2.大川小学校のひまわりを活用した防災意識向上の取り組みについて
続いて、大川小学校のひまわりを活用した防災意識向上の取り組みついての質問です。
大川小学校のひまわりに関して、次のような出来事があります。
東日本大震災の津波で児童74人が死亡、行方不明となったのが宮城県石巻市の大川小学校です。3・11の時、津波から逃れるため小学校が児童らを誘導しようとした高台で、子どもを亡くした母たちが400本のひまわりを植え、毎年、大きな花を咲かせています。
当時、小学校6年生の長女と3年生の長男を亡くした福田みゆきさんは、毎日のように水やりに通い、いとおしそうにひまわりの成長を見つめていました。そんな母親数人が震災後間もない平成23年の春に、ひまわりの苗を植えたのが始まりです。
いまだ行方が分からない児童の捜索に通う親も加わり、ヒマワリを植えた高台は次第に、子どもを亡くした親たちが集い、互いに励まし、心の内を語り合う場となっています。
このことは、絵本「ひまわりのおか」の中で、母親8人の我が子への思いがつづられています。
この宮城県石巻市立大川小学校のひまわりと和歌山県の関係については次のような経緯があります。
大川小学校のひまわりの種を、東北復興のお手伝いをしていた私達は平成24年にいただき、和歌山県内の三箇所で二年間育ててきました。慶風高校、海南市立中野上小学校、白浜町立市鹿野小学校の三校で、このひまわりを育ててきました。平成27年に植えると、和歌山県内で命をつないだ三代目のひまわりとなります。
このひまわりの種は東日本大震災で失われた子ども達のかけがえのない命が宿っていると思い、これまで大切に育ててきました。和歌山県は東北の大震災、そして命が尊いことを決して忘れない県であることを証明するために大切に育ててきました。
そして今年迎える紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会では、東北から和歌山県に来てくれる選手団、応援団の皆さんに、和歌山県は東北との絆を大切にしていることを、このひまわりを咲かせてお迎えすることで示したい。そして全国から集まる選手団、国体関係者に対しても東北から発信された命のメッセージを伝えたいと考えています。
そして大川小学校からいただいたひまわりをこれからも大切に育てることで、和歌山県は命を尊び、いつまでも大切に守ろうとする県であることを全国に示したいと思います。
そこで質問です。
東日本大震災の教訓から、和歌山県ではどんな時でも死者をゼロにすることを目指した防災対策を推進しているところです。津波による犠牲者ゼロを目指すための対策について、危機管理監から答弁をお願いしたします。
南海トラフ地震により、甚大な津波被害が想定されている本県では、「命だけは絶対に助けよう」という考え方で津波対策を行ったきたところであります。東日本大震災の直後から、「防災・減災対策の総点検」を実施し、住民の方にできるだけ安全な場所に逃げていただくための避難先の安全レベルの設定や、避難路の整備等の促進に取り組んでまいりました。
また、一刻でも早い避難行動の開始を促すため、国立研究開発法人海洋研究開発機構が紀伊半島の沖合に設置している地震・津波観測装置の情報を活用した津波予測システムを県において構築し、沿岸市町に津波予測情報の提供を開始するなど、情報伝達の強化も図っております。
昨年10月に策定した「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」では、津波が到達するまでに安全な場所に避難できない地域を「津波避難困難地域」として抽出し、東海・東南海・南海3連動の地震に対しては、避難路、避難施設の整備による避難先の確保や、堤防の整備を優先的に行い、概ね10年間で津波避難困難地域の解消を図るとともに、南海トラフ巨大地震の対策については、市町の協議会で具体的に検討、早期実行を進めることとしております。
今後とも、津波による犠牲者をゼロとするための地震津波対策に積極的に取り組んでまいります。
海南市立中野上小学校や白浜町立市鹿野小学校のでは大川小学校からいただいたひまわりを植える作業を行うことで、子ども達が命の大切さを学んでいます。
南海トラフ地震や三連動地震など想定される津波から命を守るために、命の大切さを考える教育の一環として、大川小学校のひまわりの育成を和歌山県内の小学校に広げることを考えられないでしょうか。植樹実績のある小学校からの意見や成果と合わせて、教育長からお答え下さい。
海南市立中野上小学校や白浜町立市鹿野小学校では、大川小学校からいただいたひまわりの種を植え育てる取組が、命を繋ぐ大切さを学ぶ絶好の機会となってございます。
児童からは、自分たちの取組が、東日本大震災で被害に遭われた方々の心の励みになっていると感じており、今後も続けていきたいとの声がでるなど、教育効果も生まれてございます。
和歌山市や海南市、白浜町では、この取組の趣旨に賛同して、新たに取り組み始める小学校が、徐々に増えてきてございます。
今後、南海トラフ地震等の自然災害から命を守り、自分の命はもちろんのこと、人の命を尊び大切にする心を育てる防災教育を充実させていくためにも、この取組を県内の学校に広く紹介し、防災学習に生かしてまいります。
今年開催される紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会の開会式会場に、このひまわりを植えて、全国の選手団、応援団をお迎えしては如何でしょうか。今年の国体には東日本大震災復興支援というタイトルがつけられるそうですから、和歌山県は東北の震災を忘れていないことを行動で示し、全ての命を大切についての県であることを全国に伝える取り組みとして大川小学校からいただいたたひまわりで皆さんを迎えたいと思います。この取り組みに関して、国体推進監のお考えを聞かせて下さい。
秋に開催される紀の国わかやま国体・紀の国わかやま大会は、「とどけよう スポーツの力を東北へ!」を合言葉に、「東日本大震災復興支援」の冠称を付すことが、既に決定されております。
このことを受けて、両大会では、紀三井寺公園内の「きいちゃん広場」への「東日本大震災復興支援ブース」の設置や本県に避難されている被災者の開・閉会式への招待など、被災地の振興や被災者を元気にする取組を盛り込むこととしております。
議員ご提案の「開会式会場にひまわりを飾って、来県者をお迎えする」ことにつきましても、「東日本大震災復興支援」の取組の一環として、関係部局とも連携しながら実施してまいります。
紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会の会場では、大川小学校のひまわりが花を咲かせて、選手の皆さん、応援の皆さんをお迎えする取り組みは、きっと和歌山県がスポーツ振興と共に平和と命を大切に考えて行動している和歌山県であることを全国に訴えることができると思います。
そこで和歌山での国体を契機として次年度以降、開催される国体と障害者大会会場に、このひまわりの種をリレーして咲かせてもらう取り組みをしては如何でしょうか。和歌山県が実施しようとしている国体でのこの取り組みは、大川小学校の関係者、宮城県の関係者は知っているところです。そこで和歌山県にお願いしたいのは、宮城県と共に大川小学校のひまわりの種を国体開催県に引継ぎ、それぞれの開催地で花を咲かせる命のリレーを提唱して欲しいということです。
平成28年の開催県は岩手県なので調整が必要だと思いますが、それ以降の開催県に対して提唱してもらいたいと要望しておきます。