平成27年12月定例会一般質問 / 質問内容

2.海洋再生可能エネルギーについて

平成27年12月定例会一般質問

さて、海洋再生可能エネルギーの利用に関しては、平成25年に「和歌山海洋再生エネルギー検討委員会」が設けられ、二度の検討委員会が開催されています。目的は海洋エネルギーの実証フィールドの申請にあたり、県内候補地を選定することにあったことから、その後は開催されていないところです。

同検討委員会では、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電の優位性が高いと評価し、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの提案書を内閣官房に提出しましたが、平成26年7月では採択されませんでした。その時に海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定されているのは6つの海域で、平成27年4月に岩手県の釜石沖で波力浮体式洋上風力が追加選定されていますから、現在7つの海域が実証フィールドとして実証が進められています。

現在のところ、政府の事業支援を受けた事業者が個別に実証フィールドを整備していたことから、漁業権の調整が難しく開発に時間を要することや、設備投資コストが高くて参入企業が限られていることなどの問題があり、なかなか進展が難しい状況にあります。

そこで将来は、政府主導で実証フィールドを整備することが検討されています。それによって事業者は実証実験に専念できるようになる訳です。ですから将来は、実証までの期間が短縮できること、開発コスト低減による中小企業の参入が見込めること、関連産業集積による地域活性化が見込まれることなどが期待できます。

また潮流発電システムの開発に関しては、潮流発電技術実用化推進事業として、平成27年度は10億円の予算で導入に向けた技術開発が進められています。和歌山県の海洋再生エネルギーの取り組みが遅れてしまっているように思います。

内閣官房の選定から漏れた当時、「環境を整え次第、採択されるように取り組みます」という話でしたが、「和歌山海洋再生エネルギー検討委員会」も消え去ってしまったようですし、やはり採択された地域と採択されなかった地域では意識の差や開発事業者の意欲などに差が出ているのではないかと危惧しているところです。

そこで質問です。

質問1:海流発電に関しての現状と事業推進の見通しについて

12010年のエネルギー基本計画によると、海洋の持つエネルギーを利用した発電は発電出力の予測可能性が高いことから、安定した電源として期待が持たれていると示されています。和歌山県の海洋資源を活かすことが県土発展のために必要だと考えますが、海流発電に関しての現状と事業推進の見通しについて知事の見解をお聞かせ下さい。

答弁者:知事

エネルギー資源を活用することは、地域の活性化にとって重要でございます。本県は海洋エネルギーに適したフィールドでありまして、特に潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電は、その実現の可能性が高いと考えております。

このことから、平成26年2月に国の海洋再生エネルギーの実証フィールドに申請しましたが、本県が申請していた潮岬沖の海流発電については、同海域で実験する事業者が確認された時点で実証フィールドとするという風に選定されることになりました。

県では、海流発電に対する地元の理解促進や気運醸成を図るために、平成26年10月に串本町におきまして、約200名が参加した海洋再生可能エネルギーシンポジウムを行うとともに、平成27年6月に、国に対し、海流発電プロジェクトを推進するよう提案したところであります。

また、海洋再生可能エネルギー実証フィールドの選定要件であります実証実験を行う事業者を誘致するため、複数の重工系メーカーに対し潮岬沖での実証実験を働きかけてきたところであります。

このような取り組みを行っているところでありますけれども、海流発電は、世界でも実用化が全くされておりませんので、その開発にあたっては様々な技術的課題があると考えられております。そのため、他の海洋再生エネルギーと比べ、実証実験を行える段階に至るまで、色々な問題をクリアしていくその時間を要するものと考えております。

県としては、国の選定を受けるために、発電装置の開発状況も踏まえながら、引き続きメーカーに対して潮岬沖で「やれやれ」という風にですね、実験を働きかけて海流発電の推進を図ることによりまして、もう一つメタンハイドレートもあるのですが、本県の特性を活かした海洋エネルギーの活用に取り組んでいきたいと思っております。