活動報告・レポート
2012年4月22日(日)
フェンシング大会

和歌山市内に完成した県立武道館、和歌山ビッグウェーブで、フェンシングの大会が開催されています。第30回オリンピック競技会フェンシング競技、アジア・オセアニア地区最終選考会が大会名称です。第30回オリンピックとは、今年開催されるロンドンオリンピック出場をかけたアジアの戦いです。本日は女子フルーレ、女子エペクラスの選考会が行われました。

フルーレクラスは胴体部分だけが有効面となる競技で、日本人が得意とするクラスです。前回の北京オリンピックで太田選手が銀メダルを獲得したのも、このフルーレクラスです。

エペクラスは有効面が全身となっています。頭からつま先までのどの部分を突いても得点になります。そして相打ちの場合も両者に得点が入るのが特徴です。エペは決闘に近いスタイルで、決闘の場合、相打ちの場合もあるため両者得点となるものです。歴史に基づいたスタイルが確立されているのがおもしろさです。

フェンシングはどちらかの選手が15点を先取すれば勝ちとなります。3分間の戦いを1分間の休憩を挟んで3セット行い勝負を決めます。つまり9分間の戦いなのです。その間に15点を獲得した選手が勝ちますし、9分間の戦いで15点に達しなかった場合は、得点の多い選手が勝ちになります。同点の場合は1分間延長を戦います。

実際のフェンシングを観ると体格の差やスピードの差が分かります。基本的に大きい選手が有利に思いますが、小さい選手は俊敏なので剣先を払って中に入り込み得点するケースがあります。俊敏さも勝つために必要な資質となります。

元競技選手に聞くと、フットワークと俊敏さが勝つために必要な資質となるようです。フットワークはトレーニングにより鍛えられます。下半身を鍛えることで下半身が安定し、フットワークの軽快さに結びつくのです。そして俊敏さは素質です。これは天性のもので教えて身につくものではないようです。ですからフットワークとバランス感覚を鍛えることが大切になります。

また強い選手が必ず勝つとは言えないことも特徴です。9分間の戦いであり、15点で勝敗が決りますから、先行する方が精神的に優位に立てます。強い選手でも得点を先行され、短い時間で追いつき追い越さなければならないと思うと焦りが生じます。焦りは実力を発揮させてくれなくなります。焦りからペースがつかめずに、持っている技術を発揮できないまま敗退する場合もあるのです。特にエペクラスの場合、相打ちは両選手に得点が入りますから、11対10の時は12対11となり、15点に近づいて行くほどプレッシャーが掛かります。終盤の逆転劇もありますが、相手に精神的重圧を掛ける立場にある方が優位に試合を進められることになりそうです。

今日のフルーレとエペの女子クラスは、どちらも韓国の選手が優勝しました。優勝した選手は相手の選手よりもスピードに勝っていることは明らかです。スピードはスポーツにおいて勝つために重要な要素です。これは仕事でも同じで、スピードのある方が仕事では優位に立てる場合が数多くあります。自分のスピード感を磨くことが大事なことだと感じました。

さて日本人選手は敗退し、アジア各国のレベルの高さを感じました。世界ランキングでは中国と韓国は世界のベストエイトに入っていて、10位以下の日本よりも実力は上になっています。ヨーロッパ勢はもっと強豪国ですから、世界の舞台で日本人選手が上位に食い込むことは容易なことではありません。しかし和歌山県はフェンシングが盛んですから、将来に向けて実力を養って欲しいものです。運営の手伝いに県内フェンシング部の高校生が来ていました。世界レベルの大会を間近で観て、そして選手に触れることで実力は向上します。本物に触れることは大きな影響を与えてくれます。高校生が今回の大会で感じた空気を自分のものとし、大きく飛躍してくれる契機になって欲しいと願っています。

和歌山ビッグウェーブが出来たことから、国際大会が和歌山県のこの場所で開催できることになりました。世界レベルに触れられる機会を持てたことは歓迎すべことであり、高校生に大きな財産を提供できる機会となりました。

会場の雰囲気は国際大会ならではのものがありました。万国旗の掲揚、英語での開会式とフェンシング国際連合代表者のスピーチ、そし審判員も外国から来ていますから国内の大会とは雰囲気は違います。この雰囲気に慣れておくことも世界を目指す選手には必要なことです。英語で雰囲気に飲まれてしまって実力を発揮できないで敗退する選手もいると聞いていますから、国際大会の雰囲気を和歌山県でも体験できるようにしたいものです。

本日の開会式典と準決勝、決勝戦にお招きをいただき、観戦できたことを深く感謝しています。また丁寧な説明もありがとうございました。