3.災害への備えについて
この一般質問をするに際して関係する部門の職員の皆さんと議論を交わしました。皆さんの知識の深さや、財政の安定を図っていること、そして消費税増税後に対応しようと姿勢が伝わり、楽しい議論ができました。今回の質問はその一部の議論となりましたが、県民生活安定のための対策を講じてくれるものと期待しています。
さて災害への供えについての質問に移ります。
中央防災会議において「南海トラフの巨大地震想定」で巨大地震の想定はマグニチュード9.0として公表されています。県内で津波が高いと想定されている地域は18.3メートルであり、予想を超える余りの規模の大きさに県民の皆さんの不安は増しているように感じます。
想定見直しの結果を公表すべきかどうかという意見もありますが、情報を隠したことによる現実になった場合のリスクの大きさを考えると、早い時期での公表は適切であり、その想定に即した対策を講じる時間があるのは有難いことです。
こうした中、県では全国で初めての対策も実現させています。それは県内市町村が指定する避難先、そして新たに分類した種別や区分などを、グーグルマップを使った検索ナビやヤフー地図などを用いて情報提供することを実現させたことです。
避難先検索ナビアプリは、iPhoneやスマートフォンを使用し、グーグルが提供する地図とGPS機能からルートの検索を行うアプリとして提供されるものです。
この避難先検索ナビアプリのメリットは、どこに居ても、その居場所から近くの避難先を知る事ができるようになることです。
また和歌山県は観光地ですから、観光に訪れた皆さんの非常時の避難対策としても有効になります。
ヤフー(株)のYahoo!地図上には、携帯電話やインターネットでの位置情報提供がなかったため、当時調整を行っていたヤフー鰍ニの災害協定の取り組みを通して、情報が提供できるようになっています。この取り組みによって、防災・減災の総点検で見直した避難先情報をヤフーサービス上に掲載し、携帯電話やパソコンからでも情報が閲覧できるようになっています。また災害発生時においては、避難発令情報や被害状況やライフラインに関する情報などの情報を適時提供できるよう対策を講じる検討を始めているようです。
どちらの取り組みも全国に先駆けてのものであり、県民の皆さんに知ってもらいたい安心対策ですが、この取り組みが成立した経緯について、これからの周知方法について危機管理監に質問いたします。
本県では避難先を周知するためには、地図を用いた方法が最も効果的であると考え、現地の道路等事情を知らない方にも現在位置から避難先まで簡単にルート検索ができる避難先検索ナビの導入を検討し、アプリの提案を行ってまいりました。
同様の機能を提供する企業はありましたが、当初は、☆印による格付けなど、本県独自の情報を掲載する機能がなかったことから、費用負担が生じる程の改修や開発が必要となり、協力には難色を示されましたが、本県が実施する防災・減災対策の取組を粘り強く説明した結果、ご賛同いただける2社により無償で開発していただき、本年3月から提供を開始することとなりました。
日本最大のポータルサイトであるヤフーについては、災害時の迅速な対応を目的に、災害協定を締結し取り組んで行きたいとの申し出を受けました。これに対し、本県からの提案として当初から考えていた避難先マップの掲載を要望したところ、全国で初めてとなる試みではあるが協力させていただくとの回答を得て協議を重ね、6月5日からヤフー地図での避難先の掲載サービスが開始されたところであります。これによりほとんどのモバイル機器において和歌山県内の避難先検索が可能となりました。
これらのサービスがあることを、今後とも県民に広く周知するため、様々な機会を捉えてお知らせしてまいります。また、観光協会、旅館組合とも連携し、観光客への周知を図っているところであり、交通機関等にも協力をお願いし、検討を重ねているところであります。
続いてコミュニティ放送局との連携についての質問です。
和歌山県内には4箇所にコミュニティエフエム局があります。和歌山市、湯浅町、田辺市そして白浜町です。そして現在橋本市がコミュニティエフエム開局の準備和している段階です。この橋本市が加わると和歌山県内のコミュニティエフエム局は5箇所になります。
コミュニティエフエム局は地域の情報伝達手段として優れていますし、手軽に出演が可能なので地域活性化にもつながります。音楽を志している人や地域の活動家など幅広い人が参画することで地域に元気を与えてくれています。
もう一つの注目は、防災対策として、また災害発生時の情報伝達手段として効果的だという評価です。過去の大地震が発生した地域において、コミュニティエフエム局の貢献度は高いものがあります。地震発生時には地震速報を流しますし、災害発生時には地域の状況をきめ細かく伝えてくれています。情報の伝達は温かさの伝達でもあります。ですから全国的にコミュニティエフエムが防災対策として効果的だという評価が得られているのです。
県としては福祉施設などに対しては戸別受信機の設置による緊急警報の伝達を図っていますし、防災ラッパ設置の拡大も図っています。戸別受信を兼ねた防災ラジオについては一部導入を行っている町があります。
しかし地域情報に強いコミュニティエフエムと市町との連携は余り図れていないようです。勿論、白浜町は第三セクターのエフエム局なので大丈夫ですが、他の市町とコミュニティエフエム局との間で防災放送協定が未締結となっています。全国の地方自治体とコミュニティエフエム局は積極的に防災放送協定を締結していますが、和歌山県内で締結した例がないというのは寂しい状況といえます。
「南海トラフの巨大地震想定」の結果を受けて、可能な限りの防災対策、一人の命を大切にするための多様な施策を講じることが必至だと思いますが、大切な情報伝達の手段としてコミュニティエフエム局との防災放送協定ができていないことは問題だと思います。
