議会一般質問
平成28年2月定例会質疑[予算特別委員会] / 質疑内容

2.木質バイオマス利活用促進について

木の国とも言われている和歌山県にバイオマス発電所がないというのは不思議な感じがします。和歌山県として木質バイオマス発電所の立地を実現するための約878万円の予算案の支援制度を創設することは好ましいと思います。

バイオマス発電の事業規模からするとやや少額だと思いますが、活用を図り県内立地の実現を期待したいと思います。

質問1:バイオマス発電に期待する効果と共に立地が進まなかった理由と支援制度創設の経緯について

さて、これまでも多くの事業者からバイオマス発電立地に関する問い合わせがあるにも関わらず立地が進んでいないようですが、その理由は支援制度がなかったからだという考えに基づいての制度創設なのでしょうか。バイオマス発電に期待する効果とともに和歌山県に立地が進まなかった理由と支援制度創設の経過をお聞かせ下さい。知事の答弁をお願いします。

答弁者:知事
平成28年2月定例会質疑 予算特別委員会

木質バイオマス発電については、新たな木材需要の創出により、これまで未利用のまま放置されてまいりました木材の有効利用に繋がりまして、林業全体の活性化が図られるということが期待される有力な手法だと思います。

そういうことでございますので、和歌山県はバイオマス利用については、小規模なものについては、結構先行しているけれども、発電がどうも上手くいかん。これは、なんとしても頑張らないかんと。今までずいぶん努力をしたり、先進事例を研究したり、働きかけたりと色々してまいりました。しかし、その結果、どうも上手くいかなかったんですけれども、他県に比べて、原木の集荷がですね、それぞれの単位が小さくて、ばらばらに行われていて、大量の原木が一か所に集まっているという状態ではない。したがってなかなかコストが合わない。それが課題になっているわけですが、したがって、大量の燃料原木を安定的に確保できることが必要で、例えば2千キロワット級の比較的小規模の発電所においても、必要とされる燃料原木は年間約4万トンぐらいいるそうです。本県の素材生産量、年間約17万立方メートルに対して結構多いので、このため、これをどういうふうに克服していくかということが、大事でございます。

そこで、支援制度を創設をさせていただくことにしたいと思っております。具体的には、林業関係者がバイオマス発電所に燃料原木の供給を開始する際、丸太が細い、短いなど不揃いであることから、トラックへの積み込みや運搬の効率が悪くなることが見込まれるものですから、供給開始時の原木運搬経費の一部を支援するとともに、発電事業者に対しては、誘致に向けた優遇策として、発電開始前の燃料原木調達経費の負担を軽減させる支援を実施したいと考えております。この助成があれば、必ず来てくれるというわけでもないのですが、これがなければ、どうも勝負にならんということでございまして、そういう分析に基づきまして、予算計上をお願いしているところでございます。

これをお認めいただければ、これを武器にして、一生懸命頑張って、木質バイオマス発電の実現、ならびに、それを通じた林業振興に取り組んで参りたいと思っております。

質問2:予算案の詳細について

予算案は約878万8千円と具体的な数字になっています。その事業の概要とその根拠となる木材の需要トン数、支援制度を受けられる発電出力の最大値、素材生産者への補助見込み額と発電事業者への補助見込み額など、その内訳をお示し下さい。商工観光労働部長の答弁をお願いします。

答弁者:商工観光労働部長

木質バイオマス発電支援対策事業につきましては、素材生産者に対し、組織化を図る協議会を設立し、発電事業者との協定を締結することを条件として、供給開始時の1年間、原木運搬経費に1トン当たり1千円の補助を行うとともに、発電事業者に対しても、発電開始前の無収益期間の原木購入費用に対し、1年間を上限として、その借入金に対する利子相当額の補助を行うことを内容としてございます。

積算に当たりましては、2千キロワット級の発電所の原木必要量である年間4万トンを根拠として、平成28年度についてはそのうちの20%にあたる、8千トンを対象に予算要求させて頂いています。しかし、未利用材以外を補助燃料として混焼させれば、これ以上の発電規模も可能となります。

