1.都市空間の再構築戦略について
おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。昨日「インターネット中継で見ますから」と連絡をいただきました。このことで県議会はインターネット中継をしていることに改めて気付きました。議場にいる人だけではなく、インターネットで見てくれている人もいることを意識して一般質問に入ります。最後までよろしくお願いいたします。
最初は都市空間の再構築戦略に関する質問です。平成26年度の新政策にあるものですが、暮らしやすい都市空間を構築するため総合的なまちづくりを和歌山県が市町村に提案する取り組みです。その中には都市再生と計画的なまちづくりの促進の二つの柱があります。
その中で和歌山市の都市空間再構築について絞って質問します。ターミナル駅や県庁周辺の再開発などエリアの活性化に向けた調査を実施することと、和歌山県が主導して策定と提案をすることがその取り組みになるかと思います。
過去、平成19年8月から平成24年3月まで、和歌山市では中心市街地活性化基本計画を策定して五カ年計画で再生に向けて取り組んできた経緯があり、今年2月「まちなか再生計画」を策定したので市民の皆さんを対象に報告会を開催しています。
ここでは居住人口を増やすこと、賑わいと活力の向上を図ること、産業と雇用の創出を図ることが提言されています。これらは提言の如何に関らず中心市街地再生の基本となることですが、それを実現させることは簡単なことではありません。国の制度を活用して進めた和歌山市中心市街地活性化計画の効果も評価しにくいところですし、調査をして提言書をまとめたとしても実施主体となる事業者の登場、資金調達が図れなければ再開発は進みません。
そこに和歌山県と和歌山市が後方支援するような姿になる必要があると思います。ただ中心市街地に大規模な再開発ができる用地はそれほど多いものではなく、現状のまちの形を維持したままリノベーションを図る計画になるかと思います。まちの姿を変えるというよりも、限られた中心市街地と限られた予算の中で変貌を遂げるために、どのような計画に仕上げるのか期待しているところです。
また、和歌山市が検討を続けてきた「まちなか再生計画」が完成しています。策定に関った委員の他、市民の参画もあった2030年における和歌山市の中心市街地の好ましいあり方の提言書となっています。
ここでは現状把握として、和歌山市の少子高齢化、進学や就職で和歌山市外へ転出していることでから若い層が減少していること。そして市街地の拡大は進む一方で、この地域での定住人口の減少、都市の希薄化、拡散化が加速的に進んでいることや、郊外の大型商業施設の増加、医療福祉施設や教育施設の郊外移転が進展した結果、中心市街地の活力は低下し、未利用建物や低未利用地が増加、中心市街地の魅力が低下し、市民が中心市街地から遠のく結果になっていることなどが指摘されています。
それを受けての和歌山市再生として、居住人口を増やすこと、賑わいと活力の向上を図ること、産業と雇用を創出することを目指そうというものです。
昨日の一般質問に対する当局の答弁にもありましたが、市民の力という言葉でまちづくりを表現することがあります。
ところがまちづくりを市民の力で成し遂げた事例は、全国を見渡してもそれほど多くありません。どうしても事業主体となるべき人や事業者が必要になります。そしてそこには計画、資金力、熱意の継続が必要です。
昨日、浅井建設グループ会長から学園城郭都市ふじと台の話をきいてきました。都市づくりは生易しいものではないことが分かるものでした。
最初に、ふじと台に着手してから、現在までに要している費用は約500億円から600億円です。それでも現段階は、全体構想の約50パーセントが完成したところであり、完成までに要する残りの期間は約15年、完成までに必要とする総額は約2,500億円と見積もっているようです。
このまちを都市にするために必要な機能は、ホテル、ショッピングセンター、病院、遊び場所、文化施設などで、完成に向かう過程で建設することを視野に入れています。
都市計画には資金が必要であること、情熱を燃やし続けることが必要なこと、実現させるまでには長い時間が必要なこと、が分かります。この開発事業、都市づくりを、和歌山県も和歌山市も、モデルケースにして欲しいと話してくれました。
これまでふじと台の住宅は、年間平均して約100軒は売れ続けているそうです。現在、設置されている小学校も駅、ショッピングセンターもない時代から、ふじと台は売れていたのです。その売れた要因は、学園城郭都市という都市づくりに関して明確な構想があったことにあります。将来は小学校や駅、ショッピングセンターなどが建設され、しっかりとした都市になることが分かっているので、購入者が安心できたので売れたのです。
ここにまちづくりの真髄を見たような気がしました。繰り返しますが、和歌山県も和歌山市も都市づくりのモデルになるような街がふじと台に形成されています。和歌山市中心市街地再開発に必要な要素がここにあるような気がします。
そこで質問です。
和歌山県の和歌山市の都市再生の推進、実現に向けて、来年度の新政策とは、どのような方向性で取り組むのでしょうか。また、和歌山市が策定しているこの「まちなか再生計画」との関連はどう考えたら良いのでしょうか。2月末に和歌山市役所で行われた報告会には知事も参加しているので、その時の感想も含めて知事の答弁をお願いします。
