2017年8月関西広域連合議会定例会一般質問 / 質問内容

こんにちは。和歌山県議会選出の片桐章浩です。議長のお許しをいただいたので、通告に従い一般質問を行います。

1.明治維新150年など歴史・文化を切り口とした関西広域観光について

本日8月24日は、一人の偉人がその生涯を閉じた日です。皆さんもご存知かと思いますが、外務大臣の中で、外務省に唯一の銅像が建てられている陸奥宗光外務大臣が亡くなって、120年目の命日が今日なのです。

陸奥宗光は高野山無量光院で永大供養されていて、先日無量光院を訪ねて120年目の法要を行ったところ、住職は「外国と対等に交渉をした最初の日本人であり、わが国の誇りですから国レベルで語り継いでいって欲しいと思います」と話してくれたわが国を代表する人物です。

そういった日である本日、「陸奥宗光伯 没後120年記念会−大政奉還・明治維新150年−」と題して、和歌山市内の有志団体がシンポジウムを開催しており、講師として京都国立博物館の宮川禎一 (みやがわ ていいち)上席研究員〔京都大学大学院教授〕に「坂本龍馬と陸奥宗光」、外務省外交史料館の富塚一彦 (とみづか かずひこ)「日本外交文書」編纂室長〔外交公文書編纂官〕に「陸奥宗光外務大臣 没後120年の外交」のタイトルでそれぞれ基調講演をしてもらっているところです。

講演の後には、宮川先生、冨塚室長と教育職員OBも含めたメンバーによるシンポジウムを行い、大政奉還から、近現代のわが国を創った先人の歩みを、これからの教育にどう活かすかを語り合ってもらいます。

このシンポジウムの他にも既に、陸奥宗光の生涯を講談師によって口演する「七夕講談会」、青少年向けに「すばらしい先輩・陸奥宗光に学ぶ −明治の世、和歌山と日本・世界をすくう−」学習会、「陸奥宗光外務大臣も学んだ航海術の基礎を体験しよう!」帆船体験学習が実施され、9月には「伊都・橋本・五條が育んだ明治の偉人 陸奥宗光フォーラム」、10月から12月までの毎月、「陸奥宗光ウォーク」が計画されています。

また行政の取り組みとして、和歌山県が「没後120年陸奥宗光顕彰事業」を、現在は岩出市に移築している明治31年に建設された旧和歌山県議会議事堂において9月に開催し、和歌山市は11月に特別展「幕末の紀州藩」を和歌山市立博物館において開催する予定であると伺っております。

冒頭、紹介した陸奥宗光は明治政府で外務大臣を務め、当時、明治政府の最大の懸案であった列強諸国との間で締結されていた不平等条約の改正を実現させるなど、「カミソリ大臣」の異名で呼ばれ、近代国家としてのわが国の基礎を築いた和歌山県が生んだ偉人です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが陸奥宗光は坂本龍馬の弟分であり、龍馬をして「刀を二本差さなくても食っていけるのは、俺と陸奥だけだ」と言わしめ、龍馬暗殺の後、その遺志を受け継いで国を明治維新へと導いた重要人物の一人です。

また今年は陸奥宗光が没してから120年目となり、京都市が「大政奉還」から150年の節目として実施している、幕末に京都で活躍した先人たちと縁(ゆかり)を持つ都市が相互に交流・連携を図りながら、幕末維新をテーマとした文化・観光等の振興などを目的とした記念事業を行う「大政奉還150周年記念プロジェクト」において、国の行く末を案じて行動した偉人の一人としても、陸奥宗光は取り上げられています。

この京都市が実施している「大政奉還150周年記念プロジェクト」は、「大政奉還」など幕末・明治の近代日本の創造に活躍した先人の歩みという歴史・文化を一つの切り口として、京都、大阪や和歌山など幅広く関係する地方自治体を巻き込み、わが国の歴史や文化に興味を持つ訪日外国人など、国内外の観光客が関西一円を周遊してもらえる広域観光の一つのモデルとなる素晴らしい取り組みであると思います。

このプロジェクトに関しては参加している都市だけではなく、関西広域連合としても各構成府県市の秋の観光施策との連携を働きかけるなど、秋にもっと関西に観光客が来てもらえるような盛り上げを図って欲しいと思います。

ところで、平成30年は江戸幕藩体制を崩壊させ、中央集権統一国家の建設とわが国の資本主義形成の起点となった政治的・社会的変革と言われる明治維新から、150年の節目です。国においては各都道府県や政令指定都市により実施する明治維新150年に関連する施策をとりまとめているところと聞いております。

例えば、京都府では「明治150年(京都府庁150年)を記念する企画展」、京都市では「明治維新150年・京都の奇跡の開設」、大阪府では「明治の森箕面公園指定50周年記念事業」、奈良県では「歴史文化資源データベースの構築」、福井県は「幕末明治福井150年博の開催」を計画しており、堺市では「与謝野晶子生誕140年記念イベント」を計画して、国家的行事である明治維新150年を迎えようとしています。

