午前中は県下の状況確認と諸課題について打ち合わせを実施。ひとつは再生可能エネルギーに関してのことです。和歌山県内は再生可能エネルギーの適地ですが、ゼロでないにしても計画が進展していない状況にあります。進出希望事業者は多いのですが具体化できていないのです。
県外から来てくれた方からは「和歌山は消極的ですね」という意見を頂戴しました。「他の府県では行政が積極的なのでもっと進んでいますよ」という話もありました。週間東洋経済の平成24年7月1日号では和歌山県に関する次のような記事掲載があります。
「和歌山県は日照時間が長く、県内には6.5ヘクタールに及ぶ工業団地コスモパーク加太や20ヘクタールの旧南紀白浜空港の跡地など、太陽光発電に適した空き地が多数ある。買い取り価格が決まった4月以降を中心に、県の企業誘致を担当する課には80件以上の問い合わせが殺到。うち半数の企業は土地の見学にも訪れた。しかし、県側は、太陽光発電所はパネルを置くだけで雇用を生まない。工場や商業施設誘致で街を活性化させたいと消極的。コスモパーク加太の一部の土地では4月に発電用の貸し出しを始めたが、広大な土地のほとんどは空き地のままだ」。という記事です。
太陽光発電は雇用を生まないとされていますが、初期投資と税収、そして少ないけれども雇用があります。空き地のままではそれらがゼロのままです。しかも空き地は収益を生みませんし、土地造成費用の元金の返済が残っていますから、地方自治体では毎年多くの利息を支払っています。支払利息は税金からですから市民、県民の皆さんから預かっているお金が土地造成費用の税金として支払われているのです。少なくとも太陽光発電を設置すれば、利息の支払い分以上の土地賃借費用が収入として入ってきます。
20年間の長期賃貸借契約にすれば、20年間は市民、県民の皆さんからの税金を利息に充当しなくても良いことになります。それだけでも大きな節税になります。何もしないでこれから先20年間も空き地のままに放置しておくことが得策なのか、利息返済分だけでも賃料を受け取るのか。どう考えても後者を選択すべきです。
収益を生み出す何かの具体的な計画があれば別ですが、何の計画もないのに太陽光発電は受け入れしないという姿勢は疑問符だらけです。この姿勢については行政の不作為、または何もしないことの批判をすべきであるという指摘がありました。
国の再生可能エネルギーに対する方針が転換されようとしている時期に変化への対応を示さない和歌山に対して、「何もしなければ何も生まれない。消極的な姿勢からは何の変化もない」という意見がありました。
いずれにしても投資家や事業家は、和歌山県にその気がなければ他の府県を投資先として決定し計画を進めるだけですから、彼らにとって問題はありません。ただ和歌山県の消極的な姿勢が評判になり投資対象から外れるだけです。これが市民、県民の皆さんにとって得られるべき利益の損失となっているのです。
続いて食の安全についてです。食の安全の話は一時期と比較して影を潜めていますが、継続して注意を払っておきたい分野です。健康に一番良いのは食の地産地消です。生産者が見えることで安心が見えますし、地元で採れる素材がその地域で暮らす人の身体に最も良いのです。カット野菜や切り身の魚などへの不安感は消えていませんから、生産地の表示と生産者が見える形での商品化を図って欲しいものです。また海のものについても生産地が不明なので、安心できる安全な養殖が食の安全に資することから和歌山県で取り組みを検討して欲しいという依頼がありました。場所と投資が必要な案件なので即座に対応できませんが、食料自給率39パーセントのわが国において、継続して食の安全と供給体制は生命線とも言える重要な施策です。和歌山県は食の供給と安全な産地としての適地だと思います。この特性を活かせるようにしたいと話し合いました。