先程の多田議員に対する答弁でも申し上げましたし、それから本議会の冒頭の提案説明におきまして、「未来への投資」の政策といたしまして、「都市の再生を目指すために、都市計画の活用と都市再開発を具体的に県が企画提案をして、市町村をリードしていきたい。」という考えを示しております。
具体的には、平成26年度の新政策で、ターミナル駅周辺の再開発などの都市の活性化に向けた調査といっても具体的に絵を描いていって、それで提案をしていくということなんですが、そういうことを実施するふうにしておりまして、その結果を、和歌山市の都市再生に活かしてもらうようにお願いしていきたいというふうに思っております。
先程、ご指摘のありました多田議員のご質問にもお答え致しましたが、和歌山市における二つの構想。一つは民間中心になって、「2030わかやま構想」というのができた。それから、もう一つは、これは市のちゃんとしたいわゆる審議会でしょうか、市の事務局も入って、きっちりつくった「和歌山市まちなか再生計画」を取りまとめたのは、大変時宜を得たものであると考えております。
先程も申し上げましたが、私も最後に、特に「わかやま構想」のご披露のタイミングでしたけれども、それを聞かせていただいて大変熱のこもった議論で考えを新たにいたしました。ただ両者を比較いたしますと、「2030和歌山構想」の方は、割合具体的にいろいろこうしようああしようという話が載っているんですね。一方「和歌山市まちなか再生計画」を読ませていただくと、実は構造があって、この「2030和歌山構想」なんかを踏まえて作ったんだというふうに書かれてあるんですけれども、中身を見ると半分くらいのページは経緯で議論かなんかしている写真がでてきて、後半の方は、これは先ほど議員がご指摘がありましたような、おおまかな原因分析と、それから抽象的な運動方向について書かれてあると、これではなかなか具体的な話は進まないな、というふうに個人的には思うわけです。したがって「2030和歌山構想」にあるような、具体的な提案を、これは市民全体のものになるように、市は努力をしてもらわないといかんじゃないのかというふうに思うし、そうできるように我々も企画提案なんかもしながら、支援をしていかなくてはいけない。そういうふうに思っております。
答弁いただいたように、資料を作成するだけで行動しないことや抽象的な話ではなく、具体的な計画、具体的な行動をすることが実現させることになります。これのまでもそうでああったように、報告書をあげて終わりにはして欲しくないと思います。
続いてJR和歌山駅周辺と南海和歌山市駅前の都市開発についての質問です。
JR和歌山駅の乗降客数は、平成24年度の実績によると一日当たり38,360 人となっています。これは平成7 年と比較すると16%減の数字です。また和歌山駅の周辺は比較的多くのマンションが建設されている地域であり、これからも計画が見込まれる地域でもあります。定住人口、交流人口の中心となる地域がこのエリアであり、駅周辺の再開発が和歌山市のまちなか再生の核となるものだと思います。
ただ和歌山市のマンションの供給は、平成18年度は290戸だったのが、平成20年度には196戸、平成21年度には110戸、平成23年度には50戸と減少傾向にあります。また回廊できる商業施設は近鉄百貨店の他は少ない現状にあります。
先日も他府県から来てもらった人に駅前を歩いてもらいました。平日の昼間の人通りの少なさに「和歌山市の人はどこに出掛けているのですか」という問いがあるほどでした。
和歌山市に限らず地方都市は車社会であること。和歌山市内のこの地域に大学生が出掛けることが少ないこと。企業や事務所が少ないためビジネスに訪れる人が少ないこと。ショッピングゾーンが少ないことなどが人通りの少ない原因だと思いますと答えました。
また少し離れて和歌山城にも立ち寄りましたが、お城とこの周辺の景観は優れていると話してくれましたが、「これだけ観光客が少なくて、地元の人が集っていないお城は珍しいことです」という感想がありました。これは残念なことだと思いましたが、再生する必要性を改めて感じました。
和歌山駅前を、いきなりショッピングが楽しめるエリアにすることは難しいと思いますから、定住人口を増やす施設、目的を持ち出掛けられる施設、例えば病院、銀行などの誘致から始めることも必要ではないかと思います。事業者の視点からは、低層階を商業施設にした場合、退去リスクを軽減させるため手堅い病院や銀行の入居を好む傾向にあるようです。これらは人が行き交うスペースとしての役割を求めるには厳しいところがありますが、工夫の余地はあると思いますし、駅前に立地することで住む人の利便性が高まります。
一方、南海和歌山市駅の方ですが、平成24年度の南海和歌山市駅の利用客は一日当り20,534 人であり、平成7 年と比較すると44%減となっています。また築年数30 年以上の建物が約2/3 以上を占める地区となっています。
つまり、建物の老朽化が進行しているにも関わらず建物の更新が停滞していること、ターミナル駅としての機能が衰退していること、駅前の商業が衰退している地域になっています。そして平成26年8月末で高島屋が撤退することが決定し、地元のみならず和歌山市民からは不安の声が聞こえてきます。
