活動報告・レポート
2012年4月29日(日)
事業所税

事業所税について意見があり調査しました。事業所税とは、都市環境の整備と改善に関する事業の財源に充当されるための目的税のことです。問題と指摘された点は、課税されるのは地方税法で定められた都市だけに課税される地方税だということです。この課税対象の都市とは、東京都、政令都市、そして人口30万人以上の政令で指定する都市となっています。この中に和歌山市が入っているのです。和歌山県の場合、和歌山市だけが対象でそれ以外の市町村で事業をしている者は課税されないということになります。

更に詳細に入ります。課税対象となるのは事業所の床面積が1,000m2を超える規模で事業を行う法人、または従業員の合計が100人を超える規模で事業を行う法人となっています。

事業所の規模にも因りますが、あるホテルでは、和歌山市に対して年間150万円を超える事業所税を支払っています。和歌山県内には白浜町や那智勝浦町といった観光地がありますが、ここでのホテル事業者には事業所税は課税されていません。ここでの論点は、この地域の事業者に課税をしていないことが問題だと指摘するものではありません。

和歌山市のホテルだけが課税されているのですが、和歌山市の観光産業と和歌山県を代表する観光地とでは訪れるお客さんの数が違います。県内では和歌山市のホテル事業者だけに課税されていることで、観光事業者としての経営は事業所税の負担分が厳しくなります。年間150万円を超える事業所税は床面積に対応する課税ですから固定です。この支払い分をお客さんに負担してもらうとなれば宿泊料金に加えるか、事業者が負担する以外にありません。同じ観光事業者なのに和歌山市で事業をする場合の負担が大きくなっています。

つまり30万人以上の都市部だけに課税されていることの不公平さがあるのです。不公平さという観点からは固定資産税との二重課税にならないかという問題や、売り上げに関係なく一律課税という点も問題です。

更に、事業所税は都市環境の整備と改善に関する事業の財源に充当されるための目的税ですが、都市環境の整備にどのように使われているのか分かりません。事業所税も市の一般財源に算入されているので、目的に沿った使われ方になっているかどうか良く分かりません。事業所税が目的に沿った使われ方になっているのかどうか調べたいと考えています。

また地元の中小事業者にとっての負担は大きい点も見逃せません。負担感が大きい中小規模の事業者に対する事業所税については考慮して欲しいという要望もあります。

地方税法に明記されている事業所税ですから、和歌山市だけが徴収しないという見解が出されることは困難ですが、視点を変えて提言したいと考えています。観光ホテルや旅館の場合、観光客に対する防災対策の視点から、耐震補強や防災に資する対策、宿泊のお客さんに配布するための非常食や水の備蓄などの購入費用に充当できるしくみです。

事業所税の内、耐震補強のために積み立てる資金分を事業所税から控除することで、耐震補強計画を確実なものにできます。事業所税150万円課税の場合、毎年50万円分だけ控除対象にできれば、和歌山市の観光事業にとって利点はあります。和歌山市のホテル、旅館の事業所税は耐震補強のために控除をしているので、数年後にはホテル、旅館の耐震補強や防災対策は他の市と比較しても高いレベルになりますと言えるからです。

一般財源に算入されていて都市環境のどの部分に使われているのか具体的に分からない場合は、事業者の防災対策として使用した方が見えた効果がありますし、東南海・南海地震に対応している和歌山市であることを観光客に訴えることができます。

二重課税で廃止を望みたいところですが、事業所税対象の中小事業者が自らの防災対策に活用できるしくみの検討を提言していきます。