースもあると聞き及んでおります。

こうしたことを受けまして、国においては本年4月に施行された改正FIT法により、関係法令の順守など再生可能エネルギーツ葉電事業者における適切な事業実施の確保等を図るための新たな事業計画認定制度が創設されたところでございます。

併せまして、これに係る具体的な考え方を示すと共に、法令の規制がかからない事項について適切な実施を促すものとして、本年3月に「事業計画策定ガイドライン」が策定されたところです。

関西広域連合としても、再生可能エネルギーの導入促進にあたりましては、環境への負荷低減を実現しつつ、長期にわたり安定的に発電が継続されることが重要と考えておりまして、今後、国とも連携しながら、こうした改正FIT法やガイドラインの趣旨を事業者に対して周知し、地域と共生した形での事業実施が図れるよう、努めてまいりたいと存じます。

また先程来、連合長も答弁しておりますとおり、構成府県市の間でも既に再生可能エネルギーに関する現状や課題等について情報交換を行っておりますが、今後は、太陽光発電と地域環境との調和に関する先行事例、費用護憲の事例を含めてですね、ノウハウを更に共有していくとこで、構成府県市の対応を支援してまいりたいと存じます。