平成28年9月定例会一般質問 / 質問内容

2.大政奉還、明治維新から150年の取り組みについて

平成27年8月31日、東京明治記念館で、平成30年に迎える「明治維新150」に向けて、「平成の薩長土肥連合」を宣言しています。

鹿児島県(薩摩)、山口県(長州)、高知県(土佐)、佐賀県(肥前)が、幕末と維新をテーマとする広域観光ルートの形成などで相互客送の体制を構築し、知名度の向上と観光産業の強化を図るようです。

既に平成30年のNHKの大河ドラマは「西郷(せご)どん」に決定していますから、平成の薩長土肥が注目を集めることになります。

また京都市では、平成29年に「大政奉還」から150年の節目を迎えることに着目し、「大政奉還150周年プロジェクト」を計画しています。このプロジェクトでは、幕末維新に京都で活躍した先人たちと縁を持つ都市が相互に交流・連携を図りながら記念事業を実施することにしています。

京都市は、京都市に縁に持つ都市に参画を呼びかけて、16都市がプロジェクトに賛同したと聞きました。このプロジェクトは幕末維新にスポットを当てた都市間連携事業としては,過去最大規模の広がりを持つ取り組みになります。

このプロジェクトに参画する都市の主な取り組みとして、坂本龍馬没後150年記念事業、高杉晋作没後150年記念事業、戊辰戦争150年プレ事業などが計画されているようです。平成29年は大政奉還150年、平成30年は明治維新150年の年になり、観光はここに縁のある都市に集中することが予測できます。

明治維新150年にも大政奉還150年にも、和歌山県が関わっていないのはとても寂しいことです。平成29年は陸奥宗光没後120年の年となりますから、シンポジウムを開催するなど、大政奉還150周年プロジェクトと連動した取り組みにすることで偉人の功績が広く伝わり、集客効果も上がると思います。

例えば慶応3年、1867年11月15日に坂本龍馬が暗殺されていますが、龍馬の意思を継いだ陸奥宗光の行動は素早く、同年12月、英国公使パークスに面会、その後京都の岩倉具視に面会を果たし開国を説いています。

他にもこの時代の和歌山県のことは「南紀徳川史」に記されています。

大政奉還後に版籍奉還が行われ、紀州藩から和歌山藩となっています。当時、朝廷と新政府とも関係が思わしくなかった紀州藩主徳川茂承は、津田出を介して岩倉具視に高く評価されていた陸奥宗光に紀州藩の危急を知らせ、陸奥は郷里の危機に馳せ参じ、郡県制と兵制改革の施行を根幹とする改革案を陸奥は岩倉具視に提示、説得し、藩主茂承は版籍奉還を申し出て認められ、和歌山藩知事に任命されました。

すぐさま明治2年に和歌山藩が率先して藩政改革を行い、明治政府の廃藩置県のモデルになった歴史があります。

和歌山藩が薩長土肥に先駆けて藩政改革を行ったことで明治維新があり得たと言いたいと思います。薩長土肥が明治維新への布石を作り、それを真っ先に実践し、近代国家のモデルとなったのが和歌山藩です。

よって「明治維新は和歌山県から起きた」と言っても過言ではありません。その明治維新から歴史は150年の時を刻みました。この先人が作った歴史を和歌山県は易々と見逃すのでしょうか。こうした、先人たちの誇れる歴史を 私たちが発信してこなかったことに 反省しなければなりません。

質問1:大政奉還、明治維新から150年、観光の視点からの郷土の偉人たちの功績について

平成29年は大政奉還から150年。平成30年は明治維新から150年の年を迎えることになります。幕末に縁のある府県では都市間を結ぶ観光プロジェクトやイベントを計画しています。明治2年に藩政改革を行った和歌山藩こそ明治維新の立役者であり、この歴史を発信して欲しいと思います。

和歌山県として、わが国の歴史の大きな転換期となる大政奉還と明治維新から150年の年は、郷土の偉人たちの功績を現代に蘇らせ故郷の歴史を学ぶ。そのことを全国に情報発信することが観光につながると考えます。観光の視点から知事の答弁をお願いいたします。

答弁者:知事

議員ご承知のとおり、本県では、平成23年度より和歌山県偉人顕彰シリーズとして毎年東京でシンポジウムを行っており、これまでに陸奥宗光や濱口梧陵など明治政府の近代化に寄与した人物など、郷土の偉人たちの功績を改めて称え、全国に情報発信をしております。今年度も松下幸之助シンポジウムを12月17日に東京で開催することにしております。

