平成29年2月定例会一般質問 / 質問内容

4.子どもの貧困対策の推進について

次に「子どもの貧困対策の推進について」の質問です。貧困の世代間連鎖を断ち切るための子どもの貧困対策はとても重要な課題です。

質問1:子ども食堂の取組支援について

和歌山県内の子どもの貧困家庭の現状はどう捉えていますか。子ども食堂、子どもカフェが増え始めていますが、これらの取り組みへの支援はどう考えていますか。福祉保健部長の答弁をお願いします。

答弁者:福祉保健部長

子供食堂についてですが、帰宅しても一人で過ごさなければならないなど、経済的な状況も含め様々な事情で寂しさを抱える子供達に、大勢で食卓を囲み温かい食事の提供などを行う民間団体の取り組みを支援するため、県の平成28年度からの新規施策として「和歌山こども食堂支援事業」を創設したところです。

今年度の募集には6団体からの応募があり、少しずつではありますが県内での取り組みが広がっているものと考えています。平成29年度においても継続して支援事業を予定しており、今後の更なる広がりを期待しているところです。

質問2:子ども食堂を必要とする家庭への案内について

子どもカフェの事業者に聞いてみると「子どもカフェを必要としている子どもを見つけることが難しい」ということです。行政に相談しても分からないので、子どもカフェを必要としている家庭や子どもへの案内や情報発信が難しいということです。補助制度と共に必要としている人への案内ができる仕組みが必要だと思います。

福祉保健部長の答弁をお願いします。

答弁者:福祉保健部長

子供食堂の取り組みを行っている団体の状況をみると、活動を始めたきっかけ、対象とする子供・家庭はまさに様々です。それぞれの思いを持って、地域の中で課題や需要に応えようと活動に取り組んでおられると思います。

行政の役割としてはその思いを活かしながらどのように活動を支えていけるのかということですが、議員お話のように、支援を必要とする人に子供食堂の活動情報を伝えていくことも大変重要なことであると考えています。

県としては、今後、関係団体との連携の場を設けたり、開設の状況など必要な情報が周知できるよう取り組んでまいります。

さて、経済格差が学力格差につながっている現状を鑑みて、公民館などを活用した学習機会と交流機会を作ることに対して支援を考えています。

特にひとり親世帯などの生活困窮家庭は、子どもの宿題を保護者が十分点検する余裕がなかったり、塾などに行くなどの学習機会に恵まれていないため、塾に行けなかったり、不登校や不登校気味になり学習頻度が下がってしまう子どもが多いように聞いています。

そのため高校に進学できない、または進学しても高校中退となることで就職に不利になることや、自己の知識と精神が練れていないことから安定した仕事の選択ができないため低所得となり、貧困が連鎖していまっています。

地域においても子どもの貧困や貧困の連鎖に問題意識を持っている人は多くいますが、学習に関するノウハウがないため単発の支援となることが多くなっています。

和歌山県が、子どもの貧困対策として学習習慣確立のために資することを政策として掲げることは先進的取り組みであり、制度の実効性を高めることが重要だと考えています。

ところで民間の方々が、独立行政法人福祉医療機構の助成金で、和歌山市内で3か所、新宮市内で一か所、児童館を活用して子ども達に学習指導を行っています。一か所あたり約30人の参加があるので、4か所の合計は約100人から120人の実績です。また一か所あたり、一週間で2回実施していますから、一か月で8回、年間で約100回実施しています。その結果、多くの生徒の成績が向上していると、この取り組みと成果を聞かせてもらいました。

新宮市では平成27年度以前から、児童館に教育委員会の職員さんが学習指導に入っていたようですが、平成28年度から民間の人が学習指導を担ってくれています。民間のノウハウを導入したことが成績向上にもつながっているようです。

最終的には地域の自主運営によって、子ども達の学習指導ができるようになることが理想ですが、いきなりそこに到達することはありませんから、まずは民間のノウハウを導入して実施することが大切なことです。

質問3:学習環境が恵まれていない子どもに対する学習支援について

経済環境によって学習環境が恵まれていない子ども達に対する学習指導の機会を県内に広めることを目指すための取り組みとして、公民館などを活用した学習支援の具体的な取り組みも含めて教育長からお聞かせ下さい。

答弁者:教育長

県教育委員会では、今年度から放課後等に一人で過ごさなければならない子供を含む、主に小学校4年生から6年生の子供を対象に、学校の空き教室や公民館等を活用し、地域の方々の協力を得て、学習支援や大人との交流活動を行う「子どもの居場所づくり」事業を実施してございます。

今年度は23市町59箇所で開設し、週1回から2回程度実施されているところが多くなってございます。各市町では地域の実情に応じ、宿題や指導員の手作り教材による学習支援や、地域の方々との交流を行っています。成果として「家で毎日決まった時間に学習をするようになった」「宿題以外の勉強にも取り組む姿勢が出てきた」「字を丁寧に書くようになった」等、学習習慣の定着やコミュニケーション力の向上につながっているとの報告を受けております。

また、子どもの居場所づくり指導員を対象に活動内容の交流やスキルアップのための研修会を実施しており、今後も学習面では県が作成いたしました問題集等の活用や民間教育事業者のノウハウ等を紹介してまいります。さらに、遊びや調理等の体験活動をとおして大人と子供がコミュニケーションを図れるよう、より一層指導員の指導力向上に努めてまいります。

来年度はさらに多くの市町村において子供の居場所づくりを開設することを予定しており、県教育委員会といたしましても、より多くの子供に対して学習機会や交流の場を提供できるよう支援してまいります。

ところで子どもの貧困問題を取り上げるに際して、「子どもの貧困」と言う表現に違和感を覚えました。国の政策としての表現ですが、貧困と表現される対象となる子どもの心情を思うと「この表現はとうかな」と思います。この表現は心がないので心ある表現にできないものか、考えて欲しいと思います。要望です。