平成23年6月定例会一般質問 / 質問内容

1.エネルギー問題について

こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。よろしくお願いいたします。

最初はエネルギー問題についてです。

和歌山県を含む関西広域連合は、平成23年7月設立の自然エネルギー協議会に参画する見込みです。現在のところ賛同自治体は33あり、自然エネルギーの導入に向かおうとしています。同協議会の2020年のまでの目標はメガソーラーによるものが20万kW、つまり一箇所辺り2万kWのメガソーラーを10箇所に設置する計画となります。

既に神奈川県や埼玉県、鳥取県や滋賀県では建設計画への協力する意向を示しています。神奈川県は自治体同士の共同というよりも、自治体同士の競い合いが大事だとしており、神奈川県は太陽光と電気自動車をセットにした神奈川モデルを考えているようです。

岡山県は「おかやま新エネルギービジョン」を策定し、2020年までに10件のメガソーラー誘致を目標に掲げています。エネルギーによって新しい産業を作ろうとしている訳です。

もうひとつが、休耕地や耕作放棄地を活用した太陽光で5,000kWの導入を目標としています。農林水産省が判断した、農地として利用に適していない土地、つまり耕作放棄地は1,000平方キロメートルあります。休耕中の畑は膨大で、その面積は毎年増えている状態にあります。平成22年9月に、環境省はクリーンエネルギー政策を検討するために耕作放棄地などでの太陽光発電の可能性を試算しています。これによると耕作放棄地、工業団地、河川などにソーラーパネルを設置すれば、総発電能力は9,400万キロワットに達するとされています。

元々ソフトバンクが太陽光を福島県に設置しようとしたのは、福島第一原子力の4基で損なわれた500万KWを耕作放棄地で行おうとしたからだと思われます。

環境省の試算を逆算して必要な耕作放棄地の面積を算出してみると、失われる500万kWに必要な広さは7,500ヘクタールとなります。福島県の耕作放棄地は22,395ヘクタールですから、福島県の耕作放棄地の3分の1にソーラーパネルを設置すれば良いことになりますが、それだけの休耕地を用意することは現実的ではありません。

そこで自然エネルギー協議会を設立して、全国に広げようとしているような気がします。

ただ、農地法第4条では農地の工業目的の転用制限があり、耕作放棄地に太陽光発電所を設置できません。そこで国が農地法第4条を規制緩和し、耕作放棄地等を活用した太陽光発電施設の設置を緩和する必要がありますが容易ではありません。

質問1

以下、知事に質問いたします。工業用地を利用したものと休耕地を利用したメガソーラーによる自然エネルギーの活用を目指している自然エネルギー協議会への参加の経緯を示したうえで、他府県と比較して自然条件に適している和歌山県としての今後の動きについてお答え下さい。

質問2

続いてソフトバンクのメガソーラー計画について質問します。2万KWのメガソーラー建設に対してソフトバンクが79億円、誘致する自治体が1億円を支出して着手する計画です。多くの自治体が参加の意思を明確にし始めている中において、ソフトバンクの計画に対する和歌山県の考え方を示して下さい。

その中でソフトバンク側の条件、例えば用地の無償提供や固定資産税の減免、1億円の支出が難しいなどの条件があれば示していただき、それがクリアできるか、お答え下さい。

質問3

併せて関西広域連合の事務局のある大阪府に候補地を伝えていますが、それはどの地点なのでしょうか。和歌山市長もコスモパーク加太用地に誘致に意欲を見せていますが、同用地も候補地として考えているのでしょうか。

さてメガソーラー計画に関しては、ソフトバンクだけがパートナーになるのではありません。和歌山県は全国一の再生可能エネルギー先進県を目指せる条件を備えているのですから、単にこれらの事業を誘致するだけでなく、その中で雇用と経済効果を是非とも備えた誘致をすべきです。

滋賀県の嘉田知事は「地域の産業振興や雇用に効果がある。県内市町にも協力を呼びかけたい」と発言しているように、産業振興と雇用に波及するしくみを機能させたいものです。嘉田知事が言う地域の産業振興や雇用に効果のあるしくみとは何なのか全く判りませんが、和歌山県は具体化させてそれを目指すべきです。

和歌山県で考えるものとすれば、沿岸部の未利用埋立地の活用策としてのメガソーラーの建設。高齢化と少子化、過疎化している地域の未利用公共用地の総合的な再開発事業の核としての分散化電源基地の建設。林業と共生を図れる風力発電の建設などだと思います。

やるからには、再生可能エネルギーを核とした日本における少子高齢化、過疎化地域の課題解決を図れるモデルケースとなるような計画を推進して欲しいと思います。

地域の雇用に関して効果があるとする試算があります。松本環境大臣の「東日本大震災復興事業から成長戦略へ」と題する資料ですが、ここでは再生可能エネルギーは地域の雇用が大きいと記されています。