近畿には35のコミュニティエフエム局があります。その内、10局が当該市町村と防災放送協定を締結していませんが、その未締結10局のうち3局が和歌山県に存在しているのです。
災害に関する情報を最も早く伝達することが必要な和歌山県ですが、初期的なことが成されていません。
各市町とコミュニティエフエム局との間での防災放送協定に関する動きはどうなっていますか。果たして締結できない理由があるのでしょうか。
また、県からも早期に防災放送協定を締結することを勧めては如何でしょうか。知事室長に質問します。(京都府は一部のコミュニティ放送局と協定を結んでいます。)
現在、約23万世帯の県民の皆さんが、これらのコミュニティエフエム局の放送を聴くことができる状況です。県内の総世帯数は約40万世帯ですから、約58パーセントの世帯をカバーできることになります。人口でいうと、100万県民に対して55万人の方が聴くことができます。
これら県内のコミュニティエフエム局が連携しネットワーク化を図る、例えば協議会を設立する場合、今度は和歌山県と協議会との間で防災放送協定を締結すれば、県として約55パーセントの県民の方々が可聴できるツールを活用できることになります。ここに情報提供を行うことで災害への対応はより迅速になると思われます。
従来市町村が防災放送協定の相手方としていたのは、県域全体をカバーしている放送局であったと考えております。
しかしながら、昨年の東日本大震災では、発生直後から臨時災害放送局が相次いで開局し、また、県内でも昨年の台風12号による災害に際して、地元エフエム局が、様々な情報を発信するなど、その機動性、重要性が十分認識されたところであります。
そういった背景から現在、所在市町とエフエムラジオ局との間で災害時における放送要請に関する協定締結に向けて、協議が具体的に進められているところもあると聞いてございます。
県といたしましても、大規模災害発生時においては、あらゆる広報手段を使って情報を伝達することが必要不可欠と考えており、コミュニティエフエム自身が防災情報の提供に対して、高い志を持って対応していただけるのであれば、緊急情報の伝達手段として位置づけ、あらかじめその方法、手順等を定めた協定を結んでおくことは、有効な手法と考えてございます。
和歌山県と仮称、コミュニティエフエム協議会との間での防災放送協定については、どう考えますか。非常時に電波という公共財を活用するためにも防災放送協定を交わして欲しいと思いますが、如何でしょうか。知事室長に質問します。
災害時における放送要請協定については、県におきましては、現在、災害対策基本法第57条及び和歌山県地域防災計画に基づきまして、県内全域を放送エリアとするNHK和歌山放送局、株式会社和歌山放送、株式会社テレビ和歌山に民放4社を加えた7社と締結してございます。
先程も申しあげましたが、大規模災害発生時におきましては、あらゆる広報手段を使って情報を伝達することが必要不可欠と考えており、県自身もそうした緊急情報の発信に備えまして、コミュニティエフエム各事業者と放送要請協定に向けて、協議を進めてまいりたいと考えてございます。
そして県下のコミュニティエフエム局のある市町で実現させたいのが、J-ALERTシステムです。これは、全国瞬時警報システム情報を含む緊急情報を和歌山県下のコミュニティ放送を使い即座に住民に伝達出来る手段のことです。
もう少し具体的に記します。J-ALERTは、全国瞬時警報システムなどの緊急放送や市町村単位で発令された地震速報・気象警報・津波情報などを、防災行政無線のラッパから住民に、地域に密着した防災情報を伝達する音声告知放送システムのことです。
戸別受信を兼ねた防災ラジオを持っている家庭では、緊急放送等が発令されれば自動的に防災ラジオの電源が入りますから問題はありませんが、現状は恐らく、大部分の方が防災ラジオを持っていないと思います。
この場合、コミュニティエフエム局が、各市町村が受信したJ-ALERTシステムを放送した場合、同放送番組を聴いている人は、即座に緊急放送が聞けることになります。
一般に市販されているラジオでも、地元コミュニティ放送を受信していれば緊急放送を聞くことが出来るのです。
ところで電波法によると、緊急放送の電波でも、一旦、スタジオで受信させてから送信所に電波を流すことが求められています。通常、放送局と送信所との間は通信線で結ばれているため、電柱が倒壊した時や、通信線が切れた場合は、折角の緊急放送が流せなくなります。
そこで和歌山市にあるコミュニティエフエム局は現在、緊急放送を送信所で直接受信可能なように、国と折衝している段階にあります。実現できれば全国でも珍しい防災対策、災害対応の手段となります。
これは市と防災放送協定締結した後、総務省に送信所設備変更届けを提出し、認可を受けた後になります。安全のための取り組みが、先ず市町村との防災放送協定が締結できていないことから行き詰っているのです。
J-ALERTシステムをコミュニティエフエム局から放送できるしくみは、より多くの方の安全性を高める手段として必要だと思います。南紀白浜コミュニティ放送以外でしくみが確立できていないことが問題だと思います。
コミュニティエフエム局がJ-ALERTシステム放送をすることに関して、どうお考えですか。県として支援できることはありませんか。危機管理監に質問いたします。
市町村からコミュニティFMにJアラートを接続し、コミュニティFMでも津波情報、緊急地震速報、弾道ミサイル情報、大規模テロ情報等の緊急情報を放送することは、情報伝達手段を多重化し、ひとりでも多くの県民に情報を伝達するという観点から効果のあることだと認識しています。基本的には市町村と放送事業者との判断によるものですが、接続に際し技術的な相談やJアラートを活用した訓練の相談に応じるなど、県としても随時、協力してまいりたいと考えています。