陸奥宗光は、外務省で唯一銅像が建っている我が国の外交史上ナンバーワンの政治家であります。このようなことを含めて、和歌山県の郷土の認識については、私自身も実は正直言って、子供の頃は知りませんでした。知事になりましてから色々と勉強いたしましたら、大変なことがいっぱい分かってまいりまして、誇るべきものが沢山あるんだなということを知ったわけであります。また、仁坂少年に全然教えなかった当時の和歌山県や和歌山県教育委員会に対して物凄い腹立ちを覚えておりますが、今の子供たちに将来そんなふうに思われてはいかんということで、「わかやま何でも帳」など郷土教育を一生懸命やろうというふうに思っているわけでございます。

陸奥宗光については、岡崎久彦さんの教えが沢山ございまして、これは大変な偉人だということから、実は今から7、8年位前になりますけれども、NHKに大河ドラマにしてくれと時の会長か副会長に申し入れに行ったことがあります。その時の話では「近代は難しい」との話だったんですが、あわせて必要なこととしては、「ドキュメンタリーではだめで、小説が要ります。」と言われました。そこで、和歌山県が生んだ立派な作家であります津本陽さんに陸奥宗光の伝記を是非書いてくださいと申し上げましたら、坂本龍馬との関係で小さい本を書いてくれたんですけれども坂本龍馬のことばかり書いてあるのでちょっと使い物にならないと思っていたら、ついに最近「潮」に連載が始まりまして、9月5日に単行本として「叛骨 陸奥宗光の生涯」という本が出たわけでございます。一つの必要性はクリアされたのですが、努力をしていきたいと思います。

陸奥宗光没後120年に当たる来年は、改めてシンポジウムの開催などを考えているということを企画部長が答弁申しあげたとおりでございます。

大きな役割を果たした郷土の偉人たちの功績に再びスポットを当てて、周辺の観光資源と結びつけながら、お客様を招くことは、県民のふるさと和歌山への愛着と、誇りや自信にも繋がる良い取組と考えております。それにはまず、県民みんなが故郷の知識を持って、それぞれがその知識を語り始めるということが大事だと私は思います。そこで、先ほど申し上げました「わかやま何でも帳」を子どもの教育用だけではなくて、大人の方にも読んでいただけるように和歌山放送に市販してもらって出版をしているということでございます。こういうことを色々と総合的にやりながら、観光と和歌山県民の誇り、両方を達成できるように頑張って参りたいと思います。

質問2:観光振興として和歌山県の文化と歴史に関わる取り組みについて

知事の答弁を聞いて、そういえば陸奥宗光のことを学校で習った記憶がないことに気づきました。陸奥宗光のことを知ったのは父親に聞いたからだったことを思い出しました。 子どもの時に「和歌山県で偉い人は誰なの」と尋ねました。その時に父親から「陸奥宗光だ」と聞いたことが知ったきっかけです。是非、学校教育で郷土の偉人について教えるようにして欲しいと思います。

さて、平成29年から平成30年にかけては幕末が観光のキーワードになると思いますが、京都市から和歌山市に対して大政奉還プロジェクトへの参加要請はなかったようです。

京都市は「和歌山市はお誘いする対象の都市になっていなかった」ということでした。紀州藩が大政奉還と明治維新に果たした役割の認識がないことを和歌山県として反省すべきことだと思います。もし日常から和歌山県の観光は文化と歴史だということを他の都市に発信していれば、広域観光の誘いがあったように思います。

歴史を題材とした広域観光の流れは、県内外に留まらず、全国、いや 世界の歴史ファン、研究家に「文化と歴史の輝く観光都市和歌山県」を知っていただく大きな チャンスではないかと思います。

例えば陸奥宗光没後120年の企画や廃藩置県のモデルを作った和歌山藩であることを訴える機会になると思います。

加えて、和歌山県の観光事業として大政奉還と明治維新に関わる取り組みも検討して欲しいと思います。観光振興につながり、和歌山県の文化と歴史のPRにもなる事業が必要だと思いますが、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:商工観光労働部長

議員ご指摘のプロジェクトが関係する自治体で連携して進められていることは存じていますが、本県には、明治維新期の陸奥宗光はもとより、たとえば、濱口梧陵の稲むらの火や、昨年、国内外で上映されたエルトゥールル号遭難にまつわる日本とトルコの友情の話、現在大河ドラマで放送中の真田幸村をはじめとする戦国の物語などの逸話もたくさんあります。

県としては、こういった和歌山が主役として戦略的に売り出していける歴史・文化などの観光資源と、お客様に楽しんでいただける温泉や食、体験などを組み合わせた魅力ある観光プランをつくり、旅行動機を喚起することで、周遊促進・滞在時間の延長に繋げるべく取り組んで参ります。

知人が陸奥宗光の生きた時代の資料をまとめて送付してくれました。たくさんのエピソードがあるので大河ドラマにも発展させられると思います。陸奥宗光や南方熊楠など郷土の偉人のエピソードを集めて、来年は偉人を巡る観光につなげて欲しいと思います。

次に防災対策についての質問に移ります。