1.「海難1890」を活かした故郷教育について
おはようございます。事前通告に従い質目させていただきます。
昨年12月5日に公開された「海難1890」で伝えた日本とトルコの友好の歴史を、和歌山県に自信と誇りを持たせてくれるものであり、その感動は全国に波及していることを感じるコメントも多数いただいています。
早速、和歌山県として、「海難1890」高校生鑑賞プロジェクトとして平成27年12月議会で補正予算、約2,546万円を議決し、高校生に鑑賞してもらっています。
ある県立高校では2月3日の登校日に映画鑑賞会を開催しています。映画終了と同時に拍手が沸き起こり、同校の先生はとても感動する光景でした。この映画で伝えたい心を生徒は分かってくれたと思います」と話してくれたように、偉大な故郷の歴史は現代の高校生にも感じてもらえたと思い嬉しくなりました。全ての高校生や中学生、小学生に観てもらえることを期待しています。
「海難1890」高校生鑑賞プロジェクトに取り組むことになった経緯について説明していただくと共に、新年度の予算案に「海難1890」高校生鑑賞プロジェクト予算はないようですが、このプロジェクトによって平成27年度中に全ての高校生が鑑賞できたのかどうか。またこれまで聞いている成果あればお示し下さい。教育長の答弁をお願いします。
映画「海難1890」を県内の高校生が鑑賞することは、ふるさとの先人の偉業と紀州人の真心を心にとどめる観点から意義深く、郷土に対する自信と誇りを育成するために大切であると考えてございます。
昨年、12月議会の補正予算でお認めいただき、現在も、各学校等において鑑賞会が行われており、3月末までに県内全ての高等学校等で鑑賞会を実施することとなってございます。鑑賞会当日に欠席した生徒やあるいは受験生には、特別入場券を配付し、劇場で鑑賞するようにしてございます。
鑑賞した学校からは、「大島の方々が、自らの危険を顧みず、生存者の救助にあたったことや、その出来事が95年後のトルコ航空による邦人救出へと受け継がれたことに感動した。」また、「国際社会への、友好と発展のために貢献できる人間になりたい。」等の生徒の感想が寄せられてございます。
映画「海難1890」を鑑賞することによって、自分のためだけではなく、人と人との心をつなぎ、互いに支え合い、誰もが幸せに暮らせる社会を築ける人間へと成長してくれることを期待しております。
故郷教育の取り組みであり、多くの方から歓迎されている県の施策と思っているから、全ての高校生に鑑賞してもらい、また、小学校、中学校の生徒にも鑑賞してもらうということを訴えていたから、県内全ての小中学生にも故郷教育の一環として映画鑑賞をしてもらいたいと思っています。
特に、故郷教育のなかで道徳教育の副読本でエルトゥールル号の事件については学んでいるから、より一層理解が深まると考えています0。ところでこの映画は、3月末まで和歌山県下では上映されると聞いていますが、小学校、中学校の生徒は、まだ、鑑賞していないように思われます。早急に鑑賞機会を設けるよう、この施策の実行をお願いするものです。
また、新年度以降においても、継続して学校で鑑賞できる、上映機会を得られるように配給元に対しての働きかけをして欲しいと思います。これは要望といたします。
和歌山県ではエルトゥールル号の事件を副読本で教えていますが、故郷教育として素晴らしいことだと思っています。対象学年、指導内容、反応などについて教育長からお聞かせ下さい。
エルトゥールル号遭難事故につきましては、県独自の道徳読み物資料集「希望へのかけはし」の中で、中学校2・3年生を対象とした教材として取り上げております。
道徳の時間にこの資料を活用して、温かい人間愛の精神を深め、常に相手のことを思いやり、行動しようとする心情を育んでございます。
授業後の生徒の感想には、「温かく誰にでも優しくできるような人になりたい」や「無償で人助けを行う素晴らしさを感じた」とあり、身近な話題として受けとめ、人間愛や思いやりについて深く学べていると学校から報告を受けてございます。
質問を続けます。このエルトゥールル号の歴史について、「どうして日本では、この様に先人の善行を学校で教えないのか不思議です」という意見が寄せられています。
映画「海難1890」の実現に多大の協力してくれた沼田準一さんは「私はトルコ航空によるテヘランからの日本人救出」で命を助け得られた日本人で、トルコのこの日本人救出のご英断が、エルトゥールル号の遭難事故の時の串本町大島樫野の人達の真心から始まった串本町とトルコとの友好の絆によるものなのです。ですから、串本町大島の人達が中心になって行った真心を是非とも教科書に掲載して日本中で教育すべきだと考えている一人です。そして、日本の真心に対して真心で返して下さったトルコの事も子供たちに教える事で、100年、200年先もこの、日本とトルコの友好関係が継続でき、将来の世界平和に繋がる事柄だと思います」と語ってくれました。
