平成28年9月定例会一般質問 / 質問内容

3.防災対策について

今年8月に改新クラブとして熊本地震で被災した熊本市と益城町を訪ね、災害発生後の対応や避難所運営に関して現場を視察し意見交換を行ってきました。被災現場に立つと「一日も早く復興して欲しい」と願わずにいられませんでした。

これまで阪神淡路大震災、東日本大震災の現場にも行きましたが、被災地に立って思うことは、「事前にできること、考えられる対策は全てやっておくべきだ」ということです。しかも軽易なことに思えても二重三重に対策を講じることこそ、全ての県民の方々の命を守ることになります。

分かっているけれど理由をつけて実施しないという姿勢に見られるようでは、到底、全ての県民の命を守ることはできません。事前に分かっていることは事前に実施すべきですから、もしも、南海トラフの巨大地震や津波に襲われた時、「分かっていたのに何故、事前に対策を実行しなかったのだろう」と後悔しないようにしたいと思います。

平成28年6月県議会の一般質問した感震ブレーカーについての質問後、思っていた以上に反響が大きかったので驚いています。

「以前から市に対して申し出ていたけれど対応してくれなかった」、「不安に思っていたけれど届かなかった声を県に届けてくれた」、「自分の命は自分で守るけれどそのためには情報が必要です。行政はこのように必要な情報を発信して欲しいと思いますし、普及するために支援制度をつくって欲しいと思います」、「串本町では補助制度を創設しているのに他の市町村に制度がないのは何故でしょうか。県からの指導はどうなっていますか」、「私の住んでいる市では感震ブレーカーも補助対象機器になっているけれど、他の機器と同じ扱いなので火災警報器など他の機器導入の補助が多ければ感震ブレーカーの予算はなくなります。防災対策としてあまりにも予算が少ないのが現状です」などの意見をいただきました。

またいくつか市を訪ねて、感震ブレーカーの広報活動や補助制度について意見交換を行いました。「これから防災訓練などで広報活動は実施します」という回答はありましたが、補助制度については「市でも検討したいけれど、市では新規対策にまわせる予算がありません」だとか「県が市に対して予算を配分してくれるとやれるのですが」などの意見がありました。市町村は県を頼りにしていますから、「必要なことは県に言ってこい」という姿勢を持って欲しいと思います。

ただ広報活動に関しては実践してくれていることに感謝しています。9月に入って二度、防災講演会を開催し、和歌山県危機管理局と和歌山市消防局に来てもらい、それぞれ講演してもらったところ、通電火災を防止することや感震ブレーカーの設置について説明をしてくれました。県民の方々に説明していることを有り難いことですが、支援制度の面ではまだのようです。

また「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」(内閣府、消防庁、経済産業省)では、 地震火災による延焼危険の高い木造密集市街地に対して、これらの感震ブレーカー等の普及をより重点的に進める必要があると結論付けています。

そして一般社団法人日本電気協会が定めた、電気工事者が電気設備の設計、施工などにおいて基準とする内線規定では、「地震等に著しく危険な密集市街地」において、新築、改修などで新たに分電盤を設置する場合は、感震ブレーカーの設置を積極的に推進しています。

ここで、感震ブレーカーの設置を求める推進地域に和歌山県の中では複数の市町が位置付けられています。

既に全国の市町村では補助制度を創設し始めていますが、和歌山県内では串本町が補助制度を創設している程度です。

質問1:高齢者や障がい者等の要配慮者の命を守るための感震ブレーカーの支援制度の創設について

最重要課題である防災対策ですから、県に必要な施策の要望をしてきた場合は現場の意見として聞いて欲しいと思います。身近な課題は市町村が窓口になることが好ましく、大切な県民の声を聞きとっている市町村が必要とする施策に関しては、予算面でも県が市町村を支援すれば良いと思います。

特に、高齢者や障がい者などの要配慮者の命を守るために感震ブレーカーの支援制度を創設して欲しいと思います。市町村が感震ブレーカー普及のための支援制度をつくることを県として支援して欲しいと思いますが、知事の見解をお聞かせ下さい。

答弁者:知事

6月議会に議員から御質問のあった感震ブレーカーの普及拡大については、私も行政報告会などで地震による「電気火災」や「ガス漏れ」を防ぐためのパンフレット等を用いて、県民の皆さんに呼びかけを行っているところであります。

感震ブレーカーの設置補助についてのお話でありますが、わかやま防災力パワーアップ補助金の交付対象にしてほしいとの要望を県市長会とか町村会から頂いているんですけれども、ライフジャケットの時もそうだったんですけど、基本的に感震ブレーカーの設置は個々の家庭ですることであって、自らの命は自らで守るという「自助」の問題であると基本的には考えています。

しかし、わかやま防災力パワーアップ補助金において、現に従前から個々の家庭における家具の転倒防止について、高齢者等災害時の避難に特に配慮を要する者に対して市町村が補助をする場合、交付対象にしております。そういうこともございますので、これもいい話でございますから、感震ブレーカーの設置についても前向きに検討してまいりたいと思っております。

「要望」

知事の答弁を聞いて一言述べたいと思います。昨日の一般質問で同僚議員が発言した内容に感動したしたことがあります。河川整備に関しての「住民が不安に感じていることを解消し、安心感を与えることが行政の役割だと思います」という提言です。

感震ブレーカーについても同じことが言えると思います。県民の皆さんが不安を感じているなら、例え小さな声だとしても聞いて支援することが大事だと思います。今回は高齢者や障害のある方、病気で動けない人などの要援護者からの声です。知事から前向きな答弁を いただはましたが、是非とも支援制度を創設してくれることを期待していますので要望します。よろしくお願いいたします。