平成28年6月定例会一般質問 / 質問内容

2.陸奥宗光について

続いて陸奥宗光について質問します。和歌山県が生んだ陸奥宗光の銅像が歴代外務大臣の中でただ一人、外務省に設置されています。

昭和41年12月15日、外務省の北側庭園に再建された陸奥宗光の銅像の除幕式では、佐藤栄作総理大臣、三木武夫外務大臣の他、銅像再建の発起人で実行委員会名誉会長の吉田茂、党派を超え、片山哲夫、経団連からは財界総理と言われた石坂泰三会長、松下幸之助副会長など、そうそうたるメンバーが出席して執り行われたそうです。出席したメンバーのこの時の心境は、「日本であり得たこと」という感謝の気持ちで溢れたと聞いています。

「日本であり得たこと」とは、陸奥宗光がその時代において不平等条約を撤廃したことが、その後の日本を近代社会への道へと導いたことを示しています。

ところで、和歌山県では平成24年度に陸奥宗光シンポジウムを開催しています。平成24年という年は、陸奥宗光が外務大臣に就任120周年を迎えた年であり、故郷が陸奥宗光の偉大さの再認識することや、外交の重要性を発信するシンポジウムを開催したことは意味があったと思います。

しかし平成24年度のシンポジウム以降、この郷土の偉人の取り上げ方が少ないように思いますから、陸奥宗光を和歌山県の誇りとして発信するイベントなどを待望していました。

そして今年7月16日。1894年のこの日は治外法権の撤廃。中でも領事裁判権の撤廃や関税自主権を部分的に回復したことを折り込んだ日英通商航海条約が調印された記念すべき日ですが、和歌山市内でシンポジウムが開催されることが決定しています。

ここには文部科学省、外務省からも後援を得て、当日は両省から講師が来てくれることになっています。

文部科学省の鍋島豊広報室長からは「陸奥宗光伯の生きる力を教育にどう活かすか」、外務省は「外務省に生きる陸奥宗光外務大臣のDNA」をテーマとして講演してくれます。

治外法権撤廃の日に陸奥宗光に関わるシンポジウムが開催されることに意味があり、和歌山県を上げての盛り上げと参加を期待しているところです。

このシンポジウムの主催者の一人が外務省を訪れ、陸奥宗光の銅像の前に立った時の気持について、「誉れな気持ちになった」と話してくれました。それはここに立つ和歌山県人が日本を守ってくれたと思ったからです。そして、日本を守った和歌山県出身の外務大臣を見上げて、「誉れな気持ちになった」ことをシンポジウムで伝えたいと思ったそうです。

後援者や参加者には同じ気持ちを感じてもらいたい。そして参加した大人や教育者は子どもに対して、この国を守った人物のこと、この国で生きることの誇りを伝えて欲しいと思います。陸奥宗光の思いが主催者に伝わり、この「誉れ」な気持ちを私達に伝えようとしてくれています。

そこで質問です。

質問1:外交が重要視されている現在における陸奥宗光の功績について

外交が重要視されている現代における和歌山県出身の陸奥宗光の功績について、知事の所感をお示し下さい。

答弁者:知事

和歌山県は時々天才的な大人物が出てまいりますが、陸奥は政治外交面でそういう天才の一人であったと思います。陸奥宗光が存在しなかったら日本の近代国家、欧米諸国と対等な近代国家日本が成立するのは、ずっと遅れていたのではないかと私は思います。その中身は三つぐらいございまして、第一に明治の近代的な国家を作り上げるという際に、坂本龍馬以来の陸奥宗光のイマジネーションが紀州藩の改革を通じて全体に影響して、随分それが進んだんじゃないかというふうに思います。第二は陸奥自身が外交面で大変な活躍をして、それで、その見識を生かして、治外法権の撤廃とか関税自主権の確立とかを勝ち得て、それからまた外務大臣として日清戦争の経略、そういうものについて、随分、力を出して、日本を高みに持ち上げたというところがあると思います。三番目は陸奥宗光は、かなり前から議会制民主主義について理解があり、後に日本の議会制民主主義を支える人たちを育てているわけでございます。そういう三点で大変な功績があったのではないかというふうに思います。

ただ、陸奥宗光は言うだけ番長の理想主義者ではございませんで、大変なリアリストであります。そのリアルにがんばってきた中身を「蹇蹇録(けんけんろく)」という回想録に書いてございますが、その一番最後に「他策なかりしを信ぜんと欲す」と言う言葉があります。これはよく考えられた言葉だと思っておりまして、「他策なかりしを信じる」ではなくて「信ぜん」なんですね。さらに「信ぜんと欲す」 その辺のところがご自身で苦労して頑張ってこられた人だけが吐ける言葉ではないかと思っております。尊敬する先輩として爪の垢ぐらい煎じて飲んで頑張りたいと、そんなふうに思っています。

質問2:7月16日のシンポジウム開催の意味と郷土の偉人の思いを大人が子どもに伝えることについて。またシンポジウムを契機とする陸奥宗光を題材とした取り組みの継続について

「陸奥宗光外務大臣」の功績を教育に活かすシンポジウムが開催されますが、ここには文部科学省と外務省から基調講演として講師が来てくれます。

7月16日に和歌山市でこのシンポジウムが開催されることの意味について。郷土の偉人の思いを大人が子どもに伝えることについて。またこのシンポジウムを契機とした陸奥宗光を題材とした取り組みについて、知事の見解をお聞かせください。

答弁者:知事

郷土の偉人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りへとつながります。特に次代を担う若者たちに対しては功績を伝えることは、私たち大人の使命であるとおもいます。

日英通商航海条約が調印された日に、陸奥宗光のシンポジウムが開催されますことは大変意義のあることであります。このような郷土の偉人を顕彰する継続的な取り組みは大切なことでございますので、県としても、これに限らず色々やっていきたいと思っております。

この件について要望いたします。

今年は不平等条約改正の行われたその日に、文部科学省と外務省などの協力を得てシンポジウムを開催できることになりました。来年は陸奥宗光没後120年の年に当たります。

来年も今回のようなシンポジウム開催を始め盛り上げが図られると思いますので、郷土の偉人の功績と精神を広く伝えるため、和歌山県として積極的に協力してもらいたいと思います。