朝から雨天でしたが、和歌山市の一万人大清掃に参加してきました。午前8時30分からの清掃活動は雨の中、地元自治会役員の皆さんと共に宮街道沿いの道路清掃を行いました。最も多かったのは今年のタバコの吸殻でした。そして空き缶やファーストフードの食べた後の容器なども見当たりました。人してのマナーの問題です。マナーとルールは社会で生活するための最低限守るべきことです。他人に不快な思いをさせないこと、私達は共同社会を生きていますから、その中でのルールは守りたいものです。
誰かがルールを守らなければ、誰かの負担が増えるのです。ゴミを道路に捨てる人がいるから拾う人もいるのです。社会においては双方が存在しているのでプラスマイナスゼロになります。ゴミを拾う人がいなければ道路はゴミで溢れかえります。もしゴミを拾う人がいなければ、行政がコストを負担してゴミを拾うことになりますから、回りまわって私達がコストを負担していることになるのです。タバコの吸殻を道路に捨てる行為は、誰かの時間を縛っている、または市のコスト負担を増やしているなど、誰かに迷惑を掛けているのです。
ただ朝からの清掃活動は気持ちの良いことです。早起きと歩きながらのゴミ拾いは心身をリフレッシュしてくれます。自分の行為によって道路がきれいになると気持ち良くなります。道路がきれいになると心もきれいになるように感じられます。トイレの掃除は心の掃除とイエローハットの鍵山さんが述べているように、汚い場所をきれいにする行為は、自分の心を清めているのです。道路を汚す人よりも清掃する人に幸運が訪れることは間違いありません。
人は行動によって人格を高めて行きます。社会貢献することで人格が磨かれていきます。宮街道という地域の小さな清掃ですが、行動する中において心が清められました。朝から交わす挨拶と言葉によって楽しい一日が始まりました。雨でスタートした一日の空が晴天のように見えました。
ロンドンオリンピックに出場した田中三兄弟。ご存知の通り和歌山県立北高校の卒業生です。ロンドンオリンピックに出場した選手の母校を比較すると、北高校からは5名の選手が出場していて、埼玉栄高校、青森山田高校に次いで全国で三位となっています。北高校は公立高校で和歌山県内の生徒が進学する学校ですから、その観点からするとハイレベルのスポーツ高校だといえます。
その田中三兄弟の父親で、北高校の教師である田中章二先生の講演を聞かせてもらいました。「三人の子どもを育てて、夢を諦あきらめるな」と題した講演会でした。オリンピック選手を育てた父親の教育論とも言える内容で、スポーツ選手を育成する視点から向上する心を学ぶことができました。
ロンドンへの道についての話です。2010年のロッテルダムで開催された世界選手権には長男田中和仁選手と田中理恵選手が出場しました。この時、田中理恵選手が「次は三人で出場する」と宣言したことから父親も本気モードに入りました。
父親は三人でロンドンオリンピック出場という夢がありましたが、口に出すことはできませんでした。しかし理恵さんの言葉で本気になったのです。ただ本気になれたことには理由がありました。兄弟三人が世界レベルに達していたからです。世界ランクに入ったことでオリンピックを目指すことは夢ではなくなったのです。
翌年の2011年の東京で開催された世界選手権には次男の田中佑典選手も出場し、三兄弟は一気にオリンピックを目指せる位置に到達したのです。オリンピックへの切符の戦いは2012年4月7日と8日の全日本選手権と、5月4日と5日のNHK杯の4日間の戦いの結果となりました。4日間の合計得点で代表選手が決定することになります。出場選手は男女とも12名の選手です。実力は伯仲していて誰が代表選手になっても問題はないレベルです。
トップ12に入る選手は、誰がオリンピックに出場しても戦える能力を持っていて、男子は6種目、女子でも4種の演技で争う過酷な戦いです。
父親の田中章二さんは、頭の中に数字が浮かびました。0と1と2と3の数字です。最も強く表れたのが0という数字だったそうです。つまり三人ともオリンピックに出場できないという不安から来る数字です。不安を打ち消すように三人に伝えました。
4日間の戦いだと思うと失敗したら致命的だというマイナス思考になってしまいます。一日でもミスをすると取り返しがつかないと思うと演技にマイナス作用を及ぼします。そこで男子の場合は6種目の演技を4日間行いますから、24種目の演技で争うことになることから、1種目や2種目の演技のミスは問題ないということを伝えたのです。ミスをしても取り戻せるので、ミスを恐れないで思いっ切り演技をすることを三人に伝えたのです。
思いっ切り演技ができれば大丈夫だという自信から、頭の中から0という数字は消え去りました。
4日間の戦いの結果、田中三兄弟はロンドンオリンピック代表選手に選出されたのです。オリンピックで私たちに与えてくれた感動は紹介するまでもありません。和歌山県の代表選手は2012年夏に夢と感動を伝えてくれました。
試合は緊張、不安感、恐怖心、そして失敗への恐れなど平常心が崩れる要素ばかりが心から湧き上がります。これらの感情は競技を邪魔するものばかりですから、心から追い出すことが必要になります。追い出すための方法は思い切ってやることです。思い切りとは、自分を信じて負の要素を切り捨てることなのです。負の要素を切り捨てると、ワクワク、ドキドキしながら本気で楽しむことができます。その精神に変化させられると試合を楽しみながら結果を得ることができるのです。
ロンドンオリンピックでの田中三兄弟の体操は、夢をあきらめないこと、そして不安感や恐怖心に打ち勝った三人の戦いでもあったのです。人間に付き纏う感情と戦い打ち勝って演じた試合に感動するのは当然のことです。感動に影にはドラマが存在していました。
2時間に及ぶ講演会も感動でした。人間として、大人として、親として学ぶことがたくさんありました。大切な話を聞かせてもらったことに感謝しています。