1.和歌山電鐵貴志川線について
こんにちは。議長のお許しをいただきましたので一般質問を行います。よろしくお願いいたします。
最初は、和歌山電鐵貴志川線についての質問です。平成17年に貴志川線の存続が決定してから8年が経過しています。平成17年9月9日に和歌山県と和歌山市、当時の貴志川町が貴志川線存続で合意、平成18年4月1日から現在の和歌山電鐵が運行しています。
その時の存続に際しての支援は次の通りです。
和歌山県は、和歌山市と当時の貴志川町の鉄道用地取得費を補助金で全額を負担したこと。そして将来の大規模修繕費として、2億4千万円を上限に支出することの支援を約束したこと。
和歌山市と貴志川町は、鉄道用地は和歌山市と貴志川町が保有し、運行は和歌山電鐵が行う上下分離方式を採用しました。その運行事業者である和歌山電鐵への補助は和歌山市が65パーセント、貴志川町が35パーセントの割合で8億2千万円を上限に10年間補助することを決めています。
事業者である和歌山電鐵の親会社である両備グループは、当時、地方鉄道の再生を行うために3つの条件を挙げ、これを満たしたことから事業運営をしてくれています。
ひとつ目は、地域の熱意。お金と行動の両方を満たしていること。
ふたつ目は、自治体と国からの支援が受けられること。
みっつ目は、既存事業者の全面的な協力を得られること。
これらの条件のうち、南海電鉄の協力の面については、今回、関係はありません。しかし乗車につながる地元の行動と和歌山県と和歌山市、そして紀の川市の支援の継続が、引き続いて鉄道を運行するための大きな要因となりそうに思います。
和歌山電鐵貴志川線の運行と地元発展に関する取り組みは、今更言うまでもありません。
JR九州の七つ星のデザインを手掛けた水戸岡氏がデザインとした「いちご列車」「おもちゃ電車」、「たま電車」の運行。貴志駅に三毛猫「たま駅長」を誕生させたことがあります。
設備面では、貴志駅新駅舎「たまミュージアム貴志駅」の竣工。架線電圧を直流600ボルトから直流1500ボルトへと昇圧したことがあります。
その結果、事業実績は上がってきています。
和歌山電鐵貴志川線の利用者数は、南海電鉄が撤退した時の平成17年度では年間、約192万人でした。しかし、和歌山電鐵が運行を引き継いだ平成18年度以降は年間平均利用者数は約216万人となり、南海電鉄時代に比べ10%を超える利用者増となっています。
また、平成22年度以降3年間の利用者数ですが、平成22年度は年間、約217万人、平成23年度は年間、約218万人、平成24年度は年間、約217万人となっています。
和歌山電鐵貴志川線の経営状況については、南海電鉄時代は毎年4億円を上回る赤字を計上していましたが、和歌山電鐵に運営が引き継がれた後、平成18年度は純損失額が約1億5,984万円。その後、人件費の削減や利用者増加策などの経営努力が行われており、平成20年度では約6,939万円まで減少しています。その後はレールなど設備の老朽化により修繕費や減価償却費等が増加し、直近3年の純損失額は平成22年度で約7,754万円、平成23年度約8,117万円、そして平成24年度約8,161万円となっており、過去7年間の平均では約7,841万円の赤字経営が続いている状況です。
以前の事業者と比較すれば損失は減少していますが、依然として赤字経営が続いていることから、11年目以降の継続は補助制度がなければ何とも言えない状況だと思います。
ではそこで質問です。
和歌山電鐵に対する10年間の支援の期限が近づいてきましたが、これまでの貴志川線の地元への貢献や経済効果などの評価を総合的にお聞かせ下さい。答弁は知事にお願いします。
和歌山電鐵が貴志川線の運行を開始して以来、たま駅長の誕生や「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」の運行、貴志駅のリニューアルといった小嶋社長の斬新なアイデアや、和歌山電鐵と地域の皆さんによる様々な魅力ある取り組みなど、関係者が一丸となって利用促進に取り組まれてまいりました。
このことにより、年間200万人を超える方々が利用されるだけでなく、国内外の多くのメディアに取り上げられるなど、観光客の誘客促進や宣伝広告効果による県の認知度向上など多大な貢献をいただいているところであります。
県といたしましても、たま駅長にですね「和歌山県勲功爵・わかやまでナイト」の授与や「和歌山県観光まねき大明神」に委嘱するなど、パンダとともに本県の観光ブランドとして強力に打ち出しているところであります。
香港などにプロモーションに行きましたら大変な人気でございまして有難いと思っております。
和歌山電鐵貴志川線は地域の鉄道だけにとどまらず、このように観光振興にとっても重要な路線であり、地域のより一層の活性化のためにも、貴志川線の存続はとても大事であると考えております。
そのためには観光客はもちろんではありますが、安定的・永続的な運行を実現するためには、沿線住民の皆さんが今以上にご利用いただくことが何よりも重要であります。
貴志川線の存続は住民の皆さんの総意だと思います。それなら一人一人がもうちょっと利用しようという気持ちを持って行動に移してもらうということが必要だと思っております。今年度の初めにですね県庁で試算をいたしましたら沿線住民があと4回多く乗ったらですね、採算が取れてしまうという結果が出ました。その結果いろんな工夫もしながら多くの方々に呼びかけをいたしまして、特に、運動をしておられる方なんか一生懸命やって下さいました。その結果ではないかと思うんですけれども、今年度は上半期ですけれども過去最高の117万人を記録しておりまして、そういう意味ではだいぶん理解が進んだのかなというふうに思うんでありますが、引き続き沿線住民の皆さん自身の「乗って残すんだ」という行動が必要だと考えておりますので、更なる利用促進を期待しているところであります。
和歌山電鐵に対する経過措置満了後の取り扱いについての考えをお聞かせ下さい。また事業存続の方向性について、検討されているのでしょうか。企画部長からお答え下さい。
議員ご指摘のとおり、貴志川線は年間約217万人のご利用がある一方、鉄道事業そのものは、平成24年度は約8,000万円の赤字となるなど厳しい状況でございます。
今のお話にもありましたけれども、貴志川線が安定的・永続的に運営されるためには年間約250万人の利用が必要と試算されておりますので、このため、沿線住民があと4回多く乗ることによって、250万人を達成し、自分たちの貴志川線を残そうという目的で、「あと4回きっぷ」を販売しておりまして、一層の利用促進を図っているところでございます。
先程知事から答弁いたしましたとおり、貴志川線の存続は、地域住民の移動手段として、また地域の振興にとって大変重要なものと考えておりまして、今後予想される修繕及び設備更新の計画等いろいろございますので、そういうことも踏まえまして、存続に向けた方策について、今後和歌山電鐵及び和歌山市、紀の川市と協議を行ってまいりたいと考えております。