平成26年9月定例会一般質問 / 質問内容

3.インドとの経済交流について

続いてインドとの経済交流について質問いたします。平成25年10月6日から12日にかけて、知事を初めとする一行はインドマハラシュトラ州を訪問し、和歌山県と相互協力の協定を結んでいます。このインド共和国マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書締結が最大の成果です。当時、知事のインド訪問の記事を読んだ事業者の方からは、インドへの展開についての質問がありました。その時、遠い国だと思っていたインドですが、意外と関心があるんだなぁと思いました。

これまでマハラシュトラ州との相互協力に関する締結においてはいくつかの県がうまくいかなかったのですが、和歌山県がやりとげたことは大きな成果ですし、今後、和歌山県の産品、工業製品や農産物をどうインドに売り込むか。世界へ向けた生産基地としてのインドとどう付き合うか。インド人の富裕層をどうして和歌山県に来てもらうことが出来るかなど目指すべき成果を大いに期待するものです。

インドとの交流については数年前から文化国際課が検討していたことを思い出します。当時からインド市場の有望性や経済統計などの説明を聞いたことがありますが、その早くから積極的にインドと関わろうとする姿勢が今回の成果につながったと思います。

また今回のインドとの覚書締結について井戸を掘ってくれたのが、藤本知子さんとスニル・チャコさんのお二人です。二人は今までもインドと日本、インドと和歌山県を経済交流でつなぐ役割を果たしてくれていますが、私は8月と9月にかけて数回お会いし、インドとの経済交流について話し合いました。その中でインドマハラシュトラ州との相互協力締結の時の話を聞かせてもらいました。

盛り上がったのは、インド憲法の父と言われるマハラシュトラ州の英雄であるアンベッカー博士の銅像を高野山に建てることについてです。知事がこの件に理解を示したことから一気に締結の話は盛り上がったようです。インドマハラシュトラ州の期待も大きいことからこの約束は是非実現して欲しいと思います。

そして時を同じくして商工中金和歌山支店では、海外市場開拓に挑む特定分野に優れた中小企業に資金面から支援する「グローバルニッチトップ支援貸付制度」による融資を県内企業に決めています。今回の県内企業への融資によって、同社の現地法人は工場建設や設備投資に増資を行うことができ、海外販売の強化が図れることになります。この貸付制度は10年後に一括で返済することになっているので、海外事業が軌道に乗ってから返済できる利点があります。

この県内企業は平成26年4月にこの融資制度を利用して3億円の融資を受けているように、和歌山県とインドマハラシュトラ州との相互協力締結が、インドでの事業を後押ししたように思います。このような経済交流が相互協定の目指すべきもののひとつであり、県内の他の企業も後に続いて欲しいところです。

そして今月9月1日インドのモディ首相が日本を訪問し安倍首相と会談し、共同声明をしています。声明では、今後5年間で日本のインドへの直接投資と進出企業を倍増させることを目標にしています。インドへの進出企業は約1,000社ですから、5年後には2,000社を目指すことになります。それほどインドは21世紀に成長が見込める市場であり、今回、日本企業進出に関して税制や行政規制、金融規制などを改善することや、投資誘因のある日本工業団地などの開発を検討することにしています。

先に特別委員会で視察したスズキ株式会社は以前からインドに進出していますが、今回、新たに工場建設をすると伺いました。視察に際して、鈴木会長兼社長が私達を迎えてくれる予定でしたが、モディ首相が来日したため、工場進出の件で鈴木氏は東京に行き、そのままインドに行ってしまったことがありました。このようにススギ株式会社のように自社でインドに関する情報を把握できる、人脈がある企業であれば進出に問題はありません。しかし和歌山県の場合は自社でインドに関わる情報を把握できる企業は少ないと思いますので、和歌山県としてインド情勢に関する情報を把握し、関心のある県内企業に伝えてくれることを期待しています。

日本とインドの関係が新時代に入る約1年前に、インド共和国マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書を締結して経済交流を進めようとしたことは先見の明があったと思います。