このように関西広域連合の各構成府県市や連携団体の福井県が明治維新150年という節目の年に様々な取り組みを計画していることから、関西広域連合として、「明治維新150年」の記念すべき節目を関西の広域観光の一つのツールとして生かすべきだと思います。

関西広域連合は、平成28年に改定した「関西観光・文化振興計画」や本年4月に改訂した「関西創生戦略(2017改訂版)」において、歴史、文化、伝統の宝庫である関西を「アジアの文化観光首都」とすることを目標としており、また「富岡製糸工場と絹産業遺産群」や「明治日本の産業革命遺産 製鉄、鉄鋼、造船、石炭産業」が世界遺産に登録されたことにより、明治時代に関わるに歴史や文化に外国人の関心も高まりつつあると思われることから、わが国が近代国家として誕生する夜明けとなった明治維新から150年は欧米諸国をはじめアジアからも外国人観光客を誘致することができる絶好の機会だと思います。

かつて「薩長土肥」と呼ばれた、鹿児島県・山口県・高知県・佐賀県の4県は、「平成の薩長土肥連合」と銘打って、幕末維新期の史跡や街並み、ゆかりの地などの観光資源を十分に生かし、共同して幕末維新期の歴史や人物をテーマとした広域観光ルートを設定し、旅行商品を造成するなど、明治維新150年や幕末維新を活用した広域観光プロジェクトに取り組んでいると聞いています。

明治維新は、欧米列強に抑圧されていたアジア諸国でほとんど不可能であった近代化革命が、なぜ日本で成し得たことなど、特にアジアの国々にとっては関心を持っていると思われ、その明治維新の大きな舞台となった京都をはじめとする関西は、歴史・文化観光の地としても魅力的で、今以上に、国内外の観光客を呼び込むポテンシャルがあると思います。

質問1:

関西広域連合としても、この「明治維新150年」を現在改訂の検討を進めている「関西観光・文化振興計画」に観光素材の一つとして取り込み、例えば京都市の「大政奉還150年記念プロジェクト」で実施している参画都市をスタンプラリーで巡る取り組みのような、関西に縁のある偉人やその足跡などの歴史・文化を切り口とし、関西広域連合域内に訪日外国人旅行者を誘致する周遊ルートを設定するなどの取り組みを行ってみてはどうか。

また関西広域連合の各構成府県市を代表する幕末維新期の偉人について、各団体がリレー方式で偉人サミットを開催するなどの取り組みを行ってみてはどうかと考えますが、担当委員のご所見をお伺いします。

答弁者:山田委員(京都府知事)

明治維新150年でありますけれども、明治100年記念の時におきましても日本政府主催で記念式典が開かれ、各地域で様々な講演やイベントが行われたようです。来年の150年につきましても、内閣官房に今、「「明治150年」関連施策推進室」が設置されまして、各府省庁が連携し、「明治150年」関連施策各府省庁連絡会議におきまして、来年の色んな事業について検討を始めています。

その中では、明治以降の歩みを次世代に遺すこと、明治の精神に学び、さらに飛躍していくなどの方針が、今、示されているところでありまして、まあ、基本的にはイベントや展示会等によって明治を振り返りながら、これからの日本を考えるというような取り組みになっていくんだろうというふうに思いますけれど、先程、ご紹介にありましたように各自治体でも、薩長土肥などの明治維新にゆかりのある地域が連携したPRイベントなどが計画されているところであります。

こうした中、関西は、ご指摘にありましたように正に明治維新の中心の地であります。明治維新にまつわる歴史遺産が京都はもちろん、大政奉還も今年で150年で、京都市を中心に取り組みが進められていますけれども、明治維新の舞台になった地でありますし、様々な中で事変も起こっている明治維新のきっかけになった奈良の天誅組ですとか、鳥羽伏見の戦い、そして明治維新以降の淡路島の帰属を巡って、結局、徳島から兵庫に移った稲田騒動ですね、幅広い色んなことが起こっています。

産業面におきましても、例えば琵琶湖疏水のようなですね。正に明治の近代遺産の代表から日本で始めて直轄鉱山になった生野銀山、更には来年開港150年を迎える神戸港とかですね。非常に多くのことがありますし、偉人に至っては陸奥宗光を始め数えきれない人がいるわれでありますので、こうしたものを明治・明治維新ということをキーワードに我々も大きな資源を財産としてまとめていくことは必要かなと思っているところであります。

ちょうど、文化庁の関西への全面移転もありますから、守る文化から活かす文化へというふうに変わっていく時代でありますので、その点からもですね、明治維新150年を機にこうした様々な明治を巡る関西観光本部とも十分協議をしながら作っていきたいなというふうに思っているところであります。

ただ、偉人サミットとか具体的な取り組みになりますと、多分、関西広域連合と共に各府県政令市と協調していかなければならないと思いますので、明治維新150年について、こうした各構成府県市の取り組みの検討状況を踏まえながら、関西広域連合として上手く統一あるような事業ができるように、これからもそういう努力をしていけたらなと考えております。