平成26年12月定例会一般質問 / 質問内容

1.中国視察報告と中国への農産物販売ルート拡大について

こんにちは。議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。どうかよろしくお願いいたします。

最初は中国への農産物の販路拡大についての視察報告を行います。去る10月15日から18日にかけて大連市で開催された「2014大連日本商品展覧会」の視察と出展に行ってきました。視察メンバーは団長に井本泰造かつらぎ町長、以下、橋本市経済部長、九度山町総括担当、JAの皆さん、県議会からは井出益弘議員、鈴木大雄議員、岸本健議員と私の四人、総勢17名が視察団を結成し訪問したものです。

今回は大連市からの要請があり、和歌山県の果実を何としても中国市場に売り込みたいと願っていることもあり訪問団を結成し、私たち和歌山県議会議員4人も加わり、今回の展覧会で成果を持ち帰りたいと考えました。

中国は検疫が厳しいため、輸出できるのは条件を満たした上で青森県のリンゴと鳥取県の梨だけとなっています。そのため和歌山県産の柿やミカン、桃や梅などは輸出できません。

まず大連市を訪れ日本貿易振興機構大連事務所の荒畑稔所長から東北三省の概要の説明をいただき、その後、和歌山県産の果実の輸出に関しての懇談を行いました。

まず大連市の現状を紹介します。大連市の人口は669万人で日本人は6,039人住んでいます。進出している日系企業は1,851社もあり、比較的馴染みの深い市となっています。和歌山県から進出している企業や飲食店もあり、進出や果実の売り込みに力を入れたい市のひとつだと考えています。

また日本語を使える人材も多数いて、日本語能力試験N1の受験者は上海に次いで中国で二番目の多さとなっています。また中国の中では大連市は比較的親日的で、日本食が好まれビジネスがやりやすい環境があります。

ただ最近の為替レートが円安になっていることから、日本企業の経済活動は厳しくなっているようです。日本企業の日本への輸出は円建てなので、売り上げの20パーセントから30パーセントが減少しているようです。日本企業が経営上の課題として、従業員の賃金上昇、現地人材の能力と意識が低いこと、新規顧客の開拓が難しいこと、そして現地通貨の対円為替レートの変動が激しいことなどがあげられています。和歌山県から市場開拓をするに際して、気をつけたおきたい課題が並んでいます。

また可処分所得は上海よりも4年程度遅れている感覚ですが、大連市内を回るとマンションや大型ショッピングセンター、そして外資系の飲食店などが増えていて、4年後の経済環境は上海と同様の水準になっていると話してくれたように、その可能性を秘めていると感じました。

日本に滞在していて10年前に大連に帰国した中国人の方は、帰国した時の所得は1,400元程度だったのですが、現在は約5,000元に上昇していることを話してくれました。実に10年間で3倍も賃金が上昇しているのです。この経済成長が高級マンションの建設と完売につながり、市内は高級車が日本よりも走っているように感じました。成長している大連市の活力を感じることができるものでした。

また日本企業ではユニクロが目立っていますが、現地ではZARAブランドもイメージが高く若い人達が好んでいることや、マクドナルドやスターバックスも好まれていて、若い人達の味覚は日本人とよく似た傾向にあると聞きました。若い人を中心に味覚や品質も変化しているようなので、和歌山県産の果実が受け入れられる環境があると感じました。

また日本の果実は品質が高く味も良いので食してみたいと思ってくれる人もいますが、日本からの輸出が制限されていることから市場で流通できていません。

そのため大連市の市場の志向や調査と分析を行うことによって、今後、和歌山県の柿を中国への輸出につなげたいと思います。

今回、事前に特定検疫審査手続きと検査の申請を行っていたことから、和歌山県産の柿を展示会に出展することができました。今回は中国国際貿易促進委員会大連市人民政府主催の「2014大連日本商品展覧会」にて和歌山県産の富有柿、紀の川柿、ひらたね柿、あんぽ柿の展示会でのPRを行い、広く普及活動を行ってきました。

今回の出展は期待が大きく、開場と共に多くの方が和歌山県ブースを訪れて和歌山県産の柿に関心を示してくれました。

来場者の評判は次の通りでした。

橋本市のひらたね柿は「種がなくて甘くて食べやすい」という評価。

かつらぎ町の紀ノ川柿は「中は黒いので見慣れていないのですが、とても甘くて美味しい」という評価。

九度山町の富有柿は「どうしてこんなに甘いのですか」という評価。

中国の柿は小ぶりで柔らかい柿しかないので、富有柿のような甘くて堅い柿はありません。和歌山県産の柿はとても評判になり、ブース訪れた人から「どうして中国国内で購入することができないのですか」、「中国国内で販売してくれたら購入する意思があります」などの意見があり、今後の輸入解禁になることへの期待の言葉を聞くことができました。