インドとの関係について以下質問します。

質問1:相互協力に関する覚書に基づく現状と今後の取り組みについて

インド共和国マハラシュトラ州と和歌山県の相互協力に関する覚書に基づく現状と今後の取り組みについてお示し下さい。知事に答弁をお願いいたします。

答弁者:知事

インド・マハラシュトラ州と締結した覚書に基づく具体的な取組といたしましては、今年の6月に同州の政府関係者が来県いたしまして、「和歌山県世界遺産センターとアジャンタ・ビジタ−センターとの交流に係る協定」を調印いたしました。

この協定を基に、今後、ビジターセンター同士が両県州の魅力を情報発信するという事業や、或いはアジャンタ・ビジターセンターに対して運営に関するノウハウを提供するなどの取り組みを行っていくことになっております。

また、来年の高野山開創1200年に向けまして、ご指摘のアンベッカー博士の銅像を高野山奥の院にという話が着々と進んでおります。

また、本県東京事務所ですがマハラシュトラ州の事務所と兼ねていただき、観光パンフレット等を備えて、ただ今事務所のディスプレーを同州一色にしております。また、これは変わっていくのですが、事務所職員を担当者に指名しまして、マハラシュトラ州の情報発信を行うようにしております。

一方、将来、インドとの交流の架け橋となる人材を和歌山側で育成しようと考えておりまして、本年8月に和歌山県職員で若手の者をマハラシュトラ州に派遣したところです。同州は大変喜んでくれまして、好意によって観光開発公社事務所内で和歌山県オーランガバード事務所を名乗らせていただいております。インドに窓口が出来たということで、新しい交流の展開を期待したい。しかしながら、今行ったばかりの職員ですから、どちらかというと将来のための布石としてじっくり育てていきたいと考えております。

今後とも、観光、食品加工など経済分野での互恵的・実質的な交流に取り組んでまいりたいと思っております。

質問2:県内企業のインド進出における今後の展開について

インドは民間事業者との経済交流を求めていると思いますが、和歌山県内企業のインド進出の支援、海外進出に際しての融資制度の活用など、どう展開して行こうと考えているのでしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:商工観光労働部長

インドとの経済交流につきましては、昨年10月に知事がインド・ムンバイを訪問し、開催した和歌山プロモーションにおいて、インド工業連盟関係者やインド企業の参加を得てビジネスセミナーを開催するとともに、県内企業3社とインド工業連盟西部本部や現地企業を訪問し、情報収集や意見交換等を行いました。

一方、本年6月には在大阪・神戸インド総領事館やジェトロ等と共催し、インドビジネスセミナー及び交流会を和歌山市内で機械や化学などの県内企業90名の参加のもと開催したところ、インド側からビジネスパートナー探しの協力申し出を受けた企業やインドビジネスへの関心を持った企業などが出てきております。

また、これらの企業以外にもインド進出に意欲的な企業も出てまいりました。

県としましては、今後もインドでのビジネス環境や様々な支援策など入手した情報を的確迅速にメールマガジン等により県内企業の皆さまにお伝えするとともに、インドでの展示会出展への支援やセミナーの開催などを通じて県内企業とインドとの経済交流を進めてまいります。

質問3:マハラシュトラ州の英雄・アンベッカー博士の銅像建立の現状について

そもそもこの法律は平均賃金を上げるための支援をするものだと認識しています。就労継続支援B型作事業所の平均賃金が、15,000円以内のところに集中していることが問題だと関係者ならずとも認識しています。平均賃金を上げるためにも優先調達を促進して欲しいと思いますが、賃金向上支援について考えていることがあればお答え下さい。この点についても、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。

答弁者:企画部長

アンベッカー博士の銅像建立の現状についてでございますが、昨年10月にマハラシュトラ州と覚書を締結した際、同州からインド憲法の起草者で仏教の偉大な指導者であるアンベッカー博士の銅像を、来年、開創1200年を迎え、日本の仏教の聖地で世界各地から多くの方々が訪れる高野山に設置し、同氏の功績を日本をはじめ世界各国に情報発信したい旨の申出がありました。

その後、本年6月にマハラシュトラ州文化大臣を団長とする訪問団が来県し、高野山を訪問され、打ち合わせを行うとともにアンベッカー博士の銅像の設置場所を確認したところでございます。

県として、来年の設置の実現に向けて現在、積極的に協力しているところでありまして、平成27年には高野山奥の院に設置される見込となっております。