平成27年12月定例会一般質問 / 質問内容

1.貴志川線への支援について

平成27年12月定例会一般質問

おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。最後までよろしくお願いいたします。

先の日曜日、知覧に行って来ました。少年飛行隊、特攻隊員達の魂に触れ、また言葉に触れ、この国のために命を賭した御霊と話すことができました。命の尊さを改めて強く認識し、せめて和歌山県政に命を懸けるのが役割だと認識し一般質問をさせていただきます。

最初は貴志川線への支援についてです。南海電鉄から事業を継承した貴志川線は、その後、イチゴ電車やおもちゃ電車を走らせ、また猫のたまを貴志駅の駅長にするなどユニークな取り組みで地域に欠かせない鉄道となっています。貴志駅と和歌山駅をつなぐ通勤と通学の電車としての役割を果たしていますが、それに加えて近年は観光電車として機能も付加されています。鉄道を単なる移動手段ではなく、電車に乗ることも目的になっている極めてユニークな鉄道へと進化し続けています。

貴志川線に乗ることが和歌山県を訪れる観光目的にもなっているようで、この鉄道が存続してくれて良かったと思います。今夏、台湾からの留学生のお世話をしました。留学生に「和歌山県では、どこに行きたいですか」と尋ねたところ複数の答えが返ってきましたが、最初に行きたいところは「たま駅長に会いたい」という答えでした。台湾の観光サイトでは貴志川線のたま駅長が人気となっていて、日本で訪れたい観光地の一つになっているようです。 参考までに、台湾の留学生が他に行きたいと話してくれた和歌山県の観光地は、友ケ島、本宮大社、高野山でした。友ケ島の砲台跡は宮崎駿監督の作品、「天空の城ラピュタ」に似ていると話題になっている場所で、ここも台湾で人気の観光地のひとつに数えられているようです。

さて貴志川線ですが、和歌山県と和歌山市、紀の川市では存続のための支援を発表し、今議会定例会で議案として提案されています。先の11月17日に発表した内容は、「平成28年度から新たな10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で財政的な支援をし、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくことで、基本的な合意に達しました」とあります。

支援は、貴志川線が安全に継続運行できるよう老朽化した設備を整備する費用に対して和歌山県と和歌山市、および紀の川市で支援することになっています。

具体的な支援対象は、国の補助制度が対象としている設備の更新及び修繕で、設備例としてレール、マクラギ、踏切保安設備などが対象となります。

支援の上限額は12億4,790万円で、和歌山県は 10年間で4億5,466万円、和歌山市は 5億1,561万円、紀の川市は 2億7,763万円となっています。

貴志川線の設備更新費用など全体事業費は、10年間で約18億7千万円であり、その内の2/3を三者で行い、残りの1/3は国の補助金を活用する支援体制を取ることになっています。

この支援があることで貴志川線は向こう10年間の存続が確定することになります。これまでも存続のための活動を続けている「貴志川線の未来をつくる会」は支援の全てを行政頼みではなく、沿線では赤字解消のため「チャレンジ250万人」として、沿線の方が年間あと4回多く乗車することで赤字が解消されることを訴えるなど、イベント開催も含めて乗降客を増やす努力をしてくれています。

そこで質問です。

質問1:貴志川線への支援について

貴志川線の利用客の増減にもよりますが、この支援によって和歌山電鐵の経営は安定することにつながるのでしょうか。知事の答弁をお願いします。

答弁者:知事
平成27年12月定例会一般質問

貴志川線は地域の方々が通勤・通学などに利用する地域の鉄道だけにとどまらず、最近は、特に国内外の多くのメディアに取り上げられることによりまして、県の認知度が向上するなど、観光振興にとっても重要な路線でございまして、地域のより一層の活性化のためにも貴志川線の存続は、とても大事であると考えております。

貴志川線への支援につきましては、平成18年度から10年間、和歌山市、紀の川市及び和歌山県で、基本合意書に基づき財政的な支援を行ってまいりましたが、平成28年3月末に支援の期限が来るということになっております。

貴志川線の年間利用者数は、平成17年度に、約192万人まで減少しておりましたけれども、和歌山電鐵による運行が開始した平成18年度から徐々に増加いたしまして、26年度では約230万人となりました。

しかしながら、まだまだ小嶋社長の企画力とか、たまちゃん人気で観光客が増えるという要素が多くて、あれほど存続と訴えた住民の利用が、それ程まだ伸びておりません。そこでですね、こういうことを主因として、まだ赤字が解消されていないわけでございます。

せっかく上向いた貴志川線を是非残したいんですが、まだ自立運営が困難であるために、県としては、財政的な支援が必要であると判断をいたしまして、平成28年度からの新たな10年間、貴志川線が安全に継続運行するため、老朽化に伴う修繕や設備更新に対する費用を、和歌山市、紀の川市とともに支援し、和歌山電鐵が貴志川線の運行を継続していくということで合意したところでございます。この際、小嶋社長がこの分野における日本のリーダーとして唱えてきた、公設民営方式の考え方を取り込みまして、設備投資見込みに対しては補助をするけれども、日常の運営は独力でやってもらおう、というような形にしようとしております。

この支援により、今後10年間は、貴志川線は安全に運行することになりますけれども、現在より更に利用者数を増やすということが必要でございまして、何よりも沿線住民の方々が、貴志川線を利用することが大切でございます。ご指摘にありましたように、これまでも、「あと4回多く乗って永続させよう」とか、あるいは「チャレンジ250万人」を合い言葉に、さまざまな利用促進に取り組んできてもらったのですが、これからも「乗って残すんだ」という行動をですね、日々実践することにより、貴志川線が永続的に運行できることを、私としては大いに期待しております。

しかし、乗れ乗れと言ってもですね、不便なら難しいのでございます。今は、駅の直近はですね、田んぼで、ずっと離れたところにばっかり家がどんどん建っていると。これでは、大変乗客としては不便なんですね。こういうことを許す制度を残しておけばですね、永久に我々県民は、補助を続けないといけない、ということになると思います。

そこでですね、その駅の周りに新しく住宅開発を誘導するような都市計画制度の改革をして、それで鉄道を利用しやすくするためのまちづくりを進めるということが重要であると思うわけであります。そういう考え方に立って、和歌山市当局が、今、都市計画の改革をやろうとしているのですが、これに反対して、貴志川線を存続せよと言っているのはですね、これはちょっとなかなか大変やな、という風に思っている次第でございます。

貴志川線存続に関して、乗車客を増やすために駅周辺に住んでもらえるようにすることは大切だと思いますし、公共交通と郊外とつなぐ交通ネットワークを組みあわせることが街づくりにとつて必要だと思っています。存続していくための都市のあり方と共に、これからも議論をしていきたいと考えています。

また両備グループの小嶋会長は、「両備グループのフラッグシップである」という嬉しい言葉で貴志川線を語ってくれています。単に貴志川線をグルーブの一員とは思っていないことが分かりますし、10年目以降も存続する気持ちが伝わってきます。今回の和歌山県の貴志川線への支援は頼もしいものであり、引き続いての支援をお願いします。