平成28年度における素材生産者への補助予算額は8百万円、発電事業者への補助予算額は778千円をお願いしてございます。

昨年、設立された「紀州木質バイオマス利用協議会」が素材生産者としての役割を果たしてくれることで、これまでなかった供給体制が確立されることになります。この協議会は、発電事業者との話し合いの窓口役を担うことになっているようですから、事業者にとって県内での素材供給窓口が一元化されることで仕事の流れが良くなることが期待できます。

質問3:事業者の交渉窓口について

さてバイオマス発電を実施しようとする各事業者が素材提供を受けようとする場合、「紀州木質バイオマス利用協議会」に直接、交渉することになるのでしょうか。それとも和歌山県が窓口になるのでしょうか。県内の供給トン数が限られているため、交渉箇所が必要になると思いますが如何でしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いします。

答弁者:商工観光労働部長

発電事業者が素材供給を受ける場合には、県ではなく、林業関係者とまず交渉頂くことになります。

しかし今回の支援事業は、具体的な発電事業者を想定しているものではございませんので、交渉窓口となる林業関係者で構成される協議会組織については、発電事業者が原木調達についての交渉を進める中で、今後具体的に決まってくるものと考えてございます。

原木の安定供給が、発電所立地における大きな課題であることから、農林水産部とも連携し、発電所と林業関係者との間の調整に努めて参ります。

質問4:新聞報道の経緯について

平成28年2月6日の紀伊民報に「間伐材発電所誘致へ 和歌山県が初期費用を支援」という記事が掲載されています。議会として平成28年度予算案の説明を受けたのが2月16日の議会運営委員会であり、この支援制度創設の説明を受けたのは2月22日のことでした。紀伊民報が知り得た経緯はどのようなものですか。商工観光労働部長の答弁をお願いします。

答弁者:商工観光労働部長

今回の報道につきましては、県予算の知事査定開始を報道関係者に公開した際、公開時の査定対象事業であった本事業が報道されたものでございます。

なお、木質バイオマス発電所については、昨年秋に発表した「平成28年度 新政策と予算編成の方針」にも既に位置づけられており、報道からの関心もあったものと思われます。

質問5:支援制度の募集方法等について

事業者等がこの支援制度を希望した場合の申し込み方法についてお示し下さい。

また応募の時期について、先に新聞報道されていることや情報が流れていることを考えると、既に先行している事業者がないとも限りません。募集の時期は何時ごろを予定していますか。

答弁者:商工観光労働部長

原木供給の協定を締結した発電所と協議会が、立地を決定した後に、県に事業の申し込みを行うことになります。予算成立後、関係者の会議等で事業の周知に努め、事業募集は夏以降になると考えてございます。

要望

県内で産出可能な木質バイオマスの量は限られています。生産者にこの制度を理解してもらい、近い将来、増産可能な体制やしくみを確立してくれた場合、供給量が増えることを期待しています。その場合、先にこの県の制度を活用してする事業者だけが供給を受けられるのではなくて、県内でバイオマス発電を希望する事業者があれば参入できるような公平な取り扱いが必要だと思います。

この点に関しては農林水産部と連携を図り、増産体制の確立に向けてくれることを要望しておきます。

質問6:支援制度の公平公正な運用について

県の支援制度で公費を支出するものですから、公平公正な運用をお願いしたいと思います。国に対する事業計画書の申請時期や「紀州木質バイオマス利用協議会」との交渉開始時期などの審査も十分にお願いするものです。予算案の議会可決前の段階で、話が進んでいるということはありませんか。再度確認しておきます。この点についても商工観光労働部長の答弁をお願いします。

答弁者:商工観光労働部長

複数の発電事業者が、「紀州木質バイオマス利用協議会」において事業を説明するなど、県内への発電所立地に向けた事業提案が行われている状況でございます。

しかしながら本事業は、木質バイオマス発電所の、県内へのこれからの新規立地を目指す、林業関係者、発電事業者双方への事業奨励施策であり、現在具体的な発電事業者を想定しているものではございません。

ようやくバイオマス発電を実現させるための動きが具体化できたと思います。林業活性化、地元地域の雇用の確保、事業者の進出、そしてバイオマス発電が後に続くことが期待できます。制度化、予算化までの過程は大変だったことが分かりますので、他の県の上を行く姿勢で制度の活用が図れることを期待しています。