平成27年6月定例会一般質問 / 質問内容

4.エネルギー関連施策の充実について

続いてエネルギー関連施策の充実についての質問です。

和歌山県下には海南発電所と御坊発電所という二つの火力発電所があり、現在の関西経済を支えています。二つの発電所を合わせると出力は390万kWにも及び、和歌山県で消費する電力量を大きく上回っていることから、わが県は電力移出県となっています。和歌山県が移出している電力が、現在の関西経済を支えていると言っても良いと思うほどです。

その見返りとして電源立地地域対策交付金、電力移出県交付金相当分を受けていますが、過去のエネルギー基本計画の時に作成されたものであることから、現在社会を支えている火力発電所の重要性が考慮されていないところが問題になっています。

そこで現在のエネルギー基本計画に則って考えると、火力発電所の果たす役割の重要性が理解できます。そこで電源立地地域対策交付金、電力移出県交付金相当分の算出に関して、平成28年度に向けた施策と予算に関して和歌山県として要望を行ってくれました。

具体的な要望は、想定電力量の割合を引き上げること。火力に係る交付金算定係数を引き上げることの要望です。電力移出をしている県の知事としてこの政府要望をすることは、火力発電所が社会に果たしている役割の重要性を訴えるものであり、関西における和歌山県の存在価値を高めてくれるものだと考えます。是非とも、和歌山県の要望通りに算出方法の改正に向かって欲しいと期待しています。

そこで知事に質問です。

質問1:政府要望に至った背景と国のエネルギー政策に関する意見について

この要望をするに至った背景について、知事が以前、海南発電所の現場を視察したことによる感想も交えてお聞かせ下さい。また関西経済を今後失速させないためにも、関西広域連合大においても、電力移出県の知事としてエネルギー関連施策の充実について発信して欲しいと期待していますので、国のエネルギー政策に関する意見についてもお聞かせ下さい。

知事から答弁をお願いします。

答弁者:知事

政府要望の背景についてでございますけれども、東日本大震災以降停止した原子力発電所の電力を補うため、県内の火力発電所が中心になりまして、県内消費量の約3倍の電力を発電して、多くの電力を関西電力管内の他府県に供給するなど、重要な役割を果たしているわけであります。

私も、長期計画停止していた海南発電所2号機を再稼働させる際に、発電所を視察させていただきましたけれども、夏の電力ピークに間に合わせるため大変な労力と費用をかけて再稼働に取り組んでおられました。電力の安定供給にこれは多大な貢献をしてきたと認識しております。

このようにエネルギー供給の「最後の砦」となる火力発電所は、新しいエネルギー基本計画においても、ピーク電源や調整電源として一定の役割が期待されております。

電源地域には、電源立地地域対策交付金というのが交付されることになっておりますけれども、実は、民主党政権時代に特に反CO2の視点、それから、それが故に原子力発電所推進政策の時に、このような予備調整電源の意義を否定するような改定が行われました。石油火力の予備電源は交付金の算定基準から除外されてしまったわけであります。その時も、大変な反対運動というか、おかしいじゃないかという話を経済産業省に激しくやったのですが、残念ながらうまくいきませんでした。ところが福島の原発の事故のあと、実際に原子力発電所が全部動かなくて、日本のエネルギー不足が起こったときに、日本を破綻から救ったのはそういう火力発電所であったわけであります。というわけで、現行の電源立地地域対策交付金制度は、温室効果ガスの排出低減に資する原子力やLNGを推進する方針の元で設計されたものでありまして、火力発電所の予備電力としての意義や地元が負っている負担については十分に反映されていない状況でございますので、改めてその旨間違いを正してですね、反省して直せと、こういう風に言っておるわけであります。

次に、国のエネルギー政策に関する意見でございますけれども、エネルギー基本計画では、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの導入、原発依存度の可能な限りの低減などの基本的な方向性を定めておりますが、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合をバランス良く達成しながらエネルギー施策を進めていく必要があると考えております。

また、現在進められている電力システム改革については、ユニバーサルサービスが確保され、それによって県民生活や事業者の生産活動等に悪影響を及ぼすことのないように制度設計がなされる必要があると考えております。大口で力のある需用者は、自由市場のもとで電力事業者と交渉をして、それで一番良い電源からとるということができますが、和歌山のようなちょっと地方部、或いは別の言葉でいうと田舎のほうは、なかなかそこの住民の方々がそういう交渉をすることはとてもできませんし、その結果として今まで電力供給を同じ料金で担っていた電力事業者が、良いところをパコッと取られてしまうと、今度はそっちが値上がりしてしまうのではないかというような感じがあるわけであります。したがって、そういうことがないように、和歌山県知事としては、そちらの方向から引き続き制度の改革の動向を注視してまいりたいと考えております。

要望

和歌山県民の生活を守ろうとする姿勢、そしてエネルギー問題を和歌山県から発信してくれていることを心強く思っています。エネルギー問題は本来、国策ですが、電力移出県として関西に国に私達の苦労を発信してくれていることに感謝申し上げ、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。