3.子どもの貧困対策について
続いて、子どもの貧困についての質問です。
子どもの貧困問題は、特に非正規雇用の増加やひとり親家庭の増加などから社会問題になって久しいところです。
そのため子どもの居場所づくりや学習支援など、子どもの生活を地域で支える取り組みが実施されていますが、その一つとして子ども食堂があります。
子ども食堂とは、保護者の就労などにより家庭で保護者と一緒に食事を摂ることができない子どもの孤食を防ぐため、夕食の提供や交流を図り、参加する子ども同士、地域の大人と共に食事をして交流する機会を提供する活動です。
先日、その内の一つを訪問して一緒に夕食をいただいてきました。
この子ども食堂は、大人は参加費300円を支払うことで食事をいただけます。玄関を入るとスタッフの皆さんが「お帰り」と挨拶をして迎えてくれます。子ども食堂が「ここがみんなの居場所だよ」と伝えているように感じられます。
夕食はボランティアの方々が作ってくれています。食材の提供もボランティア、調理も運営も全てボランティアが担ってくれています。子ども達が夕食を楽しめるように笑顔で迎え、声を掛けている姿が印象的でした。
運営の課題として、食材の調達や、食事を必要としている子どもを見つけ集めることが難しいことがあります。各地域で子ども食堂の取り組みが増加している中、運営に関わる支援も必要かと思います。
子ども食堂が増えている状況などがあることから、和歌山県における子どもの貧困対策の取り組みはどうなっていますか。また、子ども食堂への支援など、今後の取り組みや考え方について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
子供の貧困対策につきましては、平成29年3月に策定しました「和歌山県子供の貧困対策推進計画」に基づき、貧困の世代間連鎖を断ち切るため、大学への進学を支援する給付金制度や子供の居場所づくり事業など、多岐にわたる施策を総合的に実施しています。
次に、子供食堂への支援についてですが、平成28年度新政策としまして、子供食堂に係る設備改修や備品購入に補助を行う「和歌山こども食堂支援」事業を立ち上げ、様々な事情で一人で食事をしなければならない子供達に、大勢で食卓を囲み温かい食事を提供し、人と人とのつながりを通じ安心して過ごせる居場所づくりを推進しているところでございます。
昨年度は4か所の開設を支援し、今年度も既に4月から募集を開始しており、現在2か所からの申込みがあります。
なお、県では、子供食堂について、現在のところ県下20か所での開設を把握しております。
今後は、子供食堂の活動情報の認知が十分でないため、県のホームページや、より身近な市町村を通じて、支援を必要とする人への周知を図っていきたいと考えております。
さて子どもの貧困対策として、企業、食料生産者、卸業者、小売業者、個人から、まだ安全で食べられるにもかかわらず処分してしまう食品を提供してもらい、子ども食堂や経済的支援を必要としている人などに食品を分配し、配布する支援事業としてフードバンクがあります。
フードバンクの代表例として山梨県や福岡県の事例があります。食べられるのに廃棄される食品を企業から提供を受けることやコンビニで販売しなくなった消費期限前のパンや弁当、おにぎりなどの食品を無償提供してもらい、NPO法人などを通して経済的環境に恵まれていない家庭の子どもたちに届けるしくみを作っているようです。
和歌山県の場合、経済的支援を必要とする子ども達に対して食品の提供をしたいと思うメーカーや小売店があったとしても、県に受け入れるしくみがないため対応が出来ない状況にあると思います。
子ども食堂などフードバンクを通じて食品の配分のしくみを作っている県では、地元のNPO法人などと連携しているようです。
そこで和歌山県内でフードバンクに取り組んでいる団体がないか探したところ、「フードバンク和歌山」という団体が活動していることを知りました。
この団体は平成27年度からフードバンク活動を行っていて、県内の行政、児童養護施設、自立援助ホーム、その他の社会福祉施設、子ども食堂、個人に食品を配付しているようです。
ところでいくつかの課題があると聞きました。
一つ目は、県内の自治体や民間から食品提供の要望がきていることから配布する食品が不足し始めていることです。特にお米が不足していることから、十分行き届かない状況にあるにようです。
二つ目は、他の県の取り組みと比較して企業からの支援が少ないことです。県内食品事業者やスーパー、コンビニなどに賞味期限前の食品提供を依頼しても、活動の主旨は理解してくれるのですが、食品の安全性の確保などの問題から譲ってもらうことは厳しいようです。食べられるのに食品廃棄していることと、その食品を必要としている生活困窮者に届けることが課題です。
三点目は、情報発信力が弱いことです。同団体の職員さんが企業に食品などの支援依頼に出向いても、担当者が対応してくれるだけでトップまでつながらないことが多く、支援をしてくれる企業が少ないことです。フードバンクの支援の呼びかけを県が発信してくれるなら企業の姿勢も変わると思います。
