活動報告・レポート
2012年8月30日(木)
茨城県からの視察
茨城県からの視察
茨城県からの視察

茨城県から地震・津波対策議員連盟の視察のため和歌山県を訪れてくれました。茨城県は東日本大震災で被災していることから防災対策には力を注いでいます。そんな茨城県が和歌山県の防災対策の調査をするため和歌山県議会を訪問してくれました。

茨城県議会の議員連盟の皆さんに対して和歌山県の防災対策の説明を行い、意見交換をする会議を持てたことは有意義な時間でした。

茨城県は、北は福島県に隣接し、南は千葉県に隣接している地形で190kmの海岸線を有しています。東日本大震災の時には海岸部に津波が押し寄せる被害がありました。今も復旧中だと聞きました。

さて和歌山県の地震と津波対策について主なものに絞って説明しました。

三連動地震が発生した場合に備えて避難場所が適切かどうかの点検と見直しを行っています。和歌山県の対策の特徴は、緊急避難レベルを三段階に仕分けしたことにあります。レベル3は浸水の危険性がない地域に、より標高が高くより離れた安全な場所を指定していることです。緊急避難先レベル2については、浸水予測近接地域に、緊急避難先レベル3へ避難する余裕がない場合の緊急避難先として指定しています。そして緊急避難先レベル1については、時間的に緊急避難先レベル2または3に避難する余裕がない場合に対応するために指定しています。

従来の避難先の考え方は小学校など地域にある公共施設を避難場所として指定しているもので、どんな場合でもそこが避難先だと思っていました。地震の場合は状況によっては対応可能かもしれませんが、津波の場合は時間的に余裕がある場合は、より高い場所へ避難することが大事なことです。避難先として指定されていなかった場所でも避難可能なところは今回、緊急避難先として指定しました。そうすることによって津波から逃げる意識と対応をしているところです。

また避難カードを配布して活用してもらっていることも対策のひとつです。避難カードに避難先を記入することによって家族で避難先を確認し、万が一の場合はそこに逃げ込むことを家族で約束するために活用しています。避難に際して、家族全員が一緒に逃げることはできないので、家族として待ち合わせ場所を予め設定しておきます。津波発生時は、家族を迎えに行きたいところですが、とにかく逃げることを優先し、避難先で会えるように意識付けをしています。日頃から家族の中で子どもに対して、「私たちは必ず逃げるから、あなたたちも必ず逃げておくれ」という約束をするように話し合いをして欲しいと県民の皆さんに依頼しています。

そして津波避難三原則を避難カードに掲載しています。1、想定にとらわれないこと。2.最善を尽くすこと。3.率先避難者になることです。

このような対策を中心にして和歌山県の防災対策の説明を終えました。それ以降質疑を行い、議員間で意見交換を図りました。

私からの意見です。紀伊半島は600km海岸線があることから津波被害の想定に対応するための取り組みを行っています。しかしハード面で災害を全て防ぐことは困難ですから、如何にして逃げてもらうかが大事なことだと捉えています。尤も三連動地震の発生源から離れている地域では津波が到来するまでに逃げる時間的余裕がありますから緊急避難先レベル3への避難は可能かと思います。

しかし串本町などの紀伊半島南の地域では地震発生から4分程度で10メートルの津波が到来すると予想されていますから、現実問題として逃げることすら困難です。この地域への対策を考えることが大事なことです。防災対策の中では紀伊半島北部と南部の地域分けをしていませんが、同じ対策で避難できるものではありません。今後の課題として考えています。

串本町では消防署や警察署など行政施設を高台へ移転するなどの対応を始めているところです。津波発生時に行政機関の機能が稼動しない状況は避けなければならないからです。

行政機関は無事な場所から避難の指揮をしてもらう必要があり、現実的に逃げ切れない場合はこのように高台移転も考えなければならないと思います。

また昨日まで紀伊半島南部の平成23年9月に発生した台風12号による大雨被害の復旧状況の調査に行っていました。昨日和歌山市に戻りましたが、河川を初めとするインフラの復旧までには3年から5年はかかると思っています。この機会に災害に強いまちづくりを志向するなどして、三連動地震に備えたいと考えています。

議会としてはこの台風12号被害に遭った地域の議員を東南海・南海地震等対策特別委員会の委員として指名を行い、現在17名の議員で特別委員会を構成しています。被災地の議員と客観的に見ることの出来る地域の議員のそれぞれの立場から議論を行い当局と連携を図っているところです。

今日の機会を大切にして、今後は茨城県と和歌山県とも連携を図り、地域に関係なく同じ問題への対応ですから協力、支援を行いたいと思います。本日の和歌山県への視察を心から歓迎申し上げます。

以上のような意見交換を行い、茨城県議会連盟の視察対応を終えました。とても有意義な意見交換でした。

その他
  • 和歌山市に市街化調整地域が多すぎるので企業進出が図れないことや、和歌山市がこの地域への企業進出を認めないので進出希望があっても達成できないことに対する意見を頂戴しました。市街化が広がっている中、何のために市街化調整地域をそのままの状態にしているのか分からないという意見です。
    都市計画の見直しを含めて和歌山市のまちづくりを考え直して欲しいという依頼がありました。農業で行くのか企業立地に力を入れるのか、中途半端な状態を解消して欲しいというものです。
  • 企業の健康増進に関して某企業と話し合いました。企業内でメタボ解消のための運動を取り入れたいと考えているようですが、実践するには意識付けの他に動機付けが必要です。自分で運動する習慣になるような動機付けから入ることを検討してもらいます。
  • 再生可能エネルギー導入に関しての話し合いも行いました。新エネルギーの導入を考えている企業にとっては、来月、9月が判断の山場となります。この機会を逃すと導入の時期を逃してしまいます。ただ賃貸借の場合の単価が上昇しているという事実もあり、導入計画が困難になっている地域もあります。塩漬け土地の価値が上昇しているので、単価が折り合わずに検討を残念するケースも発生してきそうです。