和歌山県伊都郡かつらぎ町にある丹生都比売神社と、地元の食事を楽しみながらオペラ鑑賞ツアーに行ってきました。結論から言うと和歌山県の素晴らしさを再認識できる素敵なツアーでした。一緒に参加した皆さんからも「和歌山県の知らないところを見ることができて楽しかった」という意見があり、参加して良かったと思える企画でした。
最初の訪問地は世界文化遺産の丹生都比売神社です。ここで丹生晃市宮司からいのりとみのりについての話を伺いました。これまでも何とか宮司の話を聞いたことがありますが、聞く度に新しい発見があります。
ますおさらいですが、紀伊山地の霊場と参詣道が世界文化遺産に登録されたのは平成16年のことです。その理由は宮司さんによると次のようなものでした。「日本古来の信仰である神道とインドから東アジアに伝わった仏教が日本のこの地で融合し、現在までの1200年にわたってこの関係が続き、それらの文化的背景が残っていること」なのです。そしてこの関係は世界に類がないことから、この地域全体が世界文化遺産に登録されたのです。
この地域に神が宿ったとされているのは今から1700年前のことです。応神天皇により社殿と紀伊山地北部一帯が神領として寄進されたと伝えられています。わが国は、古来は神道の国ですから、都に近いこの紀伊山地が祈りの拠点となっていたようです。神道は自然信仰でもあり、都人が祈りを捧げたのは、都から南部を見たところにあるかつらぎ山脈を向いた方向だったのです。ですから二上山から和歌山市加太までの山脈が、自然信仰の地とされていたのです。したがって祈りの中心は紀伊半島にある現在の和歌山県だったのです。
万葉集には紀伊山地の歌がたくさん出てきます。対して富士山の歌は少ないのです。この時代は大和が都であり、都に隣接していた紀伊山地が振興の中心であったことは歴史の中の真実です。
古来より祈りの代表者は天皇です。天皇は祈りによって神様の力をいただき、私たち国民を守ってくれているのです。祈りと実りは神様と一体となるためにあります。神様に祈りを捧げ、その土地で取れた食材を神様に捧げます。神様に実りを捧げ、そして人間が食をすることに意味があります。神様と同じものをいただくことによって神様の力をもらえるのです。自然の恵みとして実ったものを神様に捧げ、人間が祈ったものをいただくことが神様の力をいただくことなのです。
自然と人間は実は対立関係にあります。対立関係にあるから共存関係にしなければ、人は自然界の中で生きていけないのです。ですから実りとはその土地で採れたものが必然です。神様に捧げるべきものはその土地で採取できたものが当然なのです。
地産地消の考え方は、古来よりある人間と神様が共存関係になるために必要なものだったのです。
そして祈りとは、自然と先祖を大切にする日本人としての型なのです。大災害に襲われた時、人は神様に祈りを捧げます。それは私たち現代人も日本人としての型を持っているからです。人や神様を信じられるから大災害に際しても大きな略奪や暴行は発生しないのです。これが世界の中で、日本人が尊敬されている最大の理由の一つです。
宇宙の中で人のために尽くせるとした、それはもう神様、仏様の領域に達していると言えます。日本人は最も神様、仏様に近い存在といえそうです。
日本の中の紀伊山地は古来より信仰の中心であり、世界文化遺産となった今もやはり信仰の中心なのです。かつらぎ町にある丹生都比売神社は紀伊半島北部の信仰の中心であり、今のその存在は輝いています。紀伊半島南部の熊野三山と併せて世界文化遺産に登録された意味はここにあります。
祈りと実りの旅は歴史と文化を堪能できる旅となりました。
続いてかつらぎ町新城の古民家を改装したレストラン「フラワーガーデンアラキ」に向かいました。1年半の歳月を掛けて改装したレストランはお客さんでいっぱいでした。食事と共にオペラコンサートを開いてくれました。出演はテノールの牧野昌弘さんとピアノの吉村朋子さんです。コスモスが咲き誇る空間で、素晴らしい癒しの音楽を届けてくれました。魂に響くようなその声は、気持ちの中に深く沈んでいくようで、実に充実した時間となりました。深いと感じられる時間を持つ機会は日常生活の中では余り経験できないものです。
恐らく緑の中、花に囲まれたエネルギーの満ちた場所であり、この風景に合致したオペラが成し得た業だと思います。深く染み入る歌は魂を清らかに浄化してくれるようでした。
このツアーは世界文化遺産と魂の旅になりました。心身ともに浄化できる機会となったことを心から嬉しく感じています。
そして月曜日恒例のイケてる腹プロジェクトに参加しました。午後6時から午後9時までの3時間のエクササイズを楽しみました。涼しくなってきた季節ですが、汗が滲み出るエクササイズでした。鍛えられていることで身体が喜んでいることを感じます。今週も良いスタートが切れました。