また沼田さんは「私はこの時の体験の話をさせていただく事で、早稲田大学、尚美学園大学、明治学院大学、文京学院大学、和歌山大学とのめぐり合いが有りました。現在、尚美学園大学と文京学院大学はサークル活動として教科書への掲載をする為の活動をしているところです」と話してくれています。
和歌山県として日本とトルコの友好の事実を全国の子どもに学んで欲しいと思います。この点について教育長の見解をお聞かせ下さい。
私もこの「海難1890」を見まして、質の高さとその内容の豊かさにたいへん感銘を受けました。この映画は、文部科学省の選定作品、県教育委員会といたしましても、推薦作品といたしました。その上で、近畿2府4県教育長協議会、あるいは全国の都道府県教育委員会に対しまして、県教育委員会といたしましてこの映画の鑑賞を推進するよう協力を要請いたしました。
この遭難事故は、学校教育において4社の中学校社会科教科書に取り上げられてございます。また、文部科学省の道徳教育用教材として、全国の中学生全員に配付されております「私たちの道徳」に掲載されるなど、広く学習されているところでございます。今後、県といたしましても、日本とトルコの友好の事実について学習がさらに広がるよう、機会をとらえて情報提供に取り組んでまいりたいと思ってございます。
文京学院大学の二人の学生、本木さんと山田さんが和歌山県を訪ねてくれたのは、2月3日のことでした。日本とトルコの友好関係の元を知るには和歌山県を訪ねなければならないと思い行動を起こしてくれました。
元木さん達は活動の目的について「トルコの小学5年生の教科書に両国で起きた出来事が載っているのに、日本の教科書には載っていません。ですから、両国の関係を知らない若者たちに知ってもらい、これから生きる若い人々に語り継いでほしいです」と話しています。
そして「人を想う気持ちは強ければ強いほど、人々に影響を与え、何年経っても受け継がれることができる。そして、良いお話で終わってはいけない。受け継がれていかなければいけない。今回学んだことは、たくさんあり、まだ整理できずにいるのですが、必ず今後のトルコ班の活動に反映させたいと思います」と伝えてくれています。
映画の効果は何もしないでいると一過性で終わってしまいます。故郷、和歌山県の誇りを子ども達に伝え続けるためにも故郷教育の充実が必要だと思います。教育長の見解をお聞かせ下さい。
ふるさと教育について、各学校ではエルトゥールル号遭難事故で関わった先人の偉業等をはじめ、ふるさとに関わる題材を多く掲載した道徳読み物資料集「心のとびら」「希望へのかけはし」を活用するとともに、追録資料を作成し一層の充実を図っているところでございます。
また、子供たちが自分の生まれ育った和歌山について広く深く学ぶことができるふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」についても、今後、各中学校で活用方法を示し、一層の活用を促進してまいります。
本県が誇る先人の偉業や優れた文化等を学ぶことは重要と考えており、今後も引き続き、子供たちが地域のすばらしさに気付き、ふるさと和歌山への愛着を高め、誇りに思う心情や態度を育成するふるさと教育の一層の充実を図ってまいります。
答弁をいただきました、エルトゥールル号のことを教科書に乗せたいと活動している沼田さんの思いを伝えます。「和歌山の皆様の真心、トルコの皆様の真心が日本の教科書に掲載されるのは、夢かなと思っていたことが、実現に一歩近づいた感じを持っています。この事は私自身の願望にも近づいている事ですし、文京学院大学トルコ班、その他日本・トルコ友好の絆に深い共感を持っている人達の念願でもあります。
私達も日々少しでも多くの方に話をして行きますが、なにぶんにも全く力量の無い者ですので、生きている間に実現できるかどうかという思いでいます」という内容です。
和歌山県以外の方が、この和歌山県の出来事を教科書に掲載してもらうための行動を起こしてくれています。和歌山県として放置できないことだと思いますので、多くの人の思いをしっかりと受け止めて下さい。
また東京のテレビ局から串本のトルコ記念館にあるトルコの小学校の教科書貸出の依頼がありました。エルトゥールル号の特集番組で取り上げてくれることになっていますが、今後このような番組があれば、日本とトルコの両方の教科書を紹介してもらえるようになることを祈っています。