平成27年6月定例会一般質問 / 質問内容

3.ペットとの共生を目指す和歌山県について

続いて、ペットとの共生を目指す和歌山県についての質問です。

一般社団法人ペットフード協会の越村義雄名誉会長と懇談する機会がありました。人口減少と少子高齢化の時代において小動物との関係は生活面においても、健康寿命に関しても重要になっていると話してくれました。

平均寿命と健康寿命の差を縮めることがわが国の課題ですが、経済産業省の報告書にペット飼育が人間のセルフメディケーションに有効であると記載されているようです。それを検証しようと、平成26年にインテージ社がペットとの共生による健康寿命の延伸について調査したデータを示してくれました。その調査結果でペットとの共生で健康寿命が延びているという報告がされています。男性は0.44歳、女性は2.79歳も健康寿命が延伸していると報告されています。そのためペットフード協会では「人とペットの健康づくりマーケット部会」を立ち上げて研究を行っているそうです。

日本の男性の平均寿命は80歳、女性は86歳ですが、健康寿命は男性が71歳、女性が74歳とっているように大きな差があります。この差を縮めることができれば、介護に頼らないで自分のことは自分でできるので豊かな高齢時代を過ごせることになります。またわが国の医療費は約40兆円であり、毎年1兆円ずつ増加しています。高齢社会が医療費を押し上げていることから、この視点からも健康寿命を延ばす取り組みが重要だと考えます。

そしてペットと暮らす効用は次のよう調査結果が報告されています。

子どもの場合は、心豊かに育っていること。生命の大切さをより理解するようになっている。家族とのコミュニケーションが豊かになっている。他人を思いやるようになっている、などです。

高齢者の場合は、情緒が安定するようになった。運動量が増えた。寂しがることが少なくなった。ストレスを抱えないようになった。規則正しい生活をするようになった、などです。

自分自身に関しては、生活に潤いや安らぎを実感できるようになった。孤独感を感じなくなった。健康的になった。ハリのある生活が送れるようになった。ストレスを抱えなくなった、などの効果があると答えています。

このように子どもも高齢者も、ペットを飼育している人にとってもペットと暮らすことによる効用があると答えているように、これからの社会はペットと共生できる住環境や旅行などの移動時の環境を整えることも考えるべきだという話です。

越村さんは、ペットと暮らすことで生活の質を高めることができると考えて提言をしてくれました。ペット産業は医療費の削減効果がある健康産業であると考えています。またペットと暮らすことで他人にも優しくできる人が増えることなれば、人に優しい社会を築くことにつながるものであり、幸せ創造産業であると語ってくれました。人とペットが共生できる社会を築くことが、誰にとっても幸せな社会を実現させることになることを信じた活動をしています。

地方創生の取り組みとしてペットと共生できる生活環境を創造することに関心を示す県もあり、既に越村さんのところに検討の依頼がきています。和歌山県紀伊半島大水害の時、全ての被災犬の命を救ったことから命を大切にする県として名前をあげていますから、ペットとの共生を提言できる県だと考えています。地方創生の取り組みとしてペットと共生する県として名乗りを上げる資格があると考えています。

この人とペットが共生できる環境を整えることで、和歌山県が命を大切にする県であり、健康寿命を延伸させることに本気で取り組んでいる県であることを全国に発信できると思います。

紀伊半島大水害の時に保護した被災犬を和歌山県が預かり、殺処分を見合わせてくれたお陰で、命を大切に守ろうと活動した方々が全て被災犬の里親が見つけてくれました。被災犬たちは、その後も幸せに飼い主と暮らしていると聞いています。

この取り組みのお陰で、全ての命を大切にする和歌山県という好イメージを全国に発信することができました。

この命を大切にしている和歌山県が取り持つご縁から、ペットとの共生に関しての話を聞かせてもらった越村義雄さんとのころには、複数の県から「ペットと共生することによる地方創生の取り組みのグランドデザイン」についての依頼が来ています。

例えば、公共交通機関にペットを連れて乗車できることや、ペットと観光に来た場合、ホテルなどに一緒に宿泊できる環境を整えることなどペットと共生できるまちづくりも、地方創生の案として検討しているようです。

一気にそこまでいかないと思いますが、紀伊半島大水害の大変な状況下においてでさえ、動物の命を守るための行動を取った和歌山県こそ、ペットと共生できる社会に相応しい地域だと思っています。高齢化社会への対応、ペットと幸せに暮らせる環境の整った地域を築くことに和歌山県が着手し、全国に発信して欲しいと思います。

質問1:ペットと共生できる社会づくりに向けた取り組みについて

紀伊半島大水害の時の活動によって命を大切にする和歌山県を全国に発信することができました。そんな和歌山県ですからペットと共生できる社会の実現について、そして動物殺処分ゼロを目指した取り組みを推進すべきだいと思います。

動物愛護法によって命を大切にする取り組みが各県で行われていることから、動物殺処分ゼロの県も現れているようですから、和歌山県もそれを目指して欲しいと思います。和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例の改正、動物愛護推進協議会のあり方の見直し、動物の避妊や去勢費用の補助制度などの視点も含めて、環境生活部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:環境生活部長

県では、「人と動物が共生する潤いのある社会」の実現を目指しまして、県動物愛護管理推進計画に基づき、動物とのふれあいを通じ、命の大切さや思いやりの心を育み、愛護の精神を育てていくことを目的として小学生対象の「わうくらす」事業などの施策に取り組んでいるところでございます。

しかしながら、飼い主責任の十分な自覚や、周囲に迷惑をかけない節度ある取扱いが求められている一方で、不適切な飼養や野良猫への無秩序な餌やり等によりまして生活環境の悪化等の問題が発生しているということもございます。

それによって地域コミュニティ形成への支障が危惧される事態も起こってございます。

県としましては、動物好きの人もあるいはそうでない人も相互に理解し合える地域コミュニティを形成していけるよう、飼い主責任の明確化や地域住民にも適正な管理のための役割を担っていただくなど、新たなルールを設けて犬や猫の引取り数の減少や迷惑問題の解消を図るとともに、やむなく引き取った犬や猫については、先の紀伊半島大水害の被災犬の新たな飼い主捜しで培い、評価もしていただきました関係団体等との協働による譲渡事業を展開してまいりたいと考えております。

こうした人と動物が共生する社会の仕組みの基礎を築き、今後、市町村、ボランティア、関係団体、地域住民との連携・協働を進めていくことにより、県長期総合計画に掲げます「動物の命を大切にする心豊かな人づくりと人と動物が共生する潤いのある社会づくり」を一層推進しまして、犬猫の殺処分ゼロを目指してまいりたいと考えてございます。

要望

この一般質問を行うことを知った方から、ペットの癒し効果についての意見が届けられました。私達が幸せを感じている時、脳から「オキシドシン」というホルモンが分泌されているということです。母親が子どもと見つめあう時、人間同時が好意を感じながら見つめあう時などに分泌されるもので、別名「幸福ホルモン」と呼ばれているそうです。

この幸福ホルモンが動物と触れ合うことによって分泌されるという研究論文が発表され、注目されていることを知りました。犬と人が見つめあう時に、犬と人の双方ともにこの「オキシドシン」が分泌されるようで、動物と人の関係でも幸福感を味わえることが分かったとされています。詳しく調査していないのでこの程度にしておきますが、幸福感、健康寿命延伸などにおいてもペットとの共生社会は効果があるかも知れません。地方創生の検討課題として捉えていただけることを要望しておきます。