3.和歌山市中心市街地の再生について
和歌山市では「まちなか公共施設の再整備」について計画案をまとめています。南海和歌山市駅に市民図書館を移転させての再開発や、市民会館を伏虎中学校用地へ移転する計画、中央卸売市場の再整備などが主なものです。
まちが動くというのは魅力的で、これらの再生の動きに関して和歌山市民の期待が高まっていますから、公共施設の再整備に続いて民間事業者も続いてくれることを期待できるようになってきました。
また、この計画案は、和歌山市がコンパクトシティを目指すことを示しています。市街地に賑わい創出と居住空間を設けることで人口拡散による中心市街地の空洞化を防ぎ、将来の行政コストを低減させ持続可能な行政サービスを図ることを目指しています。
多くの地方都市では人口減少と高齢化が進展していることから活力が低下していますし、住宅や商業施設などの郊外立地が進展していることから市街地が拡散と低密度な市街地を形成する現状にあります。このまま推移すると、拡散した市民の方々の生活を支える行政サービスが将来困難になることも考えられる状況であり、都市全体、和歌山市全体の将来のあり方を考える時期に差し掛かっていることは承知しています。
そのために郊外への開発許可規制について理解できることもありますが、そのために合わせて、拡散してしまっているエリアを公共交通で結ぶなど、コンパクトシティと公共交通ネットワークの形成が必要になっていると思います。コンパクトシティはターミナル駅周辺に一極集中させるのではなくて、例えば貴志川線の駅周辺など、生活拠点として形成されている地域に居住し続けることができる環境を整えるような多極型を目指すことだと思います。
中心市街地を核としたコンパクトシティの推進に関しては賛同するものですが、これに呼応して開発許可基準の見直しについても触れている点に関しては問題があることから多数の意見が寄せられていると思います。
この見直し案は、郊外エリアの規制の強化と地域拠点への誘導を促進するために、既存集落の基準、指定集落基準を廃止することで集落の拡散を防ぐこと。鉄道駅周辺300メートルの基準を、原則100メートル内へと縮小することなどが見直しの方向性になっています。
しかし和歌山市では平成27年12月市議会で市街化調整区域の開発基準の見直しに関する条例改正案の上程を目指していましたが、反対意見が多かったことなどから12月市議会への上程を見合わせました。
主な反対理由として聞いているのは、開発基準を制限することにより和歌山市から県外も含めて周辺都市への開発に向かう恐れがあること。
開発事業者の仕事量が減少することで地域経済に影響を及ぼすこと。
和歌山市街化区域の土地価格が高いため、若い世代が住居を構えられないことから現状のままでは人口の集約につながらないこと。
農業従事者の高齢化との後継者不足から、農家が現状の農地を維持しようとしてもできないこと。などが主な理由だと思います。
平成26年度から和歌山県は、市や町の都市計画に、より一層の支援や協力をしていますが、和歌山市の都市の現状をどのように捉えているのでしょうか。その上で、今後和歌山市の中心市街地を再生するためには、どのような施策を講じていくべきとお考えでしょうか。
また、和歌山市が検討している郊外抑制型の土地利用の在り方については、郊外立地の抑制を厳格化し過ぎると、企業や工場、物流の拠点などの進出の意向があっても和歌山市に進出を見合わせるケースも発生すると思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。知事の答弁をお願いいたします。
和歌山市では、都市計画法の運用だけではなくて、独自の緩和条例でも開発基準を緩和したこともございまして、人口集中地区、これDIDで調べますが45年間で既に約3倍に拡大をしており、これがどんどんどんどんさらに拡大しつつあるという状況でございます。これによる都市の拡散とそれによる既成市街地の空洞化が問題ではないかと思われる訳でございます。
これは外縁部で土地が供給がされますと、供給が増える訳ですから、中の方がスカスカになるというのは需要が増えなければ当たり前の話で、経済の論理から当然であります。
同じく、土地の需要がそれほど変わらない中で、供給が増え続ければ、地価が下がるというのも自明の理であります。
