平成25年12月定例会一般質問 / 質問内容

2.貴志川線と加太線の直結等について

ところで貴志川線を利用者がより便利に、事業者にとってより収益を上げ将来の自立につなげられるようにするため、貴志川線をJR紀勢本線和歌山市駅経由で南海電鉄加太線との直通運転を行うことを考えて欲しいと思います。通勤や通学においても、観光振興においても、貴志川線を和歌山駅経由、和歌山市駅、および加太線と結ぶことは利便性を高め、利用者のニースに合致すると思います。

JR紀勢線と貴志川線の番線は8番線と9番線と隣接していますから、大規模な工事をしなくても接続は可能だと思います。軌道は同じ幅ですし、平成23年度には架線電圧をJR紀勢線と同じ直流1500ボルトへ昇圧していることから、接続面での課題はひとつ解決されています。

以前、平成22年2月議会の一般質問を受けて、当時の企画部長が次のように答弁しています。「和歌山電鐵にありましては、まずは貴志川線沿線の魅力向上に努め、経営基盤を固めることが先決であると、さらに南海電鉄におきましては、貴志川線を撤退した経緯もありまして、具体的な検討は行ったことがないと、JR和歌山支社は、運行管理など乗り入れに対する安全対策などについて検討する必要があると、そういうことであり、加えて各社とも採算性の問題を指摘しております。

しかしながら、各社とも協議には応じるということでありますので、今後、和歌山市とともに鉄道事業者と話し合っていきたいと思っております」というものです。

鉄道事業者は、貴志川線と加太線を直結することについて、協議には応じてくれると思います。接続することによって利便性が向上すれば通勤手段として鉄道の利用者が増えることも考えられますし、鉄道会社は地域とともに存在していますから地域に貢献することが社会的使命だと考えているからです。

しっかりとした沿線の地域づくりの計画を持ち、鉄道事業者に諮れば、きっちりと答えてくれると思います。

この件に関しての質問です。

質問1:相互乗り入れに関して和歌山市や鉄道事業者との検討状況について

その後、相互乗り入れに関して和歌山市、鉄道事業者と協議したことはありますか。

これらの鉄道各社から示された問題は解決され前向きに進んでいるのでしょうか。

貴志川線と加太線を結ぶ線路を所有しているのはJRですから、鍵を握っているのはJRです。JRとの折衝実績、そしてJRから、この直結に関しての意見や考え方などは示されていますか。企画部長からお考えをお聞かせ下さい。

答弁者:企画部長

貴志川線と加太線の直結についてでございますが、県としましては、貴志川線が南海和歌山市駅まで乗り入れること、また、加太線がJR和歌山駅まで乗り入れることは、両線の利用者の利便性向上や大阪方面からの誘客促進にも繋がり、大変効果があるものと考えております。

これまでも、JRをはじめ各鉄道事業者及び和歌山市と協議を行ってまいりましたが、鉄道事業者によりますと、各社の電車が輻輳することによる安全確保の問題、自動列車停止装置など保安設備の相違、それからJRと南海、和歌山電鐵では車両の幅が異なるため、ホームの改良が必要となるなど、相当の経費を要し、各社とも採算が見込めないなど、相互乗り入れ実現には克服すべき課題が多くあるとの見解でございました。

しかしながら、先程申し上げましたとおり、貴志川線の和歌山市駅への乗り入れ、加太線の和歌山駅への乗り入れは、利便性の向上や需要の掘り起こしなどの効果があると考えますので、和歌山市と連携しながら、鉄道事業者に働きかけを行ってまいりたいと考えております。

質問2:鉄道事業者が行う線路の設備改良への支援策について

物理的な課題として、直結に必要なことは8番線と9番線の線路の設備改良などがあります。

設備改良ですが、鉄道事業者が線路の改良の意思を示した場合、例えば、国の地方鉄道事業者への支援策として、地域公共交通確保維持改善事業などがありますが、この補助制度が活用できないものでしょうか。企画部長に質問いたします。

答弁者:企画部長

議員ご提案の「地域公共交通確保維持改善事業補助金」でございますが、これは地方鉄道事業者が行う線路、電路設備の改良等に対して国が補助金を交付する制度でございます。事業内容等に応じて補助対象となるかどうかいちいち決定されますので、事業が具体化してきた時点で、鉄道事業者をはじめ関係者と協議を行ってまいりたいと考えてございます。

質問3:和歌山デスティネーションキャンペーンを契機とした鉄道各社と連携した誘客への取り組みについて

ところで和歌山県ではJRと地域と連携して、平成26年9月14日から12月13日までの期間、和歌山デスティネーションキャンペーンを実施することが決定しています。このキャンペーンの狙いとして、観光客数と観光消費額を増加させるなど、観光産業の活性化を図ることや、市町村、JR、そして観光事業者などとの連携を強化することにあります。

全国のJR各社が和歌山に観光客を送り込むことを支援してくれるものですが、そのために鉄道の利便性を向上させ、観光客へも利便性というおもてなしがあれば、リピート客になってくれる可能性があると思います。

そこで、貴志川線と加太線の直結に加えて、南海電鉄で人気の天空をJRの和歌山線に接続させ和歌山駅まで走行させることなども楽しい企画となります。

和歌山県のキャンペーンに向けての取り組みの中に、2 次アクセスの向上や特別列車を運行するという考えがあります。

鉄道会社単独ではできない、地域に密接する特別列車運行について、和歌山県が働き掛けることによって実現させることは可能だと思います。鉄道会社は地域密着型事業であり、地域の発展と経済の活性化、そして人口が増加することで発展していきます。和歌山県が元気になればJRも南海電鉄も、そして和歌山電鐵も収益が伸びますから、可能性はあると思います。

そこで和歌山デスティネーションキャンペーンを契機として、特別列車として天空を走らせる企画は検討はできないものでしょうか。現在、難波から橋本市を経由して極楽橋から高野山に向かうお客さんは、そのまま難波に帰っていると思います。

しかし高野山から和歌山駅に天空を走らせるなら、これらのお客さんを和歌山市の観光に持ってくることが可能となります。もし実現できたら、和歌山デスティネーションキャンペーンの目玉企画となりますし、その後も定期的に走らせることで和歌山市への誘客につながると思います。

和歌山県が主導して鉄道各社との連携を図って欲しいと思いますが、この点についての見解を商工観光労働部長からお聞かせ下さい。

答弁者:商工観光労働部長

県では、来年の世界遺産登録10周年を契機として、9月14日から3ヶ月間、JRグループ6社とタイアップした「和歌山デスティネーションキャンペーン」を実施いたします。このキャンペーンを後押しするため、JR西日本においては様々な列車の企画を検討されているとのことです。

議員からご提案のありました南海電鉄「天空」の和歌山線乗入れにつきましては、軌道の接続や保安設備の更新といった技術的な課題やダイヤ編成、乗務員の習熟などの運用での課題が多いと聞いてます。

こういった技術面、運用面での課題に加え、「天空」は高野山への登山列車としての魅力を持つものであり、和歌山線を走行することの効果については見極める必要がある。こういうふうに考えております。

県としましては、JR西日本、南海電鉄の検討を注視してまいりたい。このように考えております。