平成26年2月定例会一般質問 / 質問内容

2.海洋再生可能エネルギーについて

平成26年度の重点施策として、海洋再生可能エネルギーの開発があります。表層形メタンハイドレートの国の本格的調査の誘致と海流発電の実現に向けた取り組みが主な項目になっています。

このうち海流発電に関しては、「和歌山県海洋再生可能エネルギー検討委員会」を設置し、委員会や実証フィールド視察などを行っています。海洋再生可能エネルギーには、浮上式洋上風力、波力、潮流、海洋温度差、そして海流発電の5種類があります。このうち和歌山県が検討しているのが海流発電です。

この計画の基になっているのが国の海洋基本計画で、ここで海洋再生可能エネルギーの利用促進として、実証実験のための海域である実証フィールドの整備に取り組むことが記されています。国では実証フィールドの整備と技術研究開発の実施を目指すことにしていますが、和歌山県では海流発電の実証フィールドの整備と技術研究開発に取り組むことを目指しています。

海流発電の発電原理は、海中に浮遊式のブレードや発電機などで構成される装置を設置し、海流の運動エネルギーを回転運動に変換して発電機で発電するものです。形式は海底から凧のように発電装置を浮遊させて発電するものです。

和歌山県で取り組むには理由があります。国家的に多様性が求められるエネルギー情勢があること。国が海洋基本計画で海洋再生エネルギーの利用促進を目指し、その実証フィールドを公募していること。和歌山県沖には優れた潜在的な可能性を秘めた黒潮エネルギーが存在していること。メタンハイドレートに代表される海洋新エネルギーへの期待が高まっていること。既存の水産業との協同による海洋産業の可能性があるからです。

ここで大きいのが、和歌山県沖を流れる黒潮のエネルギーに大いなる可能性があることです。NEDOが調査した「海洋エネルギーポテンシャルの把握にかかる業務」によると、和歌山県沖の黒潮のポテンシャルは200,333MWとなっています。これに続くのが高知県室戸の黒潮の47,869MW、続いて奄美の黒潮の35,089MWですから、和歌山県の黒潮は圧倒的な海流発電の可能性を秘めています。

しかも海流発電の採算性が確保できるとされている、平均流速2ノットを越える海域が点在しているようです。

この海流発電には利点があります。

それは安定した大きな発電が可能だということです。黒潮は大蛇行はあるものの、昼夜や季節による流れの速さと向きの変動が少ないことから安定した海流エネルギーを長期的、そして連続的に利用することができます。そのため年間を通じて安定的な発電が可能で、ベース電源としても期待できるところが他の再生可能エネルギーと違うところです。

まだ検討段階のため実現可能性は未知数ですが、本格的に国内で海流発電に取り組んでいる府県はありませんから、この発電方式の先進県を目指して欲しいと思います。

質問1:和歌山県における海流発電の可能性について

知事はこの海洋再生可能エネルギー、特に和歌山県における海流発電の可能性についてどう考えていますか。

答弁者:知事

ご指摘のように本県は広く海洋に面しておりますので、黒潮をはじめとする海洋再生可能エネルギーの活用にも積極的に取り組みたいと考えている訳でございます。

特に何が大事かと言いますと、ソーラーとか風力といった他の再生可能エネルギーも一生懸命やっている訳でございますが、本県の海流発電は議員ご指摘の数字が今ありましたように、もの凄く巨大な可能性を秘めている訳でございます。

現在の他の再生可能エネルギーだと、例えば一杯集めても原発一基分というのはなかなか難しいのですが、これは一つのプロジェクトで一つぐらいいってしまうというようなことが語られておりまして、特にそれが幾つも出来そうなのが潮岬沖の黒潮による海流発電でございます。

また、和歌山県は消費地にも近い訳でございますし、系統接続も容易でございますので、こういうことを和歌山県も姿勢を示し、企業と連携を進め、かつ国への働きかけなども大いにやって、事業化の暁にはぜひ和歌山でやってもらいたいというようなことをこれから進めていきたいと考えております。

将来的にもこれは夢の話になりますが、こういうことが出来ますれば、この和歌山の地が、例えば発電機器の組み立てとかメンテナンスの基地とか、そういう風なことになり雇用や港湾利用が進みますし、また漁業と協調した取組とか、あるいは観光資源としての活用とか、関連メーカーもひょっとしたら少しは来てくれるかもしれないとか、そういうようなことが膨らんでまいりますので、地域経済へのたいへん大きな手段になるんじゃないかと思っております。

海洋再生可能エネルギーに関して、先進県の取り組みには次のようなものがあります。

千葉県での洋上風力、福岡県北九州市、長崎県、福島県での洋上風力。佐賀県での潮流・洋上風力ハイブリッド発電。沖縄県での温度差発電などがあります。これらの県と比較しても和歌山県の黒潮のエネギーには可能性があります。

わが国で初めての海流発電の実用化に向けた取り組みに期待したいと思います。

質問2:今後の課題と実用化までのタイムスケジュールについて

今後の課題として考えられること、実用化までのタイムスケジュールはどのように考えていますか。商工観光労働部長に質問して一般質問を終わります。

答弁者:商工観光労働部長

本県では、大学教授や地元関係者による「海洋再生可能エネルギー検討委員会」を開催し、海洋エネルギーのポテンシャルについて検討を行い、潮岬沖を流れる黒潮を活用した海流発電が有望との意見を得ました。また、地元新宮市や串本町の積極的な取り組みもあり、先日、国に潮岬沖を海流発電の実証海域として申請したところです。

事業化の実現に向けては、海域の詳細流速調査や海流発電機器の技術開発、海底ケーブルの設置などそれぞれの段階において数年ずつかかることが予想され、実際の事業化についてはそれ以降となると考えております。

事業化実現に向けて、漁業への影響や船舶航行の安全対策など課題はありますが、関係機関と調整しながら、実証事業を推進するとともに、海流発電に興味を持つ企業や電力事業者を積極的に誘致していきたいと考えております。