活動報告・レポート
2012年8月1日(水)
円高
円高

いまでは円高は世界で当たり前の状況になっています。ユーロの不安定化とドルの地位の低下などから日本経済は回復していないにも関わらず円高が続いています。円高によって輸入は恩恵を受けていて、石油や天然ガスなど資源は円高にとって比較的有利な状態になっています。もし円安だとしたら資源価格は高騰することからわが国はエネルギー危機に陥っている可能性もあります。円高がそれを防いでくれているように見えます。

ただわが国の利益を生み出してくれている製造業は円高の影響を受けているため、輸出関連産業にとって厳しい状況にあります。このような事実に基づいて経済専門家と議論を行いました。

何故、日本は不景気、財政状況が破綻寸前だと言われているのに円高になっているのかという問いがあります。

それに対しては、「円が他国の通貨と比較して価値を持っているからです」という答えになります。円という通貨が価値を保っているのです。その理由は日本経済の強さや、これから経済が回復する期待値が高いという理由ではなくて、単に円の価値が高いというものです。通貨の価値を高くするためには通貨発行量を少なくすれば良いのです。円の発行量を減らしている訳ではありませんが、ヨーロッパやアメリカは通貨を発行しすぎているのです。通貨供給量が多ければ通貨の価値は低下します。通貨も物財であると考えると、発行量が多いほどその価値は下がります。反対に発行量が少なければ価値は上がるのです。

経済危機が続くスペインやギリシャなどを初めとするユーロに参加しているヨーロッパの国は、自国の経済力以上の通貨を発行しているため通貨価値を下げています。アメリカも通貨発行量が多いのでドルの価値を下げています。ユーロやドルの発行量が多く円の発行量が少なければ、必然的に円高になります。円高にならない方がおかしいのです。

発行量が少なければ価値が上がりますから、市場は価値のあるものに投資をすることに成り円高になっているのです。その市場規模は世界ですから、円高を円安に誘導するためにはユーロやドル並みに円の発行量を増やす必要があります。

日本銀行による市場介入をしたところで円高を阻止することはできないのです。しかも介入が数兆円規模ですから、ほとんど影響を与えるものではないのです。歴史的に見ると、日銀による市場介入をしても円高に歯止めは掛かっていません。むしろ円高が進行しているのです。円高に歯止めが掛かっていないという事実から、日銀が市場介入した分の円が国外に流出していることになります。つまりわが国の利益が投資家の下に流れ込んだだけという結果が残っているだけです。

製造業を初めとしてわが国に利益をもたらしてくれたその利潤が、消えてなくなっているのです。投資家は円高が続くと中央銀行が市場介入して円安に誘導しようとすることが分かっているので、強気で円を買いにきています。これからも円買いが続きます。円高が進行し市場介入する度に、わが国の利益が吹っ飛んでいくのです。

ですから円高の進行を防止するためには通貨発行量を増やすことが対策なのです。通貨発行量を増やすことは円の価値を下げることになると同時に、市場で流通する通貨が増えることでインフレ化し、デフレ脱却にもつながるのです。ですから通貨発行量を増やすという金融政策が必要だと思われます。

中央銀行は国内経済のインフレ化を恐れますから、それはしたくないと考えるのが一般的です。また中央銀行は物価を安定させることを求められていますから、緩やかな経済成長を狙って通貨発行量も安定させたいと考える筈です。

ですから円高が進行しているにも関わらず、通貨発行量を大きく増やそうとはしていないのです。このままではデフレからの脱却も円高是正もかないません。さらに消費税増税によって国内経済は低迷しようとしています。また小さな規模での市場介入をしようとすればわが国の富を国外に流出させるだけです。

円高、デフレ対策、そして経済回復のためにも通貨発行量について議論をして欲しいところです。

その他
  • 和歌山県における再生可能エネルギーの導入について意見交換を図りました。設置するための条件は適しているのに進展していないのは、地方自治体が積極的ではないからです。
    トップの姿勢がまちのこれから先を左右することになります。何もしないことが政策なのか、少しでも地方自治体が借入金の返済につながるために新エネルギーを導入するのが政策なのか、考えたいところです。
  • 和歌山市内中心部再開発の可能性についても議論を交わしました。時期的には今、再生に向けた動きをしなければ、このままの状態かそれ以下で推移することになる危険性があります。経営者の高齢化、後継者不足などが再生を困難にする原因として考えられるからです。今の世代が再生計画を考え実行することが求められています。