活動報告・レポート
2012年10月29日(月)
政治活動委員会
幹事会

関西議員団会議幹事会に出席、引き続いて会合を行いました。上半期の活動とこれからの活動に関して意見交換を行いました。議員団会議団長の挨拶の中に、正常化の偏見という言葉がありました。これは自分に迫っている危機には気付かないで過小評価をする傾向があるというものです。そのため逃げおくれたり危機管理ができていないことにつながるので、他のところの危機を自分にも関係するかも知れない危機と感じることで防衛すべきものです。

また政治への不信が言われていますが、そろそろ私達は批判や不満を言うのではなくて、政治家を見極める時期に来ていると思います。政党や流行ではなく人物を評価して、誰が信頼できるのかなど自分で判断する観点を持ち批判ではなくて関与していきたいものです。

さて報告の中で、国のエネルギー戦略でエネルギー基本計画が閣議決定できなかった理由について触れてくれました。それは経済界、労働界、そして米国からも提言があったからだそうです。経済力を衰えさせるようなエネルギー基本計画が閣議決定されると、わが国の現在の不安よりも将来の不安を現実化されてしまうからです。現実的な路線での議論と決定をして欲しいものです。

政治活動委員会
政治活動委員会

電力事業制度の課題と今後の対応について、富士常葉大学総合経営学部の山本隆三教授から話を聞かせてもらいました。

まず経済学の基本として、所得が下がると消費が下がります。消費が下がると供給過剰となり設備の稼働が低下しますから、経済は下降線を描きます。所得と消費は直接結びついていて、消費は供給に影響を与えます。給与が高過ぎることを批判する評論家やマスコミがありますが、彼らは日本経済を沈めていく役割を担っているようです。日本を発展させたいと思っているのか、沈めたいと思っているのか分からない論調があります。所得を得ることは怪しからんという議論によって世論を煽ることは、消費を縮小させ日本を没落させる方向に向かうものです。所得を増やす、消費を増やす、そして製品が売れる循環を目指すべきですが、どうもわが国の識者はデフレが好きなのか、全体的な所得を減少さけたがる傾向があるようです。

さてわが国は先進国ではあり得ないような電力不足に陥っています。製造業の基本となる電力が得られないとなれば、企業は投資の判断をすることはありません。ここに工場を立地しても毎年夏と冬に電力不足の問題が惹起して、対応に迫られるようであれば投資はしません。関西だけではなくて日本中がそうなれば、製造業は国外に移転することになります。事実ベトナムでは、工業団地の停電はありません。国が工業団地の電力確保を優先するように指示しているため、町が停電したとしても工業団地は停電しないようなしくみになっています。電力の安定が世界中から投資を呼び込んでいる理由の一つです。

アジアは豊かになっています。アジアで一番豊かだと思っていた日本ですが、シンガポールや香港の方が豊かな国になっているとも言われています。東南アジアの国々が経済力を高めていくことで今以上に国際競争力を持ち始めると、相対的に日本の地位は低下します。それでも良いといえるのでしょうか。

お金がなくても幸せになれるという議論もありますが、お金がなければ不幸は約三倍に感じられるそうです。落ち込んだ時、そこに加えてお金がなければ気持ちの中での不幸は増大します。それに人も経済も成長しなければ不幸になるのです。能力が向上していない、そして社会が停滞している状況を幸せだと思って楽しめる人は間違いなく少数派です。それが大多数だと思ってしまわないように、やはり能力を高め自らが成長することで社会を発展させる役割を担いたいものです。

わが国は製造業によって外貨を獲得しています。それがGDPを生み国力を保っているのです。日本の輸出品目は2009年の実績では54兆円となっています。その内、月の5業種が3/4を占めていることに注目です。輸送用機器が12兆円、電気機器が11兆円、一般機械が10兆円、化学製品が6兆円、そして鉄鋼が3兆円です。これらの製造業が日本経済、もっと言うと日本を支えています。この大切な製造業をわが国の安定した電力が支えています。電力不足は製造業の国際競争力を無くし、主力工場を将来外国へ移転させることにもつながります。わが国の3/4もの輸出を担っているこれらの産業が空洞化すれば、わが国は衰退することは明らかです。

産業構造を転換させることで日本経済は再生できると提言している人もいますが、そんなことは不可能です。製造業からサービス業へ転換しても全くGDPは伸びません。経済力を低下させ国力を削ぎ落とすことになります。

製造業から非製造業に産業構造を転換させることを目指せば、医療、介護、宿泊、外食サービス業などへの転換が考えられます。しかし製造業と比較すると一人当たりの付加価値額は少ないので、確実に付加価値創造額は下落することになります。サービス業は対人サービスなので一人当たりの生み出す価値には限界があります。どれだけ優秀な接客できる人がいても、1時間に一人で100人の人にサービスを提供することはできないことから明らかです。

産業構造転換のもうひとつの意味は所得が低下することです。業種別の平均所得を見ることにします。金融保険業の年間所得は約600万円弱。製造業は約450万円、医療福祉は400万円弱となっています。サービス業は300万円弱ですから、製造業からサービス業などに産業構造を転換することは、即ち年間所得を低下させることになりますから、現在の日本の経済力を保つことはできません。

産業構造を転換させることは簡単なことではないのです。またお金よりも大切なことがあると言いますが、お金は人生を幸せに過ごすために大事なツールなのです。そして所得を減少させること、電力供給に不安がある社会は経済力を削ぎ落とすことになります。この方向に進むことが、わが国が成長するために必要なものだと考えられません。

最後にデータを示します。原子力発電所を火力発電所で代替する場合のコストを記します。2010年度の原子力発電による発電量2,80億kWhを火力発電で代替した場合のコストを、2012年6月現在の輸入価格で表した負担増額は以下の通りです。

LNG火力だと2兆6,400億円。石油火力の場合は3兆9,800億円、石炭火力では9,500億円となります。これだけのお金がわが国から生産国に流れることになります。毎年これだけの負担があると、毎年、貿易収支が悪化することになります。

持続的な経済成長はわが国発展のために必要です。経済成長がなければ国は破綻に近づき私達の生活は切り下げられます。その結果、今以上に失業者と貧困層が増加することになります。外貨を獲得している製造業を維持発展させ、そして所得を得て豊かな生活を保つための基本はエネルギーの安定供給なのです。

エネルギー価格、国際競争力、雇用の確保を目指した現実的な国のあり方を考えるべきなのです。