そのために、市民の資産価値も減少してしまっているのが現状であります。本来ならば、他県なんかでよく言われる、県内の一極集中がむしろ問題だと言われるはずの和歌山市で、地価が県内で一番下落しているというのは、大変私もびっくりした現象でございました。
こうした状況を放置すれば、中心市街地のみならず、今まで開発したところ、これは新興であるところも多いが、既成市街地の方も何年か経ってまいりますと、今度は空洞化が始まり止まらなくなります。そういうところでは、賑わいが喪失し簡単には人が戻らないということになり、再生が困難になってまいります。また、今まで以上に不動産価格が下落して、市民の資産価値がじわじわと減っていく。さらに、都市部の拡大によりインフラ整備や維持管理費の増加でいま議論になっているのは和歌山市でございますが和歌山市の財政はまた危なくなる可能性があるということだと思います。あるいは、早くやってよと言って頼み、市民の方々が待ち望んでいる色んな都市施設の整備が、なかなかばらけてしまってできない。そういうふうにもなっているのがよく見られることでございます。また、車の運転が出来なくなったお年寄りについては、郊外にお住みになっておられる、離れてばらばらお住みになっておられると、これはちょっと大変だろうなと思うわけであります。
このため、都市の再生にあたっては、都市計画の適切な運用と農地転用の厳格化により、都市の外縁部や郊外部での新しい開発で、もうやってしまったところは仕方がないが、これを抑制するとともに、既成市街地では、再開発の手法を導入したりして、まちなかを再生することが重要だと思います。
再開発というのは、大規模な国の補助金なんかもらえるものもありますが、デベロッパーの方々がチャンスをみて、そこでまた何軒かの家を建てていくとか、利用するとかということもありえると思っております。再開発がうまくいくと、また、まちに活気や賑わいが戻ってくるが、大事なことは再開発のお客さんがいるかということであり、テナントとか中に入る住民とかが、まだ外側でもいいわということになると、そっちへどんどん移ってしまって結局お客さんが付かないので、再開発をしようとする人たちがみんな逃げてしまうことになる訳であります。したがって、そういうことを考えておかないといけない。
再開発を進める際には、居住施設に加えて、教育文化施設、医療施設、福祉施設、子育て支援施設とか、商業施設という、かたまってあると便利だという、都市機能施設を計画的に立地させて魅力のあるところも創っていくことも大事だと思っております。
例えば、南海和歌山市駅前の再開発、これは和歌山市と南海が発表致しました、市民図書館とか商業施設、駅前広場の再整備による交通結節点の機能強化などが計画されておって、こうした再開発による再生としては、県としても支援を検討していきたいと思っております。
さらに、和歌山市においては、都市機能や居住機能を計画的に誘導するための立地適正化計画の策定に既に着手しているなど、コンパクトなまちづくりに向けた取組が進められており、県としても必要な支援を行っているところであります。
ただ、昨日もご答弁申し上げましたように、未来永劫一切、農地は転用したらいかんとかあるいは山林は開発したらいかんとか、そういうことをいうと不都合なことも沢山生じてくる。
だから、郊外開発を一般的には抑制するとしても、工場とか流通施設の集積が必要だなと、まちづくりのためにやろうと思う場合は、和歌山市がそういう計画を立てて、県としてもその場合は農地の転用とかについて協力をし、それからインフラ整備なども協力をし、そういうことによって、和歌山市がさらに発展すればいいというふうに思う訳です。
実は工場の立地とか流通施設とかの立地、そういうことを考えても、自由な開発でどこでも色んな物を建てていいですよというと何か虫食い状態になって、一団の土地というのがでにくいんです。そうするとかえって一定規模以上の開発とか立地とか、そういうものがものすごく不便になるというのがございまして、これは工場立地とか企業立地とか色々一生懸命やってる我々は一番知っていることなんでございます。
したがって、郊外部も含めて和歌山市全体で適切なゾーニングを行っていくことが重要であり、こういったことも含めて、市民の方々が自分達の資産保全とか納税負担の問題として、真剣に色々考えなければいけない。人ごとのように思っていると自分達のまちが無茶苦茶になってしまうというようなことを、結論はともかくとして、真剣にこれから考えていかなければいけない、そういう時代だと思っております。