和歌山県だけではなく他県での再生可能エネルギーの動きが伝わってきます。遠いのに多くの皆さんが和歌山県まで来てくれ熱心に話を聞かせてくれるので、動向が良く分かります。遠くは福島県から北海道まで、地域再生に賭ける強い思いが伝わってきます。
福島県や北海道では地域再生と経済効果への期待が強くあることを感じます。ここでは雇用が少ないだとかフリーメンテナンスなので仕事が発生しないなど、後ろ向きの理由は一切述べません。兎に角、地域再生のチャンスと捉え前向きな話だけを聞かせてくれるのです。決定したわけではありませんが、太陽光発電による買取単価は1kW当り42円、そして期間は20年と言われているので、一日でも早く地域で計画を進めたいと考えているのです。早く立地を進めなければ月日が遅れるとチャンスを逃がすことを知っているからです。「他府県よりも遅い決断をした場合にはチャンスはない」と考えているのです。
「今は有効な土地利用を検討しているので、再生可能エネルギーに資するかどうかの決定は検討した結果待ちで、一年後かそれ以降になると思います」などの理由で意思決定をしない地方自治体がありますが、それでは再生可能エネルギーに関しては諦めているようなものです。一年後か二年後に名乗りを上げても、地方自治体にとっては良い立地条件になりません。
地方自治体が自ら所有する工業用地に、製造業や雇用増を見込める企業の進出を期待する気持ちは分かりますが、わが国の経済事情や円高、電力不足、企業の収益悪化などの状況から考えて、特に地方都市において進出の可能性は限りなく少ないのです。国が成長を促したいと考えている分野の現実的な路線で経済効果を狙うことも戦略です。
私のところには現在、他県の三人の首長から複数の再生可能エネルギー候補地の推薦依頼があります。実現できるかどうかは面積、土地の形状、日射量などの条件を確定させなければなりませんが、積極的な地方自治体の意欲を強く感じます。これがリーダーだと感じる首長ばかりで、熱い思いの入った話をしていると元気がでます。
それに対して否定的、消極的な首長も存在しています。地域活性化の手法はそれぞれの市町村によって事情は違いますから、この分野の考え方は否定的でも良いのですが、では何か活性化や経済対策の計画や考えはあるのかと言うと、そんな市町村ほど何もありません。時代に即したことを何も考えないことが地域を停滞させる原因になっていることを分かっていないのを残念に思う場合があります。
再生可能エネルギーの進出を検討して訪ねてくれる企業に対して、乗り気でない地方自治体の意向を伝えることは残念な気持ちになります。それに対して進出を歓迎してくれる市町村と話をすると元気な気持ちになります。その差が地域の活力、温度差であることを私は気づいています。
ある会社の職場の話です。その会社の違う二つの職場で出社拒否の従業員さんがいました。二人が出社拒否をしていたのですが、このほど二人とも職場に復帰することになったのです。この二人の話し相手になっていた職場のリーダーは、この二人が時期を同じくして復帰することに対して涙を流して喜びました。1年以上の期間、相談相手になって職場復帰を促していたからです。
その間の取り組みを知っているだけに、この話を聞いて私も同じように嬉しくなりました。電話で相談に乗っていたこと、しかも電話が掛かる時間帯は様々で、午前0時を過ぎてかかってきたことも度々あり、通話時間が4時間以上に及んだこともあります。突然電話を切られて心配して自宅に行ったところ、夜通し相手の話を聞いたため話を終えるのが朝になり、そこから出社した経験もあるのです。
立場が職場のリーダーだったとしても、そこまで話し相手になれる人はいないと思います。最初の一人が復帰を決めたのは大型連休である5月最初の日です。リーダーはその人の自宅に行って嬉しいお酒を二人で飲み交わしたのです。
そして二人目の人が復帰を決意したのが先の5月6日のことです。リーダーはその相手の自宅に行ってここでも嬉しいお酒を飲み交わしたのです。余りの嬉しさに深夜から早朝までお酒と会話を行いました。しかし5月7日は連休明けの出勤日ですから、リーダーはその人の自宅から会社に出勤したのです。
兎に角、来週から二人は職場復帰をすることに決定しました。感動的な話を伺い、「本当に良かったね」と応えました。
しかしその後、思いがけない言葉が職場のリ―ダーから返ってきました。「二人が出社拒否になる前兆に気づかなかったのは私の責任です。もっと早く異変に気づいていたら二人は出社拒否にならずに、そして苦しまずに済んだのです。私はリーダーとしての責任を果たせませんでした。この役割は失格なので、この職位を降りることに決めました」という言葉だったのです。
それはあなたの責任ではありませんよ」と止めたのですが、「もう決めたことです」と爽やかな微笑で応えてくれました。
嬉しい話ですが残念です。二人の人を助けた嬉しさと、長い期間、苦しませたことによる無念さが伝わってきました。それは決してこの職場のリーダーの責任ではありませんが、この自分のことを後回しにして人を助けようとする潔さが二人に伝わり、救ったのだと思います。
今の時代にもこんな人が存在しているのです。感動的な話しを聞かせてもらいました。こんな日があるから、生きていることは素晴らしいと思います。私達の毎日は期待に満ちています。