5.和歌山県が取り組むエネルギー政策について
続いて和歌山県が取り組むエネルギー政策についてです。
「関西における望ましいエネルギー社会の実現に向けて」について、関西広域連合として案が示されています。国の電源構成や地球温暖化対策、エネルギー政策の見直し、電力システム改革に対応していくことを目的にしたものです。
関西の課題としては、省エネルギーや再生可能エネルギーの推進、産業活動の向上などがあり、これらの課題克服に向けて構成府県市が協力しながら、関西において望ましいエネルギー社会を構築しようとしているようです。
関西広域連合の取り組みとして、地域エネルギーの創出、LNGの安定的供給と、火力と水力の活用と高効率化などの国への提案。エネルギー使用量の見える化などが考えられています。
また再生可能エネルギーの導入に関しては、平成32年度に太陽光発電450万kW、再生可能エネルギー全体で600万kWを目標としているようです。これによって太陽光発電で関西の夏の電力需要のピーク時期に、最大16パーセントを発電することになると試算されて、電力ピーク時の対応として期待できる内容になっています。
でも言われるまでもなく和歌山県は、既存のエネルギーへの理解と共に再生可能エネルギーにも取り組んでいます。
また新年度は海洋実証実験プロジェクトの誘致、継続してメタンハイドレートの調査などの海洋エネルギーの創出を促進しようとしています。県としてエネルギーを創出しようとする姿勢は歓迎できるものです。将来、海洋資源の確認がとれ採掘できるようになれば、わが国で初めてとなる資源産業を和歌山県が創出できることになります。経済面、雇用面で大きな成果が期待できるもので、夢のある取り組みとなります。
和歌山県がこれまで取り組んできたエネルギー政策の評価と、これからのエネルギー創出の進め方について、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
県では、エネルギー政策に取り組む窓口を一本化し、太陽光発電、風力発電、小水力発電や木質バイオマス利用など再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでおります。
メガソーラー等の太陽光発電につきましては、これまで県有地や市町村有地等を中心に適地を取りまとめ、事業者からの問い合わせに一元的に対応するなど積極的に取り組んでおります。小水力発電につきましては、固定価格買取制度開始後、近畿で初めて農業用水を活用した発電所がみなべ町の島ノ瀬ダムに設置されました。
また、木質バイオマス利用につきましては、木質パウダーのエネルギー利用を全国で初めて実用化し、日高川町や新宮市の温泉施設のボイラーで利用されております。
このように、長い日照時間や豊かな森林資源など本県の特性を活かした再生可能エネルギーの促進を進めてきた結果、平成24年度の新エネルギー発電電力量実績では、近畿全体の65%を占めるに至っておりますが、新エネルギーが電力量全体に占める割合は、いまだ、2%に満たず、安定供給面、コスト面での課題もあります。その反面、温室効果ガスの出ない有望な国産エネルギー電源の一つと認識しております。
そのため、県としましては、これまでの取り組みを継続しながら、次世代エネルギー資源として有望な表層型メタンハイドレートの賦存調査や、大きなポテンシャルを秘めた海流発電の開発などの海洋エネルギーの創出や、温泉熱の利用など新しい取り組みも進めてまいりたいと考えております。
海洋エネルギーについては平成26年度に向けて事業化を図るため和歌山県は積極的に取り組もうとしていることが分かりました。そこに加えて欲しいのは地中熱の利用です。
地中熱は平成26年度、環境省は20億円の予算要求をしているところです。
まず地中熱について説明します。地上から深さ10mくらいのところの地温は、年平均気温とほぼ等しくなっています。四国九州の南部で20度、北海道で10度、東京や大阪では17度程度です。もちろん深くなれば地温は上昇しますが、100m程度の深さでは温度の上昇は2〜4度程度です。
一方、冬と夏に地上と地中との間で10度から15度もの温度差が生じています。つまり、温度が一定である地中は冬には温かく夏は冷たいのです。地中熱の利用ではこの温度差に着目して効率的に熱エネルギーの利用を行おうとするものです。
一般的に、自然エネルギーは天候に左右されますし、利用できる時間帯が限られていますが、地中熱は安定的に何時でも利用できる自然エネルギーですし、日本中どこでも利用できるエネルギーです。
利点を列挙すると、日本中どこでも、いつでも利用できること。省エネとCO2 排出量抑制ができること。通常のエアコン(空気熱源ヒートポンプ)が利用できない外気温 -15度以下の環境でも利用できること。地中熱交換器は密閉式のため環境汚染の心配がないこと。冷暖房に熱を屋外に放出しないためヒートアイランド現象の緩和に寄与すること。などがあります。
和歌山県での導入実績は残念なことにほとんどないものの、全国では東京スカイツリー地区や羽田空港国際線旅客ターミナルビルに代表されるように、導入している事例はたくさんあり、和歌山県における低炭素社会の実現、エネルギーの地産地消、熱の段階的利用による産業の活性化などの効果が期待できると思います。
県内で関心のある地方自治体もありますし、民間事業者への支援制度もありますから、県が主体的になって導入促進対策を示して欲しいと思います。
和歌山県として再生可能エネルギーの促進に力を入れていますが、その中で地中熱の普及促進について考えることはありますか。市町村の動きは如何でしょうか。
地中熱の利用は和歌山県で事業化させることは可能と思いますから、平成26年度の本事業について積極的に呼び掛けをしては如何でしょうか。商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
地中熱利用につきましては、省エネルギー性や環境負荷低減効果から住宅、事務所、公共施設等での暖房・給湯などで、冬に外気温と地中の温度差が大きい北日本を中心に普及が進んでおります。
一方、温暖な西日本では、冬においても外気温と地中の温度差が小さく、地中熱を有効活用できないことから、地中熱利用による省コストの効果が出るのに30年以上かかるとの試算もでております。
このことから、本県においては、導入事例が少ない状況ではありますが、省エネルギー等の視点から公共施設での地中熱利用を検討している自治体があると聞いてございます。
本県としましては、今後の技術開発や施工方法の改善によるコスト削減の状況を注視しながら、再生可能エネルギーの一つとして地中熱利用の周知を図っていきたいと考えております。
コスト試算に関しては30年という答弁がありましたが、規模や設備によっては、回収期間の短縮も可能だと聞いていますので、動きがあれば支援をして欲しいと思います。環境省の「地中熱に利用にあたってのガイドライン」によると、「地中熱を利用したヒートポンプ自体は、空気熱利用に用いるヒートポンプ同様に確立された技術です」と述べられています。
環境省などとも連携を図り、シンポジウムなどの動きがあれば支援していただくことをお願いして一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。