再生可能エネルギーを1,470万kW拡大するという前提がありますが、それによると機器製造と建設、運用とメンテナンスなどで、年間2.2万人の直接雇用があると推計され、また風力発電産業は2万点の部品による組み立て産業であり、関連産業への裾野が広い産業であるとされています。

そして一定の需要があれば地元での組立工場の立地の期待も可能であることも示されています。

またメガソーラーやウインドファームは、近隣の防災拠点や病院での利用も可能ですから、県内各地の防災対策の観点からも再生可能エネルギーは有効であると考えられます。

但し課題もあります。エネルギー問題は国家戦略であり、国民負担や産業活動に与える影響について考えるべきものであり、再生可能エネルギーの導入に際して、質の確保とコストの上昇回避への対応が必要となります。企業が安心して国内投資ができるエネルギーコストの維持が必要で、対応を誤れば経済活動の停滞と産業の空洞化を招くことになりますから、県民的、国民的議論が必要となります。

質問4

これらの議論を踏まえて、巨大リスクに備えた災害に強いエネルギー導入の考えについて、成長分野としての再生可能エネルギー導入の考え方、政府が発表した2020年の早い段階での再生可能エネルギー20パーセント導入に関してなどから、和歌山県の担うべき役割について、知事の考えをお示し下さい。

続いて電気自動車と充電スタンドについての質問です。和歌山県では電気自動車の普及に努めて、充電スタンドを数箇所設置する計画がありますが、観光施策の観点からすると少し計画地点が少ないように思います。これから民間の力も合わせて設備を増やす必要があると思います。

国土交通省が決定した「EV観光タクシーによる地方観光を活性化事業」に和歌山市の観光事業が含まれています。EV観光タクシーを活用した観光振興と、自家用電気自動車車とEV観光タクシーの連携を図り、観光振興につなげようとする取り組みです。

ここで取り上げている観光プランは、和歌山市内コース及び県内主要観光地コースがあります。和歌山市及び近郊を中心としたコースでの問題は少ないと思いますが、和歌山県広域観光コースでは現在の体制では問題が残ります。つまり今回採択されている観光事業においては、和歌山市と白浜温泉、龍神温泉を結ぶコース。和歌山市から白浜温泉、そして世界遺産熊野三山から高野山に抜けるコースなのですが、このルートに充電スタンドが設置されるのかが問題となります。

和歌山県に来られる観光客の約60%が近畿圏からとなっています(和歌山県2009年調査)。和歌山までの距離は、大津市140Km、京都市131km、奈良市100kmとなっており、EV自動車のフル充電時走行可能距離である約180kmを考えると、観光をしながらの紀伊半島の往復は厳しい距離です。

そこで自家用電気自動車所有の環境意識の高い観光客に安心してもらうために、この観光地向け電気自動車導入の決定の機会に、和歌山県では充電施設が充実していることを訴えて欲しいところです。県の充電スタンドで不足するようであれば、民間の充電スタンドとの連携を図るしくみが必要です。

観光事業者や環境意識の高い会社では、充電スタンド設置に関心がありますから、県が充電スタンドを設置する事業と併せて、民間が充電スタンドを設置する際の補助制度の早期適用を検討して欲しいと思います。

質問5

観光立県、そして環境先進県の取り組みをしているわが県ですから、電気自動車の普及と充電スタンドの拡大への取り組みを強化して欲しいと思います。全国で20件の事業採択の中に入っている機会を好機と捉え、県内の観光事業者や民間への充電スタンド設置支援制度を整えて欲しいと思います。

また、県が取り組んでいる民間・公共の充電器をネットワーク化するためのルール作り、つまり、県内各都市間や世界遺産の主要拠点間を充電しながら移動できるよう、南北に長い本県の実状に即した充電ネットワークづくりの現状について、環境生活部長からお答え下さい。

(1)自然エネルギー協議会への参加と今後の動きについて
(2)ソフトバンクのメガソーラー計画に対する和歌山県の考え方について
(3)再生可能エネルギーの候補地、誘致について
(4)再生可能エネルギーに関して和歌山県の担うべき役割について
答弁内容
答弁者:知事

本年5月の26日に、第7回の関西広域連合委員会がありまして、その会議の後、ソフトバンクの孫正義社長が、自然エネルギー協議会の概要と、それからプロジェクトについてご説明になって、関西広域連合として協議会に参加することを決めました。

本県といたしましても、自然エネルギーの普及促進のための協議会の趣旨に賛成し、プロジェクトとしての候補地を提案しておるところであります。

今後、自然エネルギー協議会への参加を表明している関係道府県とソフトバンクとの間で事務レベルの連絡会が開催されまして、今後の方針等について、当然のことながら摺り合わせを行ったうえで、7月ぐらいに「第一回自然エネルギー協議会」が開かれると聞いておりまして、これに参加するということになっております。

孫社長の話によると、プロジェクトという言葉でございましたが、メガソーラー計画、議員ご指摘のとおりでございます。これについては、元々和歌山県としては日照時間も長いし、遊休地も結構あるということで、それから自然エネルギーの話ですから、本県としても積極的に関わっていきたいと考えております。