高島屋の撤退後に商業施設を含めた複合ビルになれば良いのですが、現時点では計画はなさそうですし、高島屋撤退の余波として和歌山市駅がなくなるのではないかという不安の声もあります。あり得ない事ですが、ターミナル駅がなくなるとすれば、再開発の必要性は薄れますし、駅周辺の既存のマンションの資産価値は下落することになります。
「もし和歌山市駅がなくなれば大阪に引越しします」という大阪まで通勤している友人の声もあるように、現状を何としても変えるような再開発や活性化策が必要だと考えます。
ところで、平成26年2月26日付の日本経済新聞で、私鉄は駅前再開発で勝負をしていることの紹介がありました。大手私鉄各社が駅周辺の再開発を急いでいるというものです。駅近くにマンションと店舗が一体になった複合ビルを建設するなど、都市機能を駅前などの中心部に集中させるコンパクトシティが拡大していることが記されています。まちなか居住が都市再生の鍵になりそうです。
現在のところ、これらの駅前再開発の計画が明確ではありません。都市計画を司っている行政が都市計画による再生の方針を示さなければ、民間事業者は投資をしないと思います。
沿線住民を繋ぎとめようとする大手私鉄のような戦略が期待できない和歌山市の両駅前ですから、鉄道会社以外の投資を呼び込めるだけの和歌山市中心地にしなければならないと思います。
そこで質問です。
JR和歌山駅前で民間事業者が再開発事業を行おうとした場合、支援制度として適用できる施策はありますか。また南海和歌山市駅前の活性化に向けてどのように考えていますか。県土整備部長の答弁をお願いします。
JR和歌山駅周辺及び和歌山市駅周辺は、県内外からの人流・物流の中心であるとともに、商業あるいは教育・文化施設の集積された重要な拠点であり、また、県都和歌山市の玄関口であることから、同市の都市再生を進めていくに当たって活性化を図る必要があると考えております。
JR和歌山駅周辺におきまして、民間事業者が再開発事業を行おうとした場合の支援制度については、国土交通省の社会資本整備総合交付金による市街地再開発事業や地方都市リノベーション事業等がありますが、その適用につきましては事業内容を具体化する必要があると考えております。
また、和歌山市駅周辺につきましては、周辺再開発に向けて、南海電鉄を中心に、県や市などの関係機関も連携しながら、特に住宅の整備をはじめ、集客施設の整備などによる賑わい空間の創出、駅前広場の再整備による交通結節点の強化などの様々な検討が進められているところであります。
県としましては、都市再生の実現に向けて自ら様々な構想を検討・提案し、和歌山市に強く働きかけるとともに、関係事業者等と連携を密にして進めてまいりたいと考えております。
和歌山市の両駅におけるこれらの取り組みに基づいての意見が出されているようですから、和歌山市と協同して一つでも実現できるようにして欲しいと思います。
また要望ですが、中心市街地の再生に協力してくれた事業者に対する固定資産税の取り扱いに関しても検討課題だと思います。工場立地に関しての固定資産の減免などの取り扱いはあると思いますが、商業施設に関しての同様の措置はないと思います。進出を検討するための一つの材料となると思いますから、和歌山市と中心市街地再生について協議する際の検討課題にてして欲しいと思います。
また浅井会長も、ふじと台に関する公共施設などに関して固定資産税の減免などのお願いをしたことがあったそうです。ところが減免措置はできないという回答であり、如何にも官僚的な回答だと話してくれました。都市づくりに関しては、行政のトップは官僚ではなく政治家であるべきだと話していたことも付け加えておきます。
この項目の最後の質問です。平成30年度に向けた和歌山南スマートインターチェンジの計画が進展しようとしています。海草振興局建設部の移転計画もあり、交通の利便性向上、物流の拠点として、そして地域活性化の期待が集まっています。ただ都市計画によってこの辺りの地域は市街化調整区域であり、開発が規制されています。
折角、都市計計画道路である南港山東線の整備とインターチェンジの設置が図られるのに、市街化調整区域にしておくのは、どうだろうかと思います。中心市街地再生やコンパクトシティを目指す方向性とは整合性が図れないところがありますが、和歌山市東南地域の活性化のためにも都市計画の見直しも検討すべき課題だと思います。
更にこの地域には貴志川線が通っていることから、近くの駅と連携しての地域活性化が図れると思います。必要以上のまちの拡散は避けるべきですが、このインターチェンジを中心とした地域を一つの面として活性化につながるような都市計画へと見直しを図って欲しいと思います。
和歌山南スマートインターチェンジ付近の都市計画の見直しについて、和歌山市と協議することは考えているのでしょうか。県土整備部長の答弁をお願いします。
和歌山南スマートインターチェンジが完成すれば、南港山東線の整備と相まって、高速道路利用者の利便性向上はもとより、観光や産業の振興による地域活性化が期待されています。
一方、外縁部で開発を行うことは、その分、中心市街地での土地需要を奪われることになりますので、まちなか再生と整合性が図れない部分もあり、和歌山市の都市再生を全体でどういう形で進めるかが問われることとなります。
こうした観点から、当該地域においてどのような施設が必要か、またどのような土地利用が適切かについて、県と市が一緒になって早急に検討してまいりたいと考えております。