四点目は、国の所管が分散していることです。省庁窓口の一元化が図れていないため、どこに課題の相談を持ちかけて良いのか分からないこと。また各省庁から報告書提出などの依頼が届くようですが、あちらこちらから届くので仕事量が増えています。
このことは県にも当てはまる課題です。フードバンクは、福祉、環境、農林、商工など複数が窓口になるため一元化できていません。そのため社会的な問題となっているにも関わらず所管が決まらないため、相談をしたくてもできない状況にあるようです。
是非とも県として対応窓口の一元化を図るなど支援を検討して欲しいと思います。
今後は更に、生活困窮者や子ども食堂など食品を必要とする方々に配布できるようなしくみづくりが必要だと思います。
そこで質問です。経済的支援を必要としている人に向けのフードバンクの取り組みは重要だと思いますが、側聞したところ和歌山県の取り組みと行政の理解、支援は遅れているようです。
ひとつ。子ども食堂などへの支援が拡大していることから、食品確保が不足し始めています。県からフードバンクの必要性について情報発信など支援をして欲しいと思います。
ふたつ。この問題に関して県の対応窓口の一元化を図って欲しいと思います。現代は問い合わせに対してワンストップサービスは基本だと思いますから、考えて欲しいと思います。
以上の点について福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
「フードバンク」は、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品を、必要とする人に届ける仕組みであります。この仕組みは、食品ロスをなくすだけなく、経済的な支援を必要とする人にとって有意義なものであり、安定した食材調達を必要とする子供食堂の持続的な運営にも貢献しているものと認識しております。
今後は、フードバンクの仕組みや意義を県のホームページ等で周知してまいります。
なお、既に取り組んでいる府県の先進事例も踏まえまして、本県では何ができるのか、窓口体制も含めて検討してまいりたいと考えております。
福祉保健部長からは、窓口対応を検討するという答弁でした。フードバンク和歌山が担っている活動をご存知ですか。「その日の食べ物がない」という電話が毎日のように入り、その都度、個別に食料を届けているのです。その範囲は和歌山市から新宮市までに及んでいます。生活に窮している家庭に食べ物を届けている。
これは本来、福祉行政の担うべき役割ではありませんか。このような現状があるにも関わらず一団体に任せている。そんなことで良いのですか。
フードバンクの支えがなければ生活できない生活困窮者がいると言う現状を踏まえて、県が検討して何時頃まで結論を出すのですか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
議員御質問のフードバンクの取組につきましては、大変重要なものと考えております。
そういった意味で、本県といたしましては、昨年度から子供食堂への支援に取り組んできたところです。
今後とも、子供の貧困対策を進めていくため、フードバンクの仕組み等を今以上に勉強し、県として何ができるのかということを早急に検討した上で、県全体で取り組んでいきたいと考えています。
【要望】
福祉保健部長の答弁をいただきましたけれど、僕がこの一般質問をするということで、ブログで発信したところ、知らない方から「フードバンク、和歌山でやるのか」かと「ボランティアをするぞ」とかの反応がありました。例えば、昨日、訪ねて来てくれた人なんかは、僕のそのブログのページを持って来てくれて、「感動したよ」と。こんなことを言ってくれました。
「和歌山県がフードバンクするのだったら、ボランティアでも行きますよ」とわざわざプリントして持って来てくれた。こんな人もいる訳です。
個人として発信するだけでこれだけ反応があるのだから、県が情報発信してくれたらもっともっと広がりがあると思いますし、支援してくれる団体もあると思いますので、是非、その辺りを汲み取っても情報発信だとか庁内の体制作り、あるいは現場も是非見に行って欲しいと思います。
その辺りも含めて、この問題には是非深く関わっていだきたいと思いますので、この点を要望いたしまして次の質問に入りたいと思います。
県内の食品事業者やスーパーコンビニなどに賞味期限間近の食品などの提供、但し弁当類、サンドウィッチ類は除きますが、提供できるよう働きかけて欲しいと思います。農林水産部長の答弁をお願いします。
「フードバンク」の取組につきましては、貧困対策に資するとともに、まだ食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう食品、いわゆる食品ロス削減の観点からも有効であると考えております。
このため、農林水産部では、県内の農産物生産者やJA、市場関係者、食品事業者などに対して、その仕組みや意義について啓発してまいります。