和歌山県内の再生可能エネルギーに適している用地の視察に行きました。東京と大阪からメーカーと事業者など10人が来てくれて、適地となる条件などを確認しながら現地を歩きました。残暑が厳しい中でしたが現状を知ることができました。
9月に入って事業者の動きが活発化しています。理由は簡単で太陽発電の買い取り価格1kWh当り42円の単価は平成24年度に事業化したものが対象となるからです。平成25年度の買い取り価格は現時点では分かりませんが、42円よりも下がると見込まれているので、事業化を図るのであれば本年度に実現したいというものです。
太陽光発電の事業化の判断は9月に下す事業者が多いのはそのためです。多くの事業者の皆さんと話し合うと、平成25年に入ると事業化の動きは減少すると感じます。ですから系統連携の時間と工事期間を勘案すると、ギリギリの時期に入っています。
和歌山市に来て最初に訪れたのがコスモパーク加太です。この塩漬け用地は太陽光発電の適地であると多くの事業者が評価してくれているのですが、所有者にその気持ちはないのです。東京、大阪から来た事業者は「もったいない」と話しているように、太陽光発電の適地ですが、首都圏などからの企業の進出は期待できない用地であることも話してくれました。インフラの整備が行われていないこと、工業用水がないこと、国内での大規模工場の建設は難しい経済状況にあることなどから、コスモパーク加太への工場進出は劇的な環境変化がない限り難しいと思います。
ただ太陽光発電に関しては、平成24年度の事業化が図れなければ次の機会に実現させることは困難です。正確に言えば、困難ではないけれども賃貸借単価が安くなるということです。買い取り単価が低下すれば賃借料金も安くなるのは当然のことです。太陽光発電事業化の意思があるなら平成24年度以外に考えられません。
複数箇所の終えたところで視察に訪れてくれた皆さんは、大阪、東京へと帰りました。和歌山県内での事業化の可能性に触れてくれたことに感謝しています。
ガソリン事業者の経営者と懇談しました。ガソリンスタンドの経営は厳しい環境にあります。ハイブリッド車や電気自動車の増加でガソリン需要が減少しているためです。売り上げは年々減少している中ですが、それ以外に経営の課題があることを知りました。
それは石油会社との取引についてのことです。ガソリンスタンドは石油会社からガソリンを購入して消費者に提供しています。石油会社からガソリンを仕入れるためには、仕入れする価格と同等の資金か担保物権が必要になるということです。仮に一ヶ月に2,000万円分のガソリンを仕入れるためには2,000万円分の資金があるか会社の建物やガソリンスタンドそのものを担保にする必要があります。また支払い条件が仕入れ後翌月末払いであれば当該月と翌月の二ヶ月分の資金や担保力が必要となります。月に2,000万円だとすれば二ヶ月で4000万円が必要となるのです。
つまり資金力に応じた分だけガソリンを仕入れることができるのです。ガソリンスタンドの規模が大きくなるほど資金力が必要になりますから、経営は厳しくなっていきます。
例えば運送会社との取引があり、月間1,000万円の取引をしているとします。支払条件は翌月末払いだとします。二ヶ月で2,000万円の売掛金が発生します。もしもその運送会社が倒産すれば、ガソリンスタンドは売掛金の回収は困難になります。2,000万円の売掛金が回収できなければ石油会社への支払いも厳しくなります。そうなれば石油の仕入れができなく成りますから連鎖倒産という事態に陥るのです。売掛金が大きくなればなるほどリスクが高まるのです。
小売事業者は厳しい経営環境に立たされています。その昔、石油1バーレル当り10ドル以下で取引されていた時代が長く続いていました。石油価格は安定している商品だったことからガソリンスタンドの経営も安定していました。ところがイランでパーレビ国王が追放されてホメイニが国王になりました。独立派のホメイニが国王になったことから石油の価格は石油メジャーではなく産油国が決定することになったのです。石油ショックの時には1バーレルの石油が30ドル以上に値上がりしたのです。今は1バーレル70ドル程度ですから30ドルと聞くと安いように思いますが、当時は30ドルでも高値で、その価格が天上であると信じていたようです。その価格も突き抜けて石油価格は上昇を続けました。
それに伴いガソリンスタンドの経営は厳しくなっていきました。ガソリン価格が何倍にもなるということは石油会社からの仕入れ価格が何倍にも上昇していくことになります。つまり仕入れるための資金力と担保力が跳ね上がり、それに対応できなくなっていったのです。
あの時代、石油はあったのですが、ガソリンスタンドの資金力の問題からガソリンスタンドからガソリンが消えていったのです。過去の現在も石油の仕入れのしくみは変わっていないのでスタンドの経営は厳しいことを知りました。
エネルギーは経済の、そして国力を維持するための血液のようなものです。エネルギー事業者はエネルギーを安定供給するために尽くしてくれているのですが、元売り社の力が強いので価格を安定させることは容易ではありません。エネルギーを確保するためにエネルギー事業者は懸命の取り組みをしていることを知って欲しいと思います 世の中のしくみは○か×かで、決められるほど簡単ではないのです。