活動報告・レポート
2012年8月21日(火)
再生可能エネルギー研修会
再生可能エネルギー研修会
再生可能エネルギー研修会

主に和歌山市内の人が集まり、再生可能エネルギーに関する検討会が開催されました。私もお招きをいただき和歌山県の支援制度について説明をいたしました。

和歌山県では再生可能エネルギーを支援する施策があります。新エネルギー・省エネルギー施設等を導入する中小企業を資金面で支援と題して、「成長サポート資金(エネルギー政策推進枠)」を設立しています。これは再生可能エネルギーを導入する意思のある事業者の皆さんに対して金融面で支援する方策です。取扱期間は平成24年7月2日から平成25年3月31日までの期間です。平成24年6月県議会定例会で決定したもので、和歌山県が再生可能エネルギーを支援する体制を整えているものです。

融資限度額は設備資金の場合1億円以内、運転資金は5,000万円以内となっています。融資期間は設備資金の場合は10年以内、運転資金は7年以内です。融資利率は1.2パーセントですから優遇金利です。そこに信用保証料が年0.45パーセントから1.30パーセントまでの率が加算されます。

和歌山県は低利、固定、長期の資金供給をすると共に信用保証料の一部を補助することで事業者の資金面での負担を軽減させています。

貸付対象となる事業は、太陽光発電、太陽熱発電、バイオマス発電、風力発電、波力発電、そして地熱発電などの新エネルギー事業。クリーンエネルギー利用施設として電気自動車用充電施設の設置費用も対象です。またクリーンエネルギー自動車として電気自動車やハイブリッド車などの購入費用も対象となっています。規制要件はありませんが融資制度としては活用が図りやすい制度設計に仕上げています。この制度に関る和歌山県の予算も十分にありますから安心して活用できる体制となっています。

但し銀行融資ですから、借り受けるに際しては銀行の審査は必要ですし、過去三年分の決算書の提出や事業内容の審査があります。そのため全ての事業者が借り受けられるかどうかは銀行の審査次第です。銀行の審査に際しては他の貸付業務と同じく会社の決算内容や事業内容が審査の対象となります。

私からは以上の内容を中心とした和歌山県としての金融面での支援制度についてと再生エネルギーの固定買取制度についての説明を行いました。

引き続いて再生可能エネルギーの事業者とメーカーからの説明がありました。内容は企業秘密もあるため割愛しますが、事業者の動向や税制面での優遇措置も分かり、とても有意義な研修会となりました。

ところで太陽光発電事業に関してはパネルの販売や事業化に関しては国内間の競争ではなくて国際間の競争が展開されている状況です。再生可能エネルギーの固定買取制度が導入されたばかりですが、もう国際間競争になっています。国内メーカーが苦戦しているのは価格面での競争になると優位を保てないからです。

今日説明に来てくれた国内メーカーは太陽光パネルを製造するに際して、最初から中国や韓国のメーカーをライバルとして考えています。国内メーカーは競争相手と考えていなかったのです。

新エネルギーの分野は、早晩、国内だけの競争ではなくなり外国メーカーとの競争に曝されると経営陣は読んでいたのです。そのため販売価格は、中国や韓国メーカーと販売競争可能な価格帯を目指して研究開発をしてきました。しかも性能でも優位を保つような製品を開発しています。

もうひとつの特徴は、親会社がエネルギー産業であることが挙げられます。エネルギーの分野で戦ってきた会社ですから、ソーラー事業はエネルギー分野だという考え方で研究しています。石油などに取って代わるエネルギーが太陽光であるという認識に立っているので、単にパネルを開発すれば良いと考えていないのです。電機メーカーがソーラーパネルを開発するコンセプトは電気製品の延長線上にありますから、その違いは大きいのです。

エネルギー産業として参入するか電気製品の競争として参入するかで、ソーラーパネルの質や発電設計、導入を目指す規模が違ってきます。品質で価格面でも国内では優位に立つことができているのは考え方が根本的に違っているからです。

国内メーカーのパネルの保証期間は相当短いと思います。しかしこのメーカーは20年保証をしています。設置から10年目までは発電効率が93パーセントを下回るとパネルを取り替えてくれます。10年を超え20年目までは発電効率が87パーセントを下回った場合、パネル取替えを保証してくれます。

20年の長期保証が可能にしているのは、契約行為に関して厳しいヨーロッパやアメリカの市場で鍛えられた経験があるからです。規模の大きなエネルギー業界として欧米市場を舞台にした取引を行っている経験から、保証でき得る製品の製造と保証のノウハウを蓄積しているのです。そのノウハウを日本に持ち込んでいることで20年の長期保証を可能にしています。

このメーカーの社長は「ソーラー事業において日本で生き残るのは我々である」としています。最後に残るメーカーは自分たちの会社であると自信を持っています。それは石油産業は先細り産業であり、ソーラー事業を大きな柱にしないことには会社が生き残れないことを知っているので不退転の覚悟を持っているからです。対して電機メーカーは、ソーラー事業はあくまでも事業の一つとして考えているので、最初からトップの覚悟が違うのです。

もうひとつ知り得たことがあります。データに基づくシミュレーション結果についてです。このメーカーが示している発電量のシミュレーションは、実際よりも低い値にしています。シミュレーションと採用した事業者の実績値を比較すると、全てにおいて実績値がシミュレーション値を上回っているのです。これは驚異的なことです。カタログや提案内容のデータ値が上振れしているのです。

対して日本メーカーのデータ値を基にしたシミュレーションの場合は、実績値と比較すると下振れするケースが多いのです。下振れとは実績値がデータで示された数字よりも低くなるケースを言います。下振れの数字を示すのは日本だけではなくて中国や韓国メーカーも同様だそうです。

これは文化の違いに起因しています。欧米の市場では実績値がデータ値の数字に到達しない場合、お客さんから訴訟される場合が多いからです。メーカーは訴訟を防止するために、データに基づくシミュレーションを低く設定する傾向にあります。対して社会が一般的に訴訟に至らない場合の国では、データに基づくシミュレーションは製品の性能が最大に引き出された場合の数字を使用しています。性能が最大値を示す場合は殆どありませんから、実績値が低くなるのは当然の帰結です。

このメーカーは欧米での経験を基に訴訟リスクを軽減するために、データ値を低く抑えてお客さん示しています。

文化の違いやメーカーの考え方を基にして何を採用すべきか、採用する側の人も考えなければならないのです。とても勉強になる研修会でした。

その他
  • フラメンコの秋のイベントに関して情報提供を行いました。文化の秋に相応しいフラメンコイベントを開催する予定です。和歌山市で本格的なフラメンコを鑑賞できる機会を見逃さないで下さい。
  • 和歌の浦で開催予定の万葉薪能について協議と協力依頼を行いました。文化に理解のある皆さんに支えられて毎年公演できていることを感じます。
  • 政局が動いているけれど和歌山市での動きはないことを危惧している方と懇談しました。何もしないことは地域としては後退であり、日本を変えようとしている時に、和歌山市が傍観者であることはやってはいけないことだという意見です。
    和歌山市は変化に対応できない文化があることが問題なので、思いのある人たちで研修会を行いたいと提案をいだきました。提案に基づいて早速行動を起こし、来月、9月から開催することで決定しました。