過去に和歌山県産の柿を食べたことのある人を含めて柿の感想を聞いたところ、「和歌山県産の柿は甘くておいしい」、「歯ごたえが良い」、「中国の柿と食感が違ってとてもおいしい」などの意見がありました。

和歌山県の柿を展示し、PRしたブースの列は絶えることがなく、当初予想していた以上の手応えを感じることができました。

会場では「以前は、和歌山県産の果実のPRは熱心だったけれど、最近はPRの機会がなかったように思っていたので、今回の参加を歓迎しています」という意見も聞くことがありました。継続した関係こそ信頼であり、将来の輸出開始につながるものだと感じた次第です。

今回の展示会では、和歌山県の柿はおいしいことが中国人に好評だったことから、輸出できれば市場で受け入れられる可能性を感じました。

翌11月に中国遼寧省経済貿易訪日代表団が和歌山県を訪ねてくれました。遼寧省対外貿易経済合作庁の王庁長以下5名が方々ですが、この訪問は私たち訪問団を務結成して展覧会に出展したこと、日中首脳会談を受けて中国政府から地方政府に対して日中経済交流についてロックが緩和されたことによって来県してくれたものです。

その時、「和歌山県産の柿は素晴らしいので、遼寧省としては中国国内の検疫の緩和については努力します」という話をいだきました。

質問1:中国への果実輸出に向けた協議開始の取り組みについて

このように事態は進展の兆しが感じられますから、中国への果実輸出に向けた協議開始に関して政府への働き掛けを今まで以上に行って欲しいと期待していますが、農林水産部長から、その取り組みについてお聞かせ下さい。

答弁者:農林水産部長

議員の視察報告にもありましたように、中国では経済発展により富裕層が増加しており、輸出相手国として魅力的な市場であると認識しています。

中国への果実輸出に向けた協議につきましては、平成16年度に日本政府から輸出解禁申請に必要な資料を提出しておりますが、現在も中国政府から具体的な検疫条件等の回答が得られていない状況にあります。

そのため県ではこれまでも、かき、もも、みかんについて植物検疫条件の早期合意に向けた中国政府との協議の開始について、日本政府に粘り強く要望してきたところであり、今後も引き続き強力に働きかけを行ってまいります。

来週、16日から19日にかけて山東省和歌山県交流協議団の7名が来県してくれる予定です。和歌山市内でペット検査を受診すること、和歌山城や和歌山マリーナシティなどの視察など、医療観光目的で来県してくれるものです。これもこれまでの同省との交流の成果であると感じています。ペット検査に関しては「2014大連日本商品展覧会」において私達訪問団が柿と共にPRしてきたものですから、来県を歓迎したいと思っています。

質問2:農産物輸出促進に向けた販路拡大の取り組みについて

部長から答弁をいただいたように、中国へは検疫の関係から果実の輸出は難しいと認識していますが、国内需要が伸び悩む中、海外への販路拡大は重要なテーマであり取り組みだと考えます。政府間協議を開始しないことには当面、果実を中国に輸出することは困難だということですが、中国市場だけではなく、より広い視点で他の手段を考えることはできませんか。

和歌山県として、中国市場も含め農産物の輸出促進に向けた販路拡大の取組みについて農林水産部長からお聞かせ下さい。

答弁者:農林水産部長

少子高齢化など国内市場が縮小していく中で、本県農業が目指すべき方向の一つは将来を見据えた海外への積極的な販路開拓であります。

9月議会で申し上げましたように、みかん、かき、ももなど本県特産品の果実類は中国本土に輸出できません。しかし、アジアのショーウィンドウと言われる香港へは輸出が可能であり、昨年の香港貿易発展局との覚書、MOU締結以降、国際見本市への出展や現地有力バイヤーの招聘など、中国市場も視野に入れて香港への取り組みを強化しているところです。

また、県ではアジアのみならず、より広い観点でビジネスマッチングを進めております。本年8月にはJETROと連携してバイヤーを招聘し、県内から20社を超える事業者がEU、ブラジル、タイといった海外のバイヤーと商談を行いました。 今後も台湾、東南アジアなどでの果物の販売促進活動とともに、グローバルな商談機会を県内事業者の皆様に積極的に提供することで、おいしく、安全、安心な県産品の海外販路開拓を一層進めてまいりたいと考えております。