宮地区連合自治会主催の自主防災訓練が開催されました。宮地区連合自治会としては初めての試みです。午前8時に訓練を知らせる警報が入り、参加者は自宅を出発して避難場所である宮小学校に避難しました。宮小学校の体育館は訓練に参加した人でいっぱいになりました。
防災意識の高さと、不安を少しでも解消するための行動を起こしていることは素晴らしいことです。訓練としては避難訓練、救助訓練、AEDの使用方法の講習、そし炊き出し訓練を行いました。初めての試みでしたが参加意識が高く、計画通りに訓練は進行できました。参加することの意義は、防災に関する意識付けとなること。一度体験しておくと咄嗟の場合の初期行動が違ってくることが挙げられます。過去の大災害の調査結果だと思いますが、防災訓練に参加して経験のある人の生存率は、参加した経験の無い人達よりも高かったという結果を聞いたことがあります。
これは意識の高さが初期行動の早さと、情報収集力と迅速な行動へとつながっているものだと思います。中には、防災訓練は形式的だとか実践で役立たないという意見はあります。だったらどんな防災訓練にすれば効果的なのか示して欲しいと思います。防災訓練の意義は、まず実施することそのものにあります。経験することが未経験でいるよりも大事なことなのです。
一人で防災訓練はできませんから、地域全体で行う機会に参加して防災意識を潜在意識の中に組み入れておきたいものです。
炊き出した非常食とお味噌汁をいただきました。訓練の最終段階で食べさせてもらったのですが、美味しく避難所で十分に食生活を守れるものです。本日、参加した人は防災訓練を経験しました。見えない強みを得たことになります。人は見えないものは認めたがりませんが、生き延びるためには自分の中に経験と強さを潜ませておくと良いのです。そして経験した人は参加できなかった皆さんに経験の話をすること、次回は参加することを呼び掛けるなどのことをしたいものです。
地域の安全と安心は自分から発信するものだからです。批判からは何も生まれませんし、悪口を言って幸せになることはありません。先ず自ら実践することでこれから先を切り開くことができます。
和歌山市内で製造工場を持つ会社があります。ここで静かに問題が起きています。会社ができてから数十年が経過しているため設備が老朽化していることと、職人が高齢化していることです。設備か古くなっているのですが新しい設備を導入しようとした場合、多額の投資が必要となります。果たして将来の期待に向けて投資する価値があるかどうか判断が苦しいところです。
将来の確保できる仕事量の期待値が低ければこの時期に投資することは不可能です。仮に期待値が高ければ投資をするかどうかの判断材料は、職人を確保できるかどうかです。高齢化している職人ですが、直ちに取って代われる人材はいません。技術を有する職人がいたとしても他の会社で勤めているか、定年退職した人になります。
また他の会社で相当の技術を有していたとしても、その会社の技術に対応できるかどうかは分かりません。まして若い職人を育成する余地は少ないのです。教育予算はありませんし、新卒の学生を育成する時間的余裕も指導できる人数もいないからです。
会社の存続に関して非常に厳しい状況に置かれています。ただ意見交換をしていると、この会社特有の問題ではなくて、和歌山県内の製造業にも関連する課題であるように思いました。職人固有の技術や経験、そして勘といったものが製造工程には不可欠です。これらのスキルを短期間で身に付けることは困難です。経験や勘に基づく技術はマニュアル化できないものなのです。
職人が高齢化していて将来への期待値が低いと言わざるを得ないのです。そして経営者も同じように年をとっています。後継者がいないことから会社を存続させるだけの力が残っていないのです。
現在、大手企業から優秀な人に来てもらって対外活動をしてもらっているところですが、厳しさが伝わってきました。現在は受注を受けた製品に関しては、高品質なものを送り出すことができていますが、将来に向けた人材育成が大きな課題として残されたままです。
新規の設備投資をするためには人材確保が先決です。しかも即戦力の人材ですから中々見つからないのです。
職人の凄さを感じる話をひとつ聞かせてもらいました。この職人はある製品の特定の部品を作っているのですが、品質は経験と勘で保っています。決してデータ化できない技能なのです。その日の天候や気温、そして湿度などによって部品の材質を微妙に変更したり、最終段階で部品の締め方を変えたりしているのです。もはや人間業を越えている技術なのです。
しかしこれは定型化できないスキルなので、後継者になるためにはこの職人について経験と勘を磨く以外にないのです。資質と長い時間を要することになります。和歌山市内のこの中小企業には、育成面でも時間面でもそれだけの余裕はありません。
現時点で受注を受けて会社を存続させることと将来に向けた投資と育成を両立させることは難しいテーマなのです。もし社長に若い後継者がいれば将来に向けて投資は決断できますが、それがなければ経営判断は厳しくなります。そうして黒字であっても会社を畳んだり売却したりするのです。
和歌山県内の古くからの会社は存続期間が長くなっています。同じような課題に直面していると思うことがありますが、これからも世代交代や外部から優れた経営者を迎えて存続できることを願っています。