その前提としては、孫正義社長は、正に5月26日に言っていたんですが、一つは全量買取制の議論ができないといかんと。しかも、高い価格で買ってもらわないと困る。それから接続ですね、電力会社の送電線への接続について、拒絶をされるようなことがあったらどうしようもないから、それは接続をさせてもらわないと困る。三つ目は、農地などにも設置したいので、農地のまま、例えば設置することが許される等々、規制の緩和をしてもらわないと困る。こういうようなことを言っておりまして、こういうことについては協議会の方でみんなで応援していこうということになっております。これについては、今まさに国会でも法案が提出されて、特に買い取りについての強制力をもっと高めるというようなことが提案されております。

私どもはこれに賛成なんですけれども、ただ、一方では、当然ですね、全量を高い価格で買い取ったら、電気料金にいずれはね返ってくるだろうというようなことはまあ、明らかなわけです。しかし、今の自然エネルギーを大事にしようという流れの中では、そういうことも腹に含みつつ、甘受しつつ賛成をしていくのがよろしいんじゃないかと私は思っております。

それからプロジェクトについては、先ほど申し上げましたように、我々として提案をしております。議員からご指摘がありました条件については、先方から非公式で、暫定的に、かつノンコミッタルに言われた話ですので、私がそれを言及するというのは、ちょっとよろしくないと思いますので、言わないでおきます。

しかし、例えば仮定の問題として、用地の無償提供というのが絶対的な条件であるとするならば、それを計算いたしますと、実は80億円に対して自治体は1億円出せばいいという話ですが、数十パーセントぐらいの助成率になってしまう。つまり、用地をただであげるということによってそういうことにもなりますし、それから、民間でもこのメガソーラーのプロジェクトというのは実はあります。そういうものが、そんなんだったらうちはどうしてくれるんだと、こういうことになって、みんないなくなってしまう。あるいは、普通の企業誘致ですら、土地をただでくれなきゃ絶対行ってやらないということになっていきます。そうなると、すべての政策がガタガタになりますので、条件がリーズナブルでないと乗れないということだと思います。

そういう点で、この間、広域連合で話しをした時も私から、他の知事さんは割合無条件でちょっと「おっ」となっているような感じがあったんですけれども、プロジェクトに関しては合理的で乗りやすい条件を提示してくれないと、あるいはそういう形でまとめてくれないと進みませんよというようなことを申し上げて、それはそのとおりだという話を承っております。条件が合いましたら積極的にやっていきたいと、そんなふうに思います。

候補地等々につきまして、今申し上げましたような事情でございますので、それを言及しておられる、具体的な地名を言及しておられる首長さんもいらっしゃるように今お聞きいたしましたが、私の方では今のような状態でございますので、まだそれを申し上げる段階ではないというふうにお答えしておきたいと思います。

これまで申し上げておりましたけれども、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立いたしますと、全量買取方式の固定価格買取制度が始まり、買取価格によりましては、それがメガソーラーをどんどん惹起いたしまして、それが新たな成長分野になる可能性が出てくると考えております。

先ほど申し上げましたように、もちろんこれは電気料金等々の問題との絡みで、いろいろ考えなければならない問題はありますが、基本的には進めるべきだと私ども思っておりますので、協議会等の活動を通じて前向きに対応していきたい、そういうふうに思います。

プロジェクトにつきましても、和歌山県の優位な状況を大いにアピールしながら、リーズナブルな条件であれば、積極的に対応して、これがうまくいきますと、少なくとも設備がどんどんできていきます。そうすると、固定資産税とかそういうのが上がります。雇用については、造っておる時は雇用は多いんですが、できてしまうとちょっと普通の製造業などに比べると雇用者が少ない傾向がありますが、それでもなにがしかのプラスはあることは事実であります。

したがって、こういうことについても積極的に我々としては対応する、そのためのチャンスをうかがう、そういうことでやっていきたいと思っております。

(5)電気自動車、充電スタンドの普及、ネットワークづくりについて
答弁内容
答弁者:環境生活部長

電気自動車と充電スタンドについて、お答えします。議員御指摘のとおり、電気自動車を利用する方々に、県内の観光地を訪問していただこうとすれば、公共が設置する充電器だけでは十分でなく、民間が設置する充電器を組み込んだ充電ネットワーク網を整えることが必要だと考えております。

このため、県では、一般にも開放することを条件に、民間での充電器設置を支援する補助制度を近く創設する予定であり、電気自動車普及という面からも大いに利用を働きかけて参りたいと考えております。

なお、県内の充電ネットワークづくりの現状については、過日、核となる急速充電器の設置希望を市町村に募ったところであり、近く観光ルートなども勘案して6ヶ所程度の設置先を決定し、民間充電器の一般開放ルール作りなども進めながら、年度内の充電ネットワーク構築を目指して参